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「ガラパゴスからの脱却を」、ノキアが国内事業方針としてキャリアの海外進出サポート

2014.10.28

Updated by Naohisa Iwamoto on October 28, 2014, 19:23 pm JST

ノキア ソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキア)は2014年10月28日、日本市場における事業方針の説明会を開催した。ノキアでは日本でのビジネスのキーワードとして、「ガラパゴスからの脱却」「1日1人1GB」を掲げ、国内キャリアの海外進出支援と、増え続けるデータ量へのテクノロジー面からのサポートに注力する。

説明会に登壇したノキア ソリューションズ&ネットワークス代表取締役社長のJP タカラ氏は、まず「ノキアは生まれ変わった。端末部門がマイクロソフトに売却され、ネットワーク部門は完全にノキアの子会社になった。大きな改革により、ノキアのキャッシュフローは改善され、減少していた売上高も大幅に改善された」とグローバルでノキアの置かれた状況を説明した。

▼日本市場の「脱ガラパゴス化」は鮮明に進んでいると説明するノキア ソリューションズ&ネットワークスのJP タカラ社長20141028_nsn001.jpg

次いでタカラ氏は、日本でのビジネスについて説明した。「かつて日本はガラパゴスと呼ばれていた。しかし今では状況が大きく変わってきている。日本のマーケットは飽和し、契約数は人口の100%を超えている。そうした中で国内キャリアも海外に大きく目を向けるようになっている」と指摘。ノキアはそうした顧客であるキャリアの海外進出をサポートするという。「ノキアは国内の大手3キャリアをすべてサポートする唯一のベンダー。ソフトバンクはアメリカへ、KDDIはミャンマーへと進出している。NTTドコモは多くの国へと出資するなどしている。こうした海外進出をサポートしている」(タカラ氏)。

海外進出のサポートに対しては、ノキアがグローバルで得たノウハウや最新情報が力になる。タカラ氏は「ノキアは世界のトップ100のキャリアのうち90社にネットワークを提供している。グローバルで何が起きているか、どのようなテクノロジーが注目されているかといった情報を日本のキャリアと共有することで、マーケットの状況を理解してもらえる」と語る。

日本のビジネスでタカラ氏がもう1つ取り上げたのは、データ量の増加に伴うネットワーク構築のサポートの側面だ。「データ通信の容量は大幅に伸びている。日本ではすでに1人が1カ月に3GBのデータを使うようになった。これはグローバルの平均の6倍にも上り、この数字はさらに伸びている。ノキアでは、2020年には1日に1人が1GBのデータが必要と試算し、データ通信量の増加に耐えるネットワークを提供していく」(タカラ氏)。ノキアは、モバイルブロードバンドにフォーカスした戦略を採っており、その中で業界トップのクオリティを提供することを目指すという。

これまでの実績として、KDDIにはキャリアアグリゲーションを日本で初めて提供。NTTドコモにはLTEのサプライヤーとしてだけでなく、ネットワーク機能の仮想化や5Gでもパートナーとして開発をともに取り組んでいる。ソフトバンクモバイルもW-CDMA、LTEの提供のほか、海外ビジネスのサポートも行う。また、パナソニックシステムネットワークスと2015年1月に統合することにも触れ、「1月からは1つのチームとして事業を展開する。パナソニックにはノキアが持っていない製品があり、ポートフォリオの拡大が期待できる」(タカラ氏)と語った。

▼東京の人たちに世界とつながるネットワークを提供すると語るタカラ氏20141028_nsn002.jpg

最後に、タカラ氏は、「3つ目のキーワードは、東京の風景だ。ここには多くの窓があり、多くの光がある。窓には必ず人がいる。東京のすべての窓にいる人たちに十分なネットワークのコネクティビティを提供し、世界とつながれるようにしていきたい」と、説明を締めくくった。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。