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サムスン、インドネシアに携帯電話工場建設へ

2014.08.22

Updated by Hitoshi Sato on August 22, 2014, 13:00 pm JST

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2014年8月、世界最大の携帯電話メーカーの韓国サムスンがインドネシアの西ジャワに携帯電話の工場を建設する計画を立てていることが明らかになった。

インドネシアはスマートフォンが急速に普及しており、既に新興の中国メーカーもインドネシアでの工場建設を進めている。2億4,000万人以上が住むインドネシアでのスマートフォンの普及はまだ20%程度で、これからも成長の余地が期待できる。但し、最もよく売れるのは100ドル程度の端末であることから、利益率は決して高くない。販売する地域で製造すると輸送コスト、関税を省くことが可能となり従来よりも安価で提供することが可能になる。

サムスンはインドネシアの工場で、まずは1か月に100,000万台生産を行い、徐々に生産数を増やして、1か月900,000万台まで生産していく予定である。

サムスンはインドの携帯電話市場で地場メーカーMicromaxに出荷台数で首位の座を渡してしまった(参考:インドの携帯電話出荷でサムスンを抜いた地場メーカーMicromax)。また2014年第2四半期(4月〜6月)における世界でのスマートフォン出荷台数はサムスンが1位ではあるものの、前年同期比で出荷台数、シェアを大きく減らしている。Nokiaが陥落して以降、サムスンは世界でのスマートフォン、携帯電話でトップを独走していたが、スマートフォンはコモディティ化しており、中国メーカーだけでなくインドやインドネシア、バングラディッシュなどの新興国の地場メーカーも台頭してきており、競争はますます激しくなってきている。そのような環境において、「地域のニーズにあった端末」の提供がグローバルメーカーにも求められるようになってきている。そのためにもその地域の工場を建設し、安価で品質の良い端末を提供していくことが重要になってきている。

かつてインドネシアでは携帯電話といえば、Nokiaであった。そしてスマートフォンが登場してからはBlackBerryが大人気商品となった。サムスンの端末の宣伝はインドネシアでもよく見かけるが、インドネシア人にとってサムスンは特に良いイメージもなく、悪いイメージもない。インドネシアにおけるスマートフォン販売競争、軍配が上がるのはどこのメーカーであろうか。そして残念ながら日本のメーカーはその競争の土壌にすら上がっていない。

▼表1:2014年第2四半期における世界でのスマートフォン出荷台数とシェア
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【参考動画】
サムスンのインドネシアでのテレビ広告。友人らがたくさん出てきて、スマートフォンを使っている、撮影した写真をSNSなどにアップしたり、見せ合ったりするのはいかにもインドネシアでよく見かけるスマートフォンの利用シーンである。

(参照)
Samsung plans to set up phone factory in Indonesia
Samsung plans phone factory in West Java, Indonesia
IDCプレスリリース

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。