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JKT48、仲川遥香がチームTキャプテンに!:アイドルを通して近づくインドネシアと日本

2015.06.17

Updated by Hitoshi Sato on 6月 17, 2015, 08:52 am JST

ジャカルタでJKT48 のコンサート「JKT48  Live  in  CONCERT  ADA  BANYAK  RASA,  PILIH  SUKA  RASA  APA?(和訳:JKT48 コンサート 色んな味がするよ、どの味が一番お好き?)」が2015年6 月13日に行われた。コンサートはチーム毎の3公演と全メンバー参加のコンサート、計4公演が行われた。  コンサートはジャカルタのBritama Arena Sport Mall Kelapa Gadingで行われ、7,580名の観客を集めた。チームコンサートは205年1月に結成されたばかりのチーム Tの「てっぺんとったんで」 からスタートし、チーム KⅢ「Don't look back」、チーム J 「アイドルの王者」と進み、全メンバーコンサートでは、4期生候補生を含めた76人がステージに登場した。

そして公演の最後にサプライズで、JKT48での人事異動が発表された。各チームのキャプテンが一新され、またジャカルタ初の劇場支配人も任命された。チームJのキャプテンにシャニア・ジュニアナタ、チームKⅢキャプテンにデフィ・キナル・プトゥリ、チームTキャプテンにはAKBから移籍した仲川遥香さんが就任した。またメロディー・ヌランダニ・ラクサニが JKT48 劇場支配人に任命された。ステージ上で泣き崩れるメンバー、そして会場からは大きなどよめきに包まれた。

JKT48で初の劇場支配人に任命されたメロディーは「この責任はとても重いけど、メンバーとファンのみなさんの協力で乗り越えていきます。」と意気込みを見せて挨拶し、会場からは暖かい拍手が起こった。JKT48 の初期メンバーで、メンバーの信頼度が最もあついメンバーの1人であるメロディーが劇場支配人として JKT48 を支えて盛り上げていくことになる

日本人として初めてJKT48のキャプテンに就任した仲川さん

©JKT48 Project

チームTのキャプテンに任命された仲川遥香さんは「私は無力だけど、チーム T のみんなと一丸で良いチームになるように頑張ります。特にチーム J、チーム KⅢよりも強いチームを目指します!」と強い意気込みを示した。

仲川さんはAKB48から移籍して約2年半、 JKT48 選抜総選挙では昨年3位、今年は2位に入るほど、インドネシアでは有名なアイドルである。そして今度はJKT48の中で日本人としては初のキャプテンに就任し、JKT48 の中でも若いチーム T を躍進させることを誓った。

サプライズ人事があった翌日6月14日にはジャカルタのFXにあるJKT48劇場でチームTの公演があり、 最後に仲川さんが舞台に登場し、ファンやチームTのメンバーの前で、流暢なインドネシア語で改めて意気込みと決意を語った。仲川さんが舞台に登場するや、チームTの公演に来ているインドネシアのファンからも大きな声援をうけていた。ラマダン前の公演ということもあり、会場は大いに賑わっていたが、仲川さんがいかにインドネシアのファンやメンバーに受け入れられていることが伺えるシーンだった。現地ではテレビのバラエティ番組や歌番組にもよく出演しており、今のインドネシアでは最も有名な日本人の1人である。

インターネットでなんでも情報がとれる時代だからこそ求められるリアルでの活動

インドネシアでは動画サイトにJKT48の動画は大量にアップされており、FacebookやTwitterで大量に拡散されている。JKT48は日本のアイドルAKB48の海外姉妹グループである。インドネシアではJKT48だけでなく、AKB48も大人気である。彼らは日本で放送された歌番組やバラエティをインターネットの動画サイトでほぼリアルタイムにチェックしているから、日本のAKB48グループのことをよく知っている(英語、マレー語かインドネシア語で字幕が付いていることが多い)。そのためJKT48の劇場にいる現地のファンに聞いても「まゆゆ」や「たかみな」「こじはる」などAKB48のメンバーは大人気である。彼らはインドネシア語でAKB48について熱く語っている。例えばSKEの松井さんの卒業は現地のメディアでもインドネシア語で報じられるくらいの注目ぶりである。

