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米国T-Mobile US:次の「Un-carrier Amped」はカナダ、メキシコでのローミング費用ゼロ

Calling across the U.S., Mexico & Canada at no extra charge

2015.07.15

Updated by Hitoshi Sato on 7月 15, 2015, 17:53 pm JST

2015年7月、アメリカの通信事業者T-Mobile USが「Un-carrier Amped」を発表した。「アンキャリア」の名前のごとく、従来の通信事業者からの脱却を目指した施策・サービスの提供で、2013年3月から開始された施策で今回で10個目となる。

今回はアメリカ、カナダ、メキシコ間での音声通話の国際料金が追加でかからないで電話がかけられる。またデータ通信のローミング費用もかからないので、アメリカで利用するのと同じ料金でメキシコでもカナダでもデータ通信が利用できる。

音声通話についてはアメリカからメキシコやカナダへの電話だけでなく、メキシコやカナダからアメリカへの電話、メキシコからカナダ、カナダからメキシコへの電話も追加料金がかからないで通話が可能である。T-Mobile USの「Simple Choice」プランに加入者が対象で、2015年7月15日から提供開始である。「Simple Choice」プランは毎月50ドルで通話とSMS(ショートメッセージ)が無制限でデータ通信が1Gまで利用できるプランである(データ通信は3Gまで60ドル、5Gまで70ドル、無制限で80ドルがある)。

T-Mobile USのリリースによると、アメリカからの国際電話の35%、海外旅行の55%がメキシコとカナダである。また小規模から中規模の海外出張の70%以上がメキシコとカナダであり、この北米大陸では人の移動が頻繁に行われている。そこでのローミング費用がかからないで音声通話、データ通信が利用できることは、カナダ、アメリカに頻繁に行くアメリカ人にとっては嬉しいサービスであろう。

T-Mobile USはここまで「Un-carrierサービス」で加入者を大きく増加してきた。ただしキャンペーンには相当なマーケティングコストをかけているので赤字である。9期連続で100万以上の純増で、2015年第2四半期も210万人に純増だった。

今回のローミング費用も毎月50ドル以上を支払う「Simple Choice」プラン加入の人が対象だが、あまりにも国際電話やカナダやメキシコでのデータ通信が発生するとローミング費用はT-Mobile USの持ち出しだろうから、T-Mobile USにとってはますますコストがかかることになるだろう。今回の「Un-carrier Amped」もカナダ、メキシコへ頻繁に行く人にとってはインパクトがあり、他社との差別化にはなるが、T-Mobile USにとってはますますコストが多くなって、売上高は増加しても赤字という体質からなかなか脱却できないかもしれない。

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【参考動画】Mobile without Borderを説明するCEO のJohn Legere氏

【参照情報】
T-Mobile Introduces ‘Mobile without Borders’: Extends Coverage & Calling Across North America at No Extra Charge
T-Mobile Adds 2.1 Million Customers in the Second Quarter 2015
進化するT-Mobile USの「Un-carrier 戦略」
T-Mobile USの「Un-Carrier7.0」はWi-Fi callingとWi-Fi texting
T-Mobile USの「Un-carrier 8.0」は「パケットくりこし」
T-Mobile US「Un-carrier 9.0」は法人市場向け「シンプルでわかりやすい料金」の提供

 

 

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。