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中国政府、オバマ米大統領のテロ対策法案批判に反論

2015.03.05

Updated by WirelessWire News編集部 on March 5, 2015, 14:32 pm JST

中国政府が準備を進めるテロ対策関連法案に対して、オバマ米大統領などが強い懸念を表明していたことに対し、中国政府の幹部が現地時間4日、「多くの欧米政府も同じようなことを行ってきた」などとして、この批判に対する反論を行ったという。

Reutersなどの報道によると、中国外務省の元次官で現在は全国人民代表大会の広報担当を務めるフー ・イン(傅瑩Fu Ying)氏は、同日北京で行われた記者会見のなかで、「米英をはじめとする欧米政府も長年、中国のテクノロジー企業に対して暗号キーの公開を求めてきた」と述べるとともに、中国が準備を進めているテロ対策法案については「国内の行政法と国際的な慣習に沿ったもので、インターネット企業の正当な利益を損なうものではない」などと述べたという。

中国政府のテロ対策法案については、国内でビジネスを行うテクノロジー企業に対し、暗号キーの引き渡しやシステムへの「バックドア」の設置などを求める内容を含んだ法案の準備を進めているとする話が報じられている。これに対しては、オバマ米大統領が強い懸念を表明。中国の習近平国家主席に直談判したことが明らかになっており、欧州委員会も中国政府との協議を行う姿勢を見せているという。

米国家安全保障局(NSA)による広範な情報収集活動が明るみに出て以来、中国では、国内のサイバーセキュリティ対策を強化する動きが進んでいる。そのなかで、中国政府は昨年12月、国内の金融機関にソフトウェアやハードウェアを販売するテクノロジー企業に対して、OSのソースコードの引き渡しやセキュリティ「バックドア」の設置などを求める新たなルールを承認。これに対しても、シスコ(Cisco)やマイクロソフト(Microsoft)などの大手米国企業を市場から不正に締め出すものとして批判の声が上がっていた。

いっぽう、米政府は過去に安全保障上の懸念を理由に、中国企業による米企業の買収に待ったをかけた例もあり、また一昨年のソフトバンクによるスプリント買収の際にも、ファーウェイ(Huawei)やZTEの製品の使わぬことを買収承認の条件としていたことが伝えられていた。

なお、フー氏は今後、テロ対策法案について引き続き修正を行っていく可能性があるとしつつ、同法案の安全保障の側面では妥協をするつもりはないと述べたという。

このほか、新華社通信(英語版)では、中国外務省の華春瑩(Hua Chunying)報道官も4日の定例会見のなかでこの件に触れ、「テロ対策法案の実施は必要不可欠な事柄」「法律の導入を通じて情報セキュリティを確保することは当然の措置」などとして、オバマ大統領らの批判を退けたと伝えている。

【参照情報】
China says tech firms have nothing to fear from anti-terror law - Reuters
China Says Push for Companies' Encryption Keys Follows U.S. Lead - Bloomberg
Cybersecurity law "makes perfect sense" - Xinhuanet

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