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[2014年第51週]子ども向けの安心・安全なスマホ、auのデータギフト開始、KDDIが「サービス卸」に意見書

2014.12.22

Updated by Naohisa Iwamoto on December 22, 2014, 12:00 pm JST

いわゆる「格安スマホ」の動きが年末になっても盛んだ。この週は子ども向けに安心・安全を確保するサービスをフリービットが発表したほか、ケイ・オプティコムは価格改定と新端末の投入を、NTTコミュニケーションズはデータ通信量の繰り越しなどサービス拡充をアナウンスした。KDDIは、家族間でデータ通信量を送れる「データギフト」の提供を開始。また総務省に対してNTT東日本・NTT西日本の「サービス卸」とNTTドコモの「ドコモ光」に対して意見申出書を提出したというニュースもあった。

格安スマホでも安心・安全を確保、料金やサービスの改定も進む

まず格安スマホ関連のトピックから紹介する。フリービットは、同社のモバイル通信サービス「freebit mobile」に、子供向けの安心・安全を提供するサービス「PandA KIDs」を追加して提供する。「PandA KIDs」は、初めてスマートフォンを使う7〜14歳の子どもをおもな対象としたサービスで、家族向けの機能を用意した「PandAファミリー」に追加する。子ども向けの画面は、それぞれの機能やコンテンツ、アプリをパズルのような「ピース」で示す。保護者が利用を許可したピースだけを使えるようにすることで、安心・安全を確保する。具体的には、子ども向けのスマートフォン利用統合環境としてサンドボックス型の準仮想環境「KIDs VM」を提供し、その上でピースを動かす。料金やデータ通信量の競争が激しくなっている「格安スマホ」の中で、フリービットは垂直統合型のサービスにより独自路線を進む(報道発表資料:"スマホを変えるスマホ"のfreebit mobile お子様にとって世界一安全安心なスマホライフを実現する、キッズスマホの新サービス「PandA KIDs」を発表)。

格安スマホでは、料金やサービス、端末のニュースも相次いだ。

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ケイ・オプティコムは、「mineo」の料金改定や新端末について発表している。料金改定は2015年2月に実施。基本データ容量が1GBのプランが現行の980円から850円に、2GBプランが1580円から980円に、3GBプランは容量を4GBに増やし2330円から1580円に値下げする。端末は、エントリー層向けに低価格な設定をした「LUCE KCP01K」(京セラ製)を12月24日に市場に投入する(関連記事:ケイ・オプティコムの「mineo」、1GBを850円などへ値下げ、エントリー向け京セラ製端末「LUCE」投入)。

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は「OCN モバイル ONE」に通信容量の繰り越しサービスを追加すると発表した。「通信容量繰り越しサービス」を提供するのは、日次コースの「70MB/日」「100MB/日」、月次コースの「2GB/月」「4GB/月」の4つのコース。日次コースは翌日末まで、月次コースは翌月末まで、残った基本容量の繰り越しが可能になる。また、全国にある約4万8000の「Wi-Fiスポット」を無料で利用できるようにする「Wi-Fiスポットの無料提供トライアル」を期間限定で提供する(関連記事:「OCN モバイル ONE」、日次コースも含めて繰り越しサービスを開始、Wi-Fi無料トライアルも)。

個性的なプランも登場した。楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズが提供を始めた「エントリー2!プラン」がそれで、Wi-Fi環境で主にスマートフォンやタブレットを利用しているユーザーに向けたSIMとの位置づけ。高速データ通信ができる容量を月間600MBに制限することで、月額料金を700円に抑えた。600MBを超えた場合は300kbpsに制限される。100MBあたり300円の容量追加オプションも用意する(報道発表資料:「楽天ブロードバンド データSIM」に新プラン「エントリー2!プラン」誕生)。

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「データギフト」「スマトピ」、3大キャリアも新サービス

201412221200-2.png3大キャリアのニュースもあった。KDDIは、契約しているデータ定額サービスの容量を0.5GB単位で家族に贈れる「データギフト」のサービスを、12月18日に開始した。データ容量を簡単に確認できる「デジラアプリ」を提供し、その上から手軽に「データギフト」が可能になる。同時に、同一名義の「4G LTEスマートフォン」と「4G LTEタブレット」または「4G LTE対応PC」で、データ容量をシェアして使える「データシェア」を、2015年1月に開始する予定であることを明らかにしている(関連記事:KDDI、家族間でデータ容量を贈れる「データギフト」を12月18日に開始、デジラアプリで簡単に)。

