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「ストはお互い様」の人情を理解できなかったUber

Uber did not understand the interdependent mechanism of strikes

2015.08.14

Updated by Mayumi Tanimoto on August 14, 2015, 10:21 am UTC

今年の夏、ロンドンを旅行する人や、ホリデーを先延ばしにして夏は働いている人は、散々な目にあっています。秋から始まる地下鉄の深夜運行に大反対の組合が地下鉄ストが頻発し、電車はあちこちで工事中なので、移動が大変なのです。

天気が良ければ、歩いたり、スケボーで移動するなど、トラブルを楽しむのも可能ですが、歩けない距離だとタクシーに頼りたくなります。

今夏のストでは、Uberが注目を浴びています。

ロンドン名物のブラックキャブや、ミニキャブと呼ばれる、ブラックキャブよりも安い予約制のタクシーを拾う人が殺到しているため、Uberを使ってみようという人が増えたためです。

ストで利用者が増えたので知名度アップかと思われましたが、反対に、「乗る人にはできる限り課金する、運転手からは搾取する、俺ら中間搾取でウハウハ」という本音が知れ渡ってしまい、悪名が広まるという事態になっています。

悪名が広がった理由の一つは、ストの間も料金体系を変えなかったことです。

Uberは需要によって料金が上下するので、普段は、値段がブラックキャブの半分以下なのに、ストの間は道路の渋滞により、ひどい場合は料金が普段の3−4倍になってしまう人がいました。

ここではストというのは、「働く人間には権利があるよ。俺だってひどい職場は嫌だし、給料下がるのはやだよ。まあお互い様だよね」という感じがあります。

地下鉄がストをやるときには、職場では、就業時間を早くしたり、プロジェクトのスケジュールを変えたりするのが当たり前です。上長は「早く家に帰りな」といったりします。ブツブツ文句をいう人はいますが、怒る人はあまりいません。

ストの最中に、無料サービスを提供したり、割引をして、ストを宣伝の機会にしてしまう会社もあります。

金融街カナリーワーフのETMは、ストの間に50%引きのメニューを提供。自転車チェーン大手のEvans Cyclesは、ストの間中に無料の自転車点検サービス、無料の自転車修理、無料の自転車メンテ教室を提供していました。Evans Cyclesは、普段からCMが面白いのですが、ツイッターで「#BikeTheStrike」というユーモアセンス溢れるハッシュタグをつけて無料サービスを宣伝していました。

「ストを利用して楽しくやろうぜ!」という前向きさがありますし、ストをやる人たちを一方的に責めるわけでもありません。人情とユーモアのある感じが楽しいですね。

しかし、ストをお金儲けの機会にしてしまったUberは、「お前の会社は人情がないんかい!」とユーザーを激怒させてしまった上、登録ユーザーには、以下のようなメールを送りまくって、さらに炎上拍車をかけてしまいました。

 

Screenshot 2015-08-05 19.44.22

 

ヨーロッパでは、Uberを禁止する国がでてきています。Uberは、古い国の「お互い様」を理解しないとそのうち痛い目にあうかもしれません。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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