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海外プライバシー・パーソナルデータ関連情報(2014/10/21号)

2014.10.21

Updated by WirelessWire News編集部 on October 21, 2014, 12:30 pm JST

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Image by Mario MancusoCC BY

EUにおける「忘れられる権利」の対応状況をGoogleが明らかにしたのが大きなトピックとなっている。また、米国FDAの医療機器のサイバーセキュリティについてのガイダンス策定、Facebookの新しいアプリ広告など、ビジネス面でも注目のトピックも取り上げている。各ニュースの詳細については、原文のリンクを参照されたい。

制度・法律

Googleが「忘れられる権利」への対応状況を明らかに。ガーディアンは数字について詳しく紹介。

Googleが「忘れられる権利」に基づく請求への対応状況を公開、EU全体で14万件超の要請
Britons ask Google to delete 60,000 links under 'right to be forgotten'
イギリス国内からのGoogleへのリンク削除請求は6万件に及び、EU内ではフランス、ドイツに次いで3番目の件数。英国内からの請求の内、個人からの請求のうち1万8304件が個人からのもの。EU全体では14万5000件におよび、1日あたり1000件となる。また、Googleが実際に削除したのは英が1万8459件、仏が2万9010件、独が2万5078件となった。同時にGoogleは、削除請求のタイプごとに、削除したか、またはしなかったのかも公表している。

ニューヨークタイムズでは、要請の質や国ごとの傾向に触れている。

忘れられる権利に基づくGoogleのリンク削除はFacebookが最多、国ごとに申請の受理率に差も
Google Provides Details on 'Right to Be Forgotten' Requests in E.U.
Googleは「忘れられる権利」に基づく削除請求について「オンライン透明性レポート」において概要を公表。国ごとの件数のほか、個別のケースに付いても匿名で掲載されている。もっとも削除が多かったのはFacebookのコンテンツへのリンクだった。また、国ごとに請求の受理率が異なり、イタリアからの申請は4分の3が拒絶されたが、ドイツは半分以上が受理されている。

連邦政府では対応しにくい、個別の細かいところへの州法による素早い手当。

カリフォルニア州が学生や消費者のプライバシー保護新法を承認、リベンジポルノ被害者の救済措置も
California Governor Approves New Privacy Legislation
カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事が9月30日、新しいプライバシー保護法案に署名したことで、同法は来年1月1日より発効されることとなった。同法は、教育サービスからのデータによるターゲティング広告、消費者データを漏えいさせた企業の被害低減サービスの提供および紹介義務など、学生や消費者への強い保護を打ち出しているほか、リベンジポルノの被害者が損害賠償を起こせるような措置も含まれている。

医療機器のサイバーセキュリティというクリティカルな領域について、FDAが指針を明らかに。

米FDAが医療機器ベンダー向けに、医療機器のサイバーセキュリティに関するガイダンスを作成
The FDA takes steps to strengthen cybersecurity of medical devices
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、医療機器へのサイバー攻撃あら患者のヘルスケアデータを守るために、製造業者に対するガイダンスを完成させた。ガイダンスでは、医療機器の開発段階からセキュリティを考慮することを推奨。また、判明したリスクと対処についてFDAに書類を提出することと、医療機器で使用されるOSやソフトウェアのパッチやアップデートの供給計画をFDAに提出することも推奨している。

ビジネス

今年4月にイベントで発表していた、新しいアプリ向け広告をFacebookが開始。

Facebookが登録ユーザーのデータを利用したアプリ向けターゲティング広告を開始
Facebook Ads Are About To Start Following You Everwhere
Facebookが、新しいモバイルターゲティング広告「フェイスブックオーディエンス・ネットワーク」をワールドワイドで開始した。同サービスは、Facebookへの利用者の登録データを利用して、年齢や興味などで絞り込んだターゲティング広告をサードパーティのアプリに配信できるというもの。広告主は従来のFacebook広告のインターフェイスから利用でき、またアプリ開発者向けの開発キットもすでに公開されている。

データ利用推進を着々と進めるFacebookに対抗する動きも登場している。

ユーザーデータを売り物にしないSNS『Ello』、広告ではなく機能への課金を収益源に
Ello is a referendum on personal data-driven web advertising
今年8月にスタートした新しいSNS「Ello」は、広告を収益源としていないことから注目を集めている。Facebookへのカウンターとして誕生したElloはユーザーデータを集めないことと、それを広告に利用しないことを明言。収益源として、特定ニーズに向けた機能追加による課金を見込んでいる。同サービスは現在、招待制により限られたユーザーに向けたβサービスとなっている。

ネットワークでは完全なセキュリティは望み得ないことを踏まえても、Snapchatの対応は不誠実と言えるかもしれない。

実際には「写真が消えない」Snapchat、状況改善に努めない同社に批判が高まる
Snapchat isn't private. Period.
Snapchatは、送ったメッセージや写真がすぐに消去され、相手の手元に残らないことを売り文句にしているが、実際にはサードパーティツールを使うことで受信側は写真を保存できる。Snapchatはその不完全性を利用者にきちんと説明せず、またそうしたツールの存在をコントロールできてない。また、そうしたツールのひとつが外部から攻撃を受け、サーバーからユーザーの画像が流出した恐れも出てきた。Snapchatは自社サーバーの安全性を強調するが、専門家はユーザーやサードパーティアプリも含めたシステム全体に穴を塞ぐ努力をSnapchatは果たすべきだと警告する。

調査・ケーススタディ

本当に「賢い消費者」であるためには、企業側の透明性が担保されていてこそではないか。

消費者は自分自身のデータの企業にとっての価値を知り、その利用を容認する傾向にある
Orange reveals growing consumer trust of personal data sharing
オレンジ社がフランスなどEU圏内の数カ国で、携帯電話ユーザーを対象にした調査を実施資。回答者の80%が自分の個人情報に価値があることを知っているという結果になった。さらに、67%のユーザーは個人情報を提供することで、しない場合よりも自分にとってメリットがあると信じていた。また、消費者は、企業が蓄積する自分の個人情報に対価を付けるとしたら、その企業を自分が知らない場合は、知っている場合よりも高い値段を付ける傾向があることも判明。

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