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[2015年第14週]ゲオ×OCN、ブックオフが格安スマホに新策、ドコモがテレビ向けアダプター、新生ソフトバンクモバイル発足

Weekly Report: Week 14 2015

2015.04.06

Updated by Naohisa Iwamoto on April 6, 2015, 20:26 pm JST

格安スマホに関連するニュースは、途切れることなく流れてくる。この週は、ゲオホールディングスとNTTコミュニケーションズが業務提携し、1000店舗を超えるゲオの店舗で格安スマホや格安SIMを販売するニュースと、ブックオフコーポレーションが格安スマホの違約金を廃止したニュースがあった。ドコモは定額制動画配信サービスの名称を「dTV」へと改め、同時にテレビで視聴できるアダプター「dTVターミナル」を提供する。ソフトバンクモバイルによる、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイルの合併が4月1日に完了したニュースもあった。

格安スマホを店舗数が多い身近なショップで

格安スマホの話題から。ゲオホールディングス(ゲオ)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、両社がモバイル事業で業務提携し、スマートフォンサービス「ゲオスマホ」を同日から開始したと発表した。新品のスマホだけでなくゲオが取り扱う中古端末と、NTT ComのOCN モバイル ONEを組み合わせて利用できる。ゲオスマホは、業務提携によって提供されるゲオのモバイル通信サービス「ゲオ×OCN SIM」と、ゲオが取り扱う端末を組み合わせたセット商品となる。提供するのは全国のゲオ全1047店舗(関連記事:ゲオとOCNが格安スマホ「ゲオスマホ」、新品・中古のスマホを自由に組み合わせ)。

ブックオフコーポレーションは、同社の格安スマホサービス「スマOFF」で2年以内に解約した際の違約金を撤廃するなどの利便性向上策を講じた。

ブックオフの格安スマホ端末Acer製「Liquid Z200」(報道発表資料より)

スマOFFでは、携帯電話をブックオフに売ることでSIMフリースマホ端末「Liquid Z200」の端末料金を無料で契約ができるが、2年の継続利用契約が必要で解約時には違約金が生じていた。ブックオフでは、この違約金を撤廃することで、気軽に格安スマホを試してもらえるようにしたという。SIMのサイズも標準SIMからmicroSIMへと改め、利用しやすくした(関連記事:ブックオフの格安スマホ「スマOFF」、解約時の違約金を廃止するなどの利便性向上策)。

ニュースの数は多くなっているものの、利用者の広がりはこれからといった統計データもあった。ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン(GfK Japan)は、SIMフリースマートフォンの販売動向、MVNO SIMカードの利用意向についての調査結果を発表した。SIMフリースマートフォンの販売に対する数量構成比は、2015年1月〜2月の数値で1%と、スマートフォン全体に占める割合がまだ低いことがわかった。ただし、家電量販店およびインターネット販売に限って数量構成比を見ると、SIMフリースマートフォンが5%に達するように、一部のユーザー層では利用が進んでいることもわかった(関連記事:SIMフリースマホの販売比率は全体で1%、家電量販店やネット販売では5%に--GfK Japan)。

ドコモは新ブランド「dTV」で動画配信、auは旅行に参入

キャリアのサービス関連のトピックを見てみよう。NTTドコモとエイベックス通信放送は、定額制動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」のブランドを4月22日に「dTV」へと変更する。同時に、ユーザーインタフェースの刷新やコンテンツの強化を図る。同サービスは、エイベックス通信が運営し、ドコモがdマーケットで提供するもの(報道発表資料:「dビデオ powered by BeeTV」のブランドを「dTV」に変更)。

dTVの名称変更やコンテンツ強化のタイミングに合わせてNTTドコモは、「dTV」や定額でアニメを見られる「dアニメストア」のコンテンツを、自宅のテレビで手軽に試聴できる専用アダプター「dTVターミナル」を発売する。dTVターミナルでは、docomo IDとパスワードの入力を省略できる「docomo ID自動設定」を採用し、IDなどの入力をせずに「dTV」や「dアニメストア」をテレビで手軽に視聴できる。外出中はスマートフォンやタブレットで、自宅に帰ったら大画面テレビで、動画やアニメのコンテンツを楽しめるようになる(報道発表資料:「dTVターミナル」を開発・発売)。

KDDIが、国内・海外の旅行商品販売サービス「auトラベル」を4月1日に開始した。ディー・エヌ・エー(DeNA)の旅行部門の子会社エアーリンク、モバオクと共同で提供するもの。auサービスのユーザーが、auスマートフォンからリアルタイムで旅行商品の検索やオンライン予約をできるようにするサービスで、商品購入時には商品価格の1%の「WALLET ポイント」が貯まる。au WALLET クレジットカードで購入すると3%のWALLETポイントが貯まるほか、WALLETポイントを支払いに充当することもできる(報道発表資料:旅行もおトク!「auトラベル」の提供開始について)。

新生ソフトバンクモバイル誕生、KDDIファンドがスマートロック事業者に出資

このほかのこの1週間のトピックを紹介する。新年度の始まった4月1日、ソフトバンクグループの中での大きな企業再編が完了した。ソフトバンクモバイルが、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイルと合併し、新ソフトバンクモバイルが誕生した。国内通信事業の競争力を強化と企業価値の最大化を図るとする。また、IoTやロボット、エネルギーなどの分野への事業拡大も実施していくという(報道発表資料:合併に伴う新会社発足と人事について)。

スマートロック時代が近づくか。KDDIは、「KDDI Open Innovation Fund」を通じて、スマートフォンを近づけるだけでカギの開閉を可能にするスマートロックを提供する、米August Homeに出資したと発表した。同社の「August Smart Lock」は、スマートフォンを近づけるだけでBluetooth認証を行うことで、鍵を使わずに解錠・施錠ができる。アプリを介して、特定の第三者に入室を許可することや、日時指定での解錠・施錠も可能だ(報道発表資料:「KDDI Open Innovation Fund」によるAugust Home (オーガスト ホーム) Inc.への出資について)。

キャリアのインフラのソフトウエア化に関する調査もあった。IDC Japanは、SDN(Software-Defined Network)およびNFV(Network Functions Virtualization)の国内市場に関する調査結果を発表した。その中でも。通信事業者向け市場は、2015年度に本格的な立ち上がりを見せると分析する。さらに2019年には、通信事業者向けのSDN市場が553億6500万円、同じく通信事業者向けのNFV市場は753億9900万円へと成長すると予測する(関連記事:2019年には国内のキャリア向けSDNが500億超、同NFCが700億円超の市場に--IDC Japan)。

最後に、バーチャル試着のトピック。東京スカイツリーのおひざ元にあるショッピングセンター「東京ソラマチ」に、アーバンリサーチ(以下UR)が開発したバーチャル試着ができる服の自動販売機「ウェアラブル クロージング バイ アーバンリサーチ」が、商業施設として初めて設置された。

「リアルショップ+ネット」の中に未来がある-東京ソラマチで試せる、URのバーチャル試着端末

試着対象となる商品はURのオンラインショップで販売しているもので、レディス・メンズどちらにも対応する。日本語、英語、中国語の3か国語に対応(写真左)。利用者の映像はウェブカメラとキネクト2によるモーションキャプチャーを利用して取り込み、60インチの液晶画面上でフィッティングする(関連記事:「リアルショップ+ネット」の中に未来がある-東京ソラマチで試せる、URのバーチャル試着端末)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。