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山手線のように自由に出入りできるポータル「Syn.」、KDDIなど12社がアライアンス設立

2014.10.16

Updated by Naohisa Iwamoto on October 16, 2014, 20:05 pm UTC

KDDIなどインターネットサービス企業12社は2014年10月16日、モバイルインターネットの新しい体験を送出する「Syn.」(シンドット)構想を始動し、構想実現のための連合体として「Syn.alliance」を設立したと発表した。モバイルインターネットの代表的なサービス提供企業がアライアンスを組むことで、4100万人規模の月間利用者数をベースにした集客装置ができる。

▼Syn.構想の発表に臨むKDDIの田中社長と森岡部長20141016_syn001.jpg

発表会に最初に登壇したKDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、「スマホの小さな画面を通して利用するインターネットは、窮屈で分断されているように感じる。日本中のアプリとアプリがつながると、窮屈な世界から動けるのではないか」と、Syn.構想への想いを語った。

次いで登壇したKDDI 新規ビジネス推進本部 担当部長の森岡康一氏は、「キャリアとしての事業ではなく、オープンなインターネットを作るというKDDIの考え方に共感して、1年前に前職のFacebook Japanの副代表からKDDIにジョインした。インターネットはまだまだ面白いものだらけであり、世の中の素晴らしいものをきちんと提供したい」とSyn.構想を具体化させた経緯を振り返る。

「中心のないポータル」がコンセプト

12社、13サービスによるSyn.allianceで連合体を作り、すべてのサービスが入り口となりうる「中心のないポータル」を作る。特定のサイトやサービスが窓口になるのではなく、アライアンスのメンバー企業が提供するWebサービスやアプリのどこから入っても、アライアンス内で回遊できるような仕組みを作った。「スマホの世界の山手線のようなもの。各サービスは駅に対応して、どこから乗って、どの駅で降りてもいい。ユーザーは山手線の中を自由に移動できる」(森岡氏)。

▼異なるサービスやアプリでもサイドメニューの「Syn.menu」の構成は同じで、サービス間を移動する意識をせずに利用できる20141016_syn002.jpg

具体的な方策としては、アライアンスのメンバー企業が提供するWebサービスやアプリに、共通のサイドメニュー「Syn.menu」を用意する。利用者は、Webサービスやアプリの違いを意識せず、サイドメニューを開くことで自由にアライアンス内の他のWebサービスやアプリと行き来することが可能になる。

またSyn.menuには、アライアンス内の他のサービスやアプリの新着情報を知らせる「Syn.notification」を用意し、どこにいても新着情報を得られる環境を提供する。さらにサイドメニューであるSyn.menuの上部には大きな広告配した「Syn.ad」を設け、「コンテンツを邪魔しないビルボード」という位置づけで広告を配信できる仕組みを整えた。

▼「Syn.alliance」に加盟した12社の代表者と、KDDIの森岡部長(中央)20141016_syn003.jpg

Syn.allianceの12社、13サービスは以下の通り。コスメや美容の総合サイト「@cosme」(アイスタイル)、ゲーム情報の「ゲームギフト」(AppBroadCast)、天気情報サービスの「weathernews」(ウェザーニューズ)、ニュースサービスの「報道ヘッドライン」(A3)、手帳アプリの「Jorte」(ジョルテ)、音楽ニュースの「音楽ナタリー」、漫画情報の「コミックナタリー」(以上ナターシャ)、生活に役立つライフレシピを提供する「nanapi」(nanapi)、ナビゲーションサービスの「NAVITIME」(ナビタイムジャパン)、オンラインブックマークの「はてなブックマーク」(はてな)、ファッションアプリの「iQON」(VASILY)、ランキング情報の「Qrank」(ビットセラー)、タイムセールサービスの「LUXA」(ルクサ)。

顧客基盤を活用したサービス間の融合も

サービス開始時の月間利用者数は、各サービスの延べ人数で4100万人。「スマホ利用者数でみると、米国の大手検索サービスが3800万人で、それを上回る延べ利用者がいる。1年後には月間利用者数を延べ1億人に引き上げたい」(森岡氏)。さらに、相互送客だけでなく、サービスの融合も目指す。「カレンダーに目的地を入力しておくと目的地までのルートをお知らせしたり、ファッションサイトを見ているとタイムセールの情報が配信されたりといったように、サービスを融合させて新しい価値を生み出したい」(森岡氏)。

▼開始時に延べ4100万人の顧客基盤を持つことをアピールする20141016_syn004.jpg

今後、提供するカテゴリーの幅に応じて、20~30程度までアライアンス企業やサービスを増やす考え。KDDIのユーザーに閉じたサービスではなく、他キャリアのユーザーも利用できる。旗を振るKDDIとしてはユーザー接点が増えるメリットを掲げるが、直接の収益につながるビジネスモデルではないようだ。キャリアの垂直統合型のモデルとは異なる、オープンなモバイルインターネットの新しい価値を日本から生み出そうという意気込みを感じた。

【報道発表資料】
新しいモバイルインターネット体験を創出する「Syn. (シンドット)」構想始動

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。