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遠隔起動制御機能付テレマティクスシステムで車の与信審査を不要に、グローバルモビリティサービスが提供

Your vehicle can be controlled by someone else

2015.06.01

Updated by Asako Itagaki on June 1, 2015, 18:03 pm JST

グローバルモビリティサービス(以下GMS)は、オートローンやオートリースなどを行うファイナンス会社向けに、車両の遠隔起動制御機能を付加したテレマティクスシステムの提供を開始する。遠隔で車両の起動を制御するシステムにより、顧客からの料金支払促進と、ファイナンス会社が保有する対象資産の保全を可能とすることで、自動車ファイナンスの与信審査業務の省力化や、通常与信の無い顧客に対してもサービス提供が可能になる。

システムの核となる遠隔起動制御は、GMSが開発したMCCS(Mobility-Cloud Connecting System)で提供する。MCCSは、自動運転技術の一部を自動車向けIoTサービスとして提供するモジュールで、自動車、二輪車、建機、農機などに後付で搭載することであらゆるモビリティをコネクテッド・カー化してクラウドに接続する。従来の自動車向けテレマティクスでは、車両の位置情報や利用状況などの情報収集に機能がとどまる物がほとんどだったが、双方向の遠隔起動機能を付加することで、支払われるべき入金がされなかった場合や、指定エリアからの逸脱など契約条件に抵触した場合、該当車両を起動しないように制御することが可能になる。

▼実証実験中のMCCS搭載車両
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▼MCCS管理画面(クリックで拡大)
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同時に、利用者のスマートフォンなどに未払いにより制御をかけた旨や入金を促す通知を行うことや、車両の現在地をリアルタイムで検知することにより、未納金回収の円滑化と資産保全を実現する。GMSでは、「与信審査業務が省力化されることにより個人・零細企業等を対象としたオートリース市場の成長が期待され、また先進国において顕著な自動車販売台数減少に歯止めをかけることが期待される」としている。

月額のサービス利用代金は月額3,000円程度で、2015年10月のサービス開始を予定しており、すでに大手リース会社など複数の企業が導入を検討している。2016年3月までに3,000台程度の普及を目指す。

同社は2014年から2015年1月にかけて、フィリピンでE-Tricycle(電動三輪タクシー)の普及に向けてMCCSを搭載した電動車両提供サービスの実験を実施し、2015年4月からは、同じくフィリピンでMCCSと富士通の位置情報活用クラウドサービスを連携して、バッテリー状態管理や省エネ走行案内などを提供する実証実験を開始している(関連記事:フィリピンでICTを活用した電動三輪タクシー(トライシクル)の普及に向けた実証)。また、フィリピンの通信キャリアであるPLDTグループのスマート社、配電会社であるメラルコグループのMSERV社、料金改修企業であるメラルコグループのバイアドセンター社の3社と業務提携を締結し、MCCSを中心としたプリペイド課金による車両提供サービスプラットフォームを構築している。

 

【報道発表資料】
自動車ファイナンスの与信審査を不要にする遠隔制御IoTシステムの開発

 

※変更履歴
記事初出時、タイトルにて社名を誤って「グローバルモビリティシステム」と記載しておりましたが、正しくは「グローバルモビリティサービス」です。お詫びして訂正いたします。(6/1 23:00)

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。