JKT48はAKB48グループの曲をインドネシア語で歌っている。インドネシアは世界有数の親日国であり、AKB48以外にはCOWCOWなどのお笑い芸人の人気も高いが、それでもまだ韓国のそれに比べると小さい。最近では日本のタレントがインドネシアにやってきたり、寄席など日本文化の紹介をするイベントなどもあるが規模はまだまだ小さく大きなインパクトはない。

日本のメジャー級でインドネシアでも人気のあるタレントやコンテンツで、まだインドネシアに来たことがない人やキャラクターはたくさんある。インドネシア人がネット動画でよく見ており、人気はあるが、まだインドネシアを訪問したことがなく、インドネシア人が心待ちにしている日本のタレント、アイドル、キャラクター、プロダクションはたくさん存在している。そこにはリアリティが感じられない。それらは所詮ネットで見る「遠い憧れの国、日本」での物語である。せっかくインドネシアで人気があるのに、非常にもったいないことをしている日本のタレント、キャラクターがたくさんいて残念だ。

リアリティのあるAKB48とJKT48へのシンパシー

AKB48はインドネシアでも大人気である。2015年2月にはAKB48とJKT48の合同コンサートがジャカルタで開催され、現地のファンらの熱狂ぶりは相当なものでAKB48のインドネシアでの人気の高さが伺えた。日本のメディアでも多数報じられていたので、ジャカルタでの様子を見た人も多いだろう。また5月にはジャカルタで開催された『ジャカルタ「絆」駅伝2015』にAKB48のメンバーも参加した。インドネシア人にとってAKB48は動画サイトの世界の中だけでなく、リアルに見て感じることができる存在になってきた。

JKT48の歌っている曲はAKB48グループが歌っていた歌をインドネシア語で歌っていることから、JKT48を通じて日本に対する親近感と馴染みも出てくる。JKT48の曲から日本のAKB48に興味関心を持つようになったインドネシア人はたくさんいる。さらに劇場やコンサートではインドネシア人が日本語で「超絶かわいい」など大声で応援している。そこはまさに日本なのかインドネシアなのかもわからない。

また仲川さんのように日本のAKB48からインドネシアにやってきて、最初はたどたどしいインドネシア語だったが、現在では流暢になり、ファンやメンバーからの信頼や人気を獲得している。その仲川さんが日本人としてJKT48チームTのキャプテンになって、チームを率いていくことはインドネシア人にとって彼女の存在をますます身近に感じることができるようになる。インドネシア人にとっては日本人がインドネシア語で頑張って話してくれて、日に日に上達していくことが、もの凄く嬉しい。ましてそれが自分が応援するアイドルであれば、なおさらであり、ますます応援したくなる。さらに仲川さんが率いるチームTにも注目が集まる。

AKB48は日本のタレントとしては頻繁にインドネシアを訪問してくれているという印象が強く、インドネシア人のファンはAKB48のインドネシア再訪問とコンサートを心待ちにしている。インドネシア人にとってはJKT48 もAKB48もネットの世界だけで見るものではなく、リアリティを感じる存在なので、つい気になるし、応援したくなる。

インターネットが普及し、世界中どこにいてもあらゆる情報や動画がネットで見ることできるようになったが、それだけではリアリティを感じない。本当に求められているのはリアルなところでのファンとの交流やコンサートなど、現地に赴いての活動である。JKT48は総選挙の時に全国を行脚して活動してファンと交流していた。劇場ではほぼ毎日公演が行われている。ネットでなんでもかんでも見られる時代だからこそ、このような地道な活動によるリアルな存在感が求められているのだろう。そしてそのようなリアリティがJKT48、AKB48がインドネシアで人気がある要因なのだろう。

是非ジャカルタを訪問したら、FXにあるJKT48劇場に足を運んでみよう。そこにはネット動画だけでは味わえないリアリティを感じることができるはずだ。

【参考動画】JKT48が歌う「希望的リフレイン」(オリジナルはAKB48が歌っていた)。このような動画はたくさんネット上にあり、閲覧されている。

▼ジャカルタのJKT48劇場に集まる大勢のファン20150617-sato-2

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。

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