ソフトバンクモバイルは、同社のスマートフォン向けサービスとして、ニュースや話題の情報などを動画で楽しめる「スマトピ」の提供を開始した。国内外の主要ニュースやスポーツの最新情報、イベント情報など、オリジナルに編集した動画を情報料無料で提供するもの。1日に50本以上の動画を提供する。「スマトピ」のアプリをダウンロードして視聴する。対応機種は、iPhone、iPad、Androidスマートフォン・タブレット(報道発表資料:ニュースや旬な話題を動画でお届け! スマホ向け新サービス「スマトピ」を提供開始)。

新サービスを送出する取り組みも。NTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズ(以下、NDV)は、ベンチャー企業とイノベーションを創出する「ドコモ・イノベーションビレッジ」で、ベンチャー企業と協業して新しいサービスを創造する取り組みの「Villageアライアンス」を開始した。ドコモとベンチャー企業の資産を組み合わせて、ユーザーに新しい価値を提供しようとするもの。おもにミドルステージ以降のベンチャー企業が対象で、ドコモと共同でビジネスプランの計画立案からトライアルサービスの提供まで取り組む(報道発表資料:ベンチャー企業とサービスを創造する新たな取り組み「Villageアライアンス」を開始)。

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サービス卸に構成な競争環境確保を、3帯域のアグリゲーション成功

このほか、この週の主なトピックを紹介する。KDDIは12月18日、総務省情報通信審議会答申の「2020年代に向けた情報通信政策の在り方―世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及・発展に向けて―」が承認されたことを受けて、総務大臣に意見申出書を提出、回答を求めた。NTT東日本・NTT西日本による「サービス卸」と、NTTドコモによる「ドコモ光」の営業活動が開始される前に、「サービス卸」の提供条件について約款の作成・公表義務を課すことや、NTT東日本・NTT西日本とドコモによる不当な連携を監視する仕組みの構築など、公正な競争環境と利用者利益の確保に必要なルールの整備を求めている(報道発表資料:総務省情報通信審議会答申「2020年代に向けた情報通信政策の在り方」に関する意見申出書の提出について)。

アンリツは、米Qualcomm Technologiesと共同で行った検証で、LTE-Advancedの3キャリアアグリゲーションを利用したデータ通信に成功したと発表した。Qualcomm Technologiesが開発したLTE-Advancedの3キャリアアグリゲーションに対応したモデムをモバイル通信端末に搭載し、アンリツの基地局シミュレータ「MD8430A」と検証用のテストケースを作成するツール「ラピッドテストデザイナ(RTD)」で実施した。共同検証により、下り450 Mbps、上り50 Mbpsの高速データ通信に成功した。アンリツによれば、3キャリアアグリゲーションの通信の成功は業界で初という(関連記事:アンリツ、LTE-Advancedの3キャリアアグリゲーションのデータ通信に成功)。

スマホの潜在ユーザーはどこにいる? ビッグローブは40代以上の女性を対象にスマートフォン、フィーチャーフォンの利用実態調査を行った。

現在利用しているモバイル端末
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その結果、40代以上の女性のスマートフォン保有率は約3割。スマートフォンを持っていない人がスマートフォンを利用しない理由としては「月額料金が高いから」が1位で、「通話・メールしか利用しないから」「使いこなせるか不安」が続いた。一方、スマートフォンを利用している回答者にスマートフォンを使いこなしているかを尋ねた回答では、「かなり使いこなしている」が21%、「購入前に想定していたより使いこなせている」が45%で、「使いこなせていない」の34%を大きく上回った(関連記事:40代以上の女性、スマホ利用は3割、スマホにしないのは「料金が高くなるから」--ビッグローブ)。

昨年の第51週のできごと

・スマホEC、LINEやNTTぷららが強化
・ドコモメール強化、SIMサービスに新顔
・M2M向け「eSIM」やビーコン、料金プランなど法人関連の話題
・エリクソンがKDDIに無線製品を納入、警視庁が海外偽サイトなどの情報提供

[2013年第51週]スマホ向けECの動きが盛ん、ドコモメールが機能強化、低価格SIMに新顔

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。