雨の多いロンドンでは屋根のある赤い公衆電話ボックスが歓迎された。目立つ深紅に塗られた電話ボックスは携帯電話が普及する前には多くの人々が利用していたに違いない。1924年に建築士のジャイルズ・ギルバート・スコット卿がデザインしたK2(キオスクNo.2)以後、K3、K4とさまざまなバリエーションが生まれつつも基本的には赤いデザインが多く採用され、数を減らしながら今日に至っている。
今秋、大英博物館にほど近いトッテンハム・コート・ロードの電話ボックスが緑色に塗り替えられた。屋根にはソーラーパネルが取り付けられ、中の電話機は取り外されて、代わりにモバイル機器の充電用ケーブルが何本か出ている台が置かれた。広告が映し出されるスクリーンもある。機種にもよるが10分で20%ほど充電でき、1日に100台ほど充電する容量があるという。来春までに緑のソーラー・ボックスはさらに5台増えるそうだ。
この緑のキオスクの利用者は無料でモバイル機器の充電ができる。運用費は、広告モデルで賄われている。起業家二人が発案した。充電は一瞬では終わらないので、暇つぶしに広告を見る人はいるだろう。まったくの無人でオペレーションするのではなく、毎日、巡回メンテナンスが行われ夜間には施錠される。
このほかイギリスの電話ボックスの再利用方法には、ミニ図書館にしたり、緊急用医療機器を収納したり、アートの展示用に使ったりと多岐に渡るという。1920年代から見慣れた電話ボックスが永遠に消え去ってしまうことを望む市民は少ないということだろう。
【参照情報】
・London's iconic phone booths reborn as solar gadget-charging kiosks
・Phone boxes turn green to charge mobiles
・London's famous red phone box goes green and solar-powered
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