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インドネシア:Telkom、コンビニ「Alfamart」で送金サービス開始

2014.10.22

Updated by Hitoshi Sato on October 22, 2014, 14:56 pm JST

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インドネシアではTelkomの名称でお馴染みの同国最大の通信新事業者「PT Telekomunikasi Indonesia」は2014年9月、インドネシアのコンビニエンスストアチェーン「Alfamart」を運営しているPT. Sumber Alfaria Trijayaと送金サービスで提携を行うことを発表した。

Telkomの子会社で送金サービスのシステムを手掛ける「PT Finnet Indonesia」が提供する、銀行口座を持たない人でも使える送金サービス「Delima」が、インドネシア国内に約10,000店舗あるコンビニ「Alfamart」で利用できるようになる。

「Delima」の送金サービスはシンプルである。送金したい人はコンビニ「Alfamart」に行き、受取人の名前と電話番号を入力し「Alfamart」で送金額を支払う。入金が確認されると受取人の携帯電話にショートメッセージ(SMS)が送信される。SMSを受け取った受取人は近くの「Alfamart」でお金を受け取る。新興国ではよく見かける「モバイル送金」と仕組みは全く同じである。Telkomのユーザ以外の人でも誰でも利用できる。

TelkomのMuhammad Awaluddin氏によると、インドネシアでの送金は2013年の1年家電で80兆ルピー(約8,000億円)だった。Telkomとしては、2014年内には同社の送金で3,000億ルピー(約30億円)、2015年には6,000億ルピー(約60億円)から8,000億ルピー(約80億円)を扱いたいとコメントしている。

インドネシアは人口2億4,000万人以上の国であるが、その多くの人がジャカルタに集中して働きに来ている。ジャカルタ都市圏の人口で約2,500万人と国民の10%が集まっているが、その多くが地方から出稼ぎに来た労働者だ。彼らはジャカルタで稼いだお金を故郷に送金する。

ジャカルタの中間層の多くは銀行口座の保有率も増加しており、ジャカルタのコンビニには銀行のATMも設置されて、お金の引きおろしや送金が行われている。一方、地方からの出稼ぎ労働者の仕事の多くは給与が銀行振り込みではないから、銀行口座を保有していないことが多い。にもかかわらず、彼らには一番送金の需要があるため、「誰でもコンビニエンスストアから送金ができる」この提携は歓迎されるだろう。

また10月からは多くのインドネシア人が出稼ぎ労働に行っているマレーシアにも、この送金サービスを拡大していく。さらに将来的にはマカオや日本でも提供を目指したいとしている。たしかに世界中の送金ビジネスを支えているのは、移民労働者から母国への送金である。

インドネシアの経済は成長しており、グローバリゼーションの中に取り込まれた。それに伴って「人、物、金、情報」が瞬時に動くようになった。しかしあまりにも急速に発展したため、どの分野においてもインフラ整備が追い付かないことも多い。このようなコンビニでのシンプルな送金サービスが、送金インフラの整備に繋がっていく。

▼ジャカルタのセブンイレブンには銀行ATMが設置されており24時間、お金の引き降ろしと銀行間の送金も可能。インドネシアでもジャカルタに住む中間層の多くは銀行口座を保有している。
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▼Telkom Indonesia 報道発表資料より
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【参照情報】
Telkom aims for bigger remittance, e-money units()
Telkom Tingkatkan Kerjasama dengan Alfamart, Alfamidi, DAN+DAN Alfamart Siap Layani Pengiriman Uang Melalui Delima

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。