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グーグル、3.5GHz帯の開放をFCCに働きかけ - 安価なネット接続サービス実現が狙い(WSJ報道)

2015.01.08

Updated by WirelessWire News編集部 on January 8, 2015, 14:05 pm JST

グーグル(Google)が、現在米国でほとんど使用されていない3.5GHz帯の開放を求めて米連邦通信委員会(FCC)にロビー活動を続けていると、米国時間5日にWSJが報じた。

WSJによれば、グーグルが開放を求めているのは、3.5GHz帯周辺にある150Mhz分の周波数帯。これらの帯域は、600Mhz〜700Mhz帯域などと比べると電波の到達距離などで劣る反面、大量のデータトラフィックを処理する必要のある都市部などでの利用には適しているという長所がある。グーグルらはこれらの周波数帯を誰でもライセンスなしで利用できるようにしながら、一部は特定の企業が専用で使えるようにすることなどを想定しているという。

同周波数帯はこれまで主に軍関係の用途(米海軍のレーダーなど)で利用されてきているが、グーグルは実験を通じてデータ干渉などの問題を防ぐことに成功したと主張しているという。また、開放後のプランについては、政府関係者向けの第1ティア、地域ごとに専用の帯域を割り当てる一般企業向けの第2ティア、そしてWi-Fiなどと同様誰でも利用可能な第3ティアの3つを設けるなどとする説明があるが、この切り分けなどに関する具体的な方法についての記述はみあたらない。

WSJによると、グーグルはこの取り組みの責任者に「Google Fiber」プロジェクトで責任者を務めていたミロ・メディン(Milo Medin)氏を任命しているという。さらに、同社が米国立科学財団(NSF)や国防高等研究計画局(DARPA)出身の周波数帯の専門家を雇い入れていることや、昨年夏に無線通信関連のアルペンタル・テクノロジー(Aplental Technologies)を買収していたことも触れられている。アルペンタルはクリアワイア(Clearwire)出身のエンジニアが立ち上げたベンチャー企業で、低コストで高速な無線通信サービスを実現するための技術の開発を進めていたという(ただし買収時に出ていた記事には同社の技術について、60GHz帯を利用した「自己組織型かつ超低電力の無線ギガビット技術」("self-organizing, ultra-low power Gigabit wireless technology")といった説明も見受けられる。

インターネットへの接続経路の中心が無線網にシフトし、またやりとりされるコンテンツも動画など大量のトラフィックを伴うものが中心となるなかで、米国ではここにきて周波数帯に対する需要がとくに高まっている。現在継続中のAWS-3帯オークションでは入札金額が450億ドル近くにまで達しており、また携帯通信最大手のベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)が保有する周波数帯の簿価も750億ドル以上にまで上昇。さらに、携帯通信サービス加入者が支払う料金の増加傾向も続いており、平均的世帯の月額携帯電話料金は2007年から2013年にかけて50%近く増加したとWSJは記している。

こうした傾向がさらに続けば、YouTubeをはじめとするGoogleの各サービスにとってはユーザーによる利用拡大の足かせになるおそれがある。グーグルが3.5GHz帯の開放を働きかける理由について、WSJではそう指摘している。

【参照情報】
Google Lobbies for Cheaper Airwaves - WSJ
Here's Google's Plan To Give Everyone Cheap Wi-Fi Access - Business Insider
Google wants to make wireless networks that will free you from AT&T and Verizon's data caps - BGR

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