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日本とインドネシアの架け橋JKT48:日本の魅力を紹介する番組

2014.11.13

Updated by Hitoshi Sato on November 13, 2014, 18:41 pm JST

▼JKT48のメンバーと高市総務大臣、山口内閣府特命担当大臣
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©JKT48 Project

2014年11月11日、「放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ) 採択企画発表会」が東京で開かれた。本事業は日本のコンテンツの展開先として有望な東南アジア6か国(フィリピン、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー)で、日本のコンテンツを継続的に発信することで、「日本ファン」の拡大を図るとともに、幅広く波及効果を生み出すモデルを構築することによって、コンテンツの海外展開に関する取組みを促進することを目的としている。対象の東南アジア6か国で地上波テレビの放送枠を確保し、現地のニーズに応じた放送コンテンツを供給または共同制作して継続的に放送していくことが明らかにされた。

インドネシアで放送予定の番組は日本のAKB48の海外姉妹グループのJKT48が登場する「YOKOSO JKT48」(ANTV 毎週日曜10:00から)である。JKT48のメンバーが日本各地を訪問し、日本の様々な魅力を発信する旅・情報番組である。各地のバラエティに富んだ見どころや文化、歴史、日常などに触れながら「さらに一歩踏み込んだ」日本を紹介していくというもので、地方民放各局と地元の深い関わりや局間の強力な連携を活かした企画となる。

既に撮影は行われており、岩手で「わんこそば対決」で必死で食べて歩けないくらい食べたり、青森で津軽三味線をバックに「恋するフォーチュンクッキー」を踊ったことなどのエピソードを述べた。アヤナ・シャハブ(チームJ)は日本人とインドネシア人のハーフであることから、日本の魅力を伝え「めっちゃ楽しみです」と関西弁で語っていた。

スペシャルゲストとして登場したJKT48のメンバー4人は高市早苗総務大臣らとトークを行った。「おばちゃんにも若いころがあったんやで!あっという間に年を取るから、若いうちに楽しんで」と関西弁で切り出した高市総務大臣は、インドネシア料理では「ナシゴレン」と「ガドガド」が大好きだが、JKT48のメンバーには「日本の焼き飯」、「和風ドレッシングの日本のサラダ」を楽しんでほしいと伝えた。大阪と広島の「お好み焼き」食べ比べの提案や日本各地の料理の紹介をしていた。また大阪出身のアヤナを引き合いに出して「大阪人のボケとツッコミについてもしっかりと学んで芸を身に着けて、新しいキャラクターを持つアイドルとしてインドネシアで活躍してほしい」とJKT48のメンバーを激励した。

「アドバイスありがとうございます。日本の魅力をたくさんのインドネシア人に伝えられるように頑張っていきたいと思います」とキナルが答えた。

JKT48はAKB48の曲をインドネシア語で歌って踊っている。ジャカルタの若者らに大人気のアイドルグループである。インドネシアの若者らはJKT48を通じてAKB48グループ、ひいては日本のポップカルチャーに慣れ親しんでいる。これからは「YOKOSO JKT48」の番組でJKT48メンバーが紹介する日本を見て、「日本に行きたい」というインドネシア人が増加するかもしれない。

インドネシアは世界有数の親日国であり、実際に現地では日本の様々なコンテンツやキャラクターの人気も高い。今回のBEAJの日本コンテンツのアジア展開は「クールジャパン」推進の一環であるが、多くのインドネシア人にとって日本は既に「クール」な国である。

本発表会では、高市総務大臣から「アジアからの観光客が増え、地域の特産品の販路開拓などにもつながり、地方の再生、日本経済の活性化が促進されることを期待している」とコメントがあった。その通りである。

今まさに、JKT48が日本とインドネシアの架け橋として大活躍している。

▼左からマリア・ゲノフェフア・ナタリア・デシー・プルナマサリ・グナワン(研究生)リディア・マウリダ・ジュハンダル(チームKⅢ)、高市総務大臣、アヤナ・シャハブ(チームJ)、デフィ・キナル・プトゥリ(チームJ)
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©JKT48 Project

▼高市総務大臣は、さすが選挙や演説で話し慣れているから百戦錬磨である。
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©JKT48 Project

【参照情報】
BEAJ
JKT48

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。