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21世紀フォックス、タイム・ワーナーの「800億ドル買収」を画策

2014.07.17

Updated by WirelessWire News編集部 on July 17, 2014, 13:25 pm JST

テレビ・映画関連大手の21世紀フォックス(21 Century Fox;以下、フォックス)が、競合するタイム・ワーナー(Time Warner)に対して、評価額800億ドルでの買収提案を持ちかけていたことが米国時間16日に明らかになった。

この話題を報じたNYTimesによれば、フォックスからの買収提案はタイム・ワーナー側に退けられ、現在交渉は行なわれていないものの、フォックスのルパート・マードック(Rupert Murdoch)CEOにはいまのところタイムワーナー買収を断念する様子はないという。

この買収が実現した場合、メディア関連の分野で過去最大級の企業買収となる。また21世紀フォックスは、テレビ放送のフォックス(Fox Broadcasting)、ケーブルテレビ局のHBO、映画スタジオのワーナー・ブラザーズ(Warner Bros)や20世紀フォックス(20 Century Fox)など、数多くのコンテンツプロバイダーをグループ傘下に抱えることになる。ただし、タイム・ワーナー傘下のCNNに関しては、フォックスニュース(Fox News)と競合していることから、独禁法違反となる可能性を避けるために他社への売却が計画されているという。

なお、21世紀フォックスは同買収について、管理部門やITオペレーション関連などの業務効率化を通じて、10億ドル以上のコスト削減効果があると見積もっているという。

米放送通信業界では、今年に入って、コムキャスト(Comcast)によるタイムワーナー・ケーブル(Time Warner Cable)の買収、ならびにAT&TによるディレクTV(DirecTV)の買収という、ふたつの大型買収計画が発表されている(いずれも規制当局による審査中)。これらの買収が実現した場合、映像コンテンツの供給をめぐる交渉で、買い手側となるコムキャストやAT&Tの立場が強まることが予想される。フォックスでは、この力関係の変化に対応するために、映像コンテンツ提供者側での合併を通じたスケールアップが必要との思惑から、タイム・ワーナー買収の動きに出たとみられる。

また、ネットフリックス(Netflix)やアマゾン(Amazon)など、ウェブ経由の映像配信サービスを行う企業が独自番組の企画制作を本格化させているが、こうしたウェブサービス勢の動きを牽制する上でも、大手テレビ・映画会社同士の合併が役に立つとする見方もあるようだ。


[Fox-Time Warner Wouldn't Be a Surprise: Kirkpatrick - Bloomberg]

【参照情報】
$80 Billion Offer From Rupert Murdoch Is Rejected, but Time Warner May Be in Play -
Murdoch Open to Bid Above $75 Billion for Time Warner - Bloomberg
Rupert Murdoch Tries to Swallow Time Warner - Businessweek
Media Squeeze Fuels Fox Bid for Time Warner - WSJ

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