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タブレットが普及すると児童向けの紙の本が売れる

The more tablet, the more childern’s print book sales

2015.07.06

Updated by Mayumi Tanimoto on July 6, 2015, 09:00 am UTC

5月に訪問したLondon Book Faireで気になったことがありました。それは例年以上に児童向け書籍のセクションが大人気で、セミナーは毎回ほぼ満席、児童向け書籍のブースも大盛況で移動すら大変だったことです。

興味深かったのは、日本だと、「児童向け書籍=これからはデジタル教科書」という議論になりがちで、政府もデジタル教科書を配布するとか、よく分からないデジタル教科書検討会があったりとか、佐賀県武雄市のICT教育がホットな話題だったりするわけです。ところで、英語圏では、良い学校だと、小学校からPCでプレゼンをやるのが授業だったり、宿題もワードで書くのが当たり前だったりと、ICT教育とか、学校でのIT導入が日本とりもはるかに進んでいたりするわけですが、なぜか、そういう地域で最近話題なのは、児童向けの紙の本の売り上げが伸びていることです。

Nielsen Book社長のJonathan Nowell氏によると、2014年のアメリカの書籍市場の売り上げは2%増加だったが、子供向けは年に13%増加であり、書籍業界の売り上げ全体が子供向けの本により牽引されているというのです。(Jonathan Nowell “Childern’s print book sales buck the trend”, Publisher’s Weekly, London Show Daily, 14 April 2015 p 14)

面白いのは、この傾向が、インドを除く主要国で似ているところです。イギリスでは2014年の売り上げは前年比2%減でしたが、子供向けは8%増加。2004年には書籍市場の24%を占めていた子供向け書籍が、2014年には35%に増加しています。中国では全体の売り上げは3%増加でしたが、子供向けはなんと10%増加。ブラジルでも大幅な増加です。

これらの数字には電子書籍は含まれておらず、紙だけというのが興味深いです。Nowell氏曰く、この傾向のはっきりとした理由は不明だが、子供に紙の本を買い与える親が多く、特に年齢層の高い親や高収入層は紙の本をたくさん購入している、とのことです。つまり、紙の本を買う親の数が増えているのか、それとも、少数の教育熱心な親が多くの本を買っているのかは不明ですが、タブレットが普及すればするほど、電子書籍が普及すれば普及するほど、子供には紙の本に触れて欲しいと思う親が増えるのは興味深いです。

子供向け電子書籍の売り上げも年々伸びており、アメリカでは電子書籍市場の21%を占めます。タブレットの使用の低年齢化が進んでいるので今後さらに伸びる見込みです。イギリスでは0歳から10 歳までの子供の娯楽の一位は紙の本の読書で、11-13歳はテレビ、14歳になるとスマホとタブレットが一位に躍り出ます。これはiPadのアプリのランキングを見ても感じることで、英語圏だと、ランキングの上位に子供向けのアプリやら電子書籍がでてきたりします。一方で、日本だと、アダルトっぽいものとか、萌え系コンテンツとか、ソシャゲとかパチンコが好きそうな人が好みそうなアプリだったりするので、日本の親は何をやっているのだろうと、大変気になります。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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