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アイデア大会ではなく事業展開を目指す--ソフトバンクが Innovation Programを説明

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2015.08.19

Updated by Naohisa Iwamoto on August 19, 2015, 20:56 pm JST

ソフトバンクは2015年8月19日、7月30日に発表した「SoftBank Innovation Program」の第1回の募集について説明会を開催した。革新的なソリューションや技術を世界の企業から募集し、商用化を検討・実現するプログラムで、会場となったソフトバンク本社には約100社の企業から担当者が来場した(関連記事:ソフトバンク、世界から「新しい価値」の源泉を募集するイノベーションプログラム)。

▼多くの企業担当者が集まって熱心に説明に聞き入っていた「SoftBank Innovation Program」の説明会20150819_sb001

登壇したソフトバンク専務取締役でプロダクト&マーケティング統括の今井康之氏は、SoftBank Innovation Program(以下、プログラム)について「ソフトバンクは、いままで自己完結でプロダクトを作ってきた。しかし今後は、我々の持っているリソースを生かして、パートナー企業と事業を組み上げて行きたい。今回はプログラムの第1回として、仕組みを理解いただいて事業へ結び付けたい」と、開催の背景を説明した。プログラムでは、ソフトバンクが持つキャリアとしてのリソースと、日本および世界の企業が持つ技術やサービスを組み合わせることで、革新的なサービスを作り上げることが狙いだという。

今井氏は、「募ったアイデアは、ソフトバンクが製品化するということではなく、応募したパートナー企業と一緒に事業を展開していくスタンス」と、パートナー戦略の1つであることを強調した。 プログラムの実施に際して、ソフトバンクが提供できるリソースとしては、4000万人を超える個人と43万社の法人顧客の顧客基盤、モバイルネットワークおよび40万を超えるアクセスポイントを持つWi-Fiといったネットワーク・インフラ、位置情報や課金、メッセージ配信などの機能、サービスを挙げた。これらをプログラムに応募する企業が自社のアイデアやサービス、商材などと組み合わせて、新しいビジネスの提案をし、事業化が可能なアイデアに対しては事業化を推進する。

▼SoftBank Innovation Programの枠組み。対象はスタートアップ企業に限らず、実ビジネスの創出を目指す20150819_sb002

今井氏は、「対象はスタートアップから大企業までで、すべての企業に一緒に事業展開する機会を提供する。スタートアップ企業やベンチャー企業だけを対象にするものではなく、よくあるようなアイデア大会にするつもりはない」と、事業化のシーズを引き出すためのプログラムであることを重ねてアピールした。

プログラムの概要としては、クラウド&ビッグデータ、IoT、スマートロボット、AIといった世界的に広がるビジネスのキーワードを掲げた中で、今回は「IoT」がターゲットだと説明する。IoTというと、ネットワークカメラやBeaconといったハードウエアを想起しがちだが、プログラムではソフトウエアとハードウエアのコンビネーションによるサービス構築を想定する。テーマとしては、IoTの中でも注目する分野として「スマートホーム」「コネクテッドビークル」「デジタルマーケティング」「ヘルスケア」を掲げ、IoTを具現化するにあたり、ソフトバンクの中のリソースだけでなく、広くパートナーといっしょに世の中の要求に応えていきたいという。

▼第1回のアイデア募集は「IoT」がターゲットで、「スマートホーム」「コネクテッドビークル」「デジタルマーケティング」「ヘルスケア」のテーマを設けた20150819_sb003

プログラムの特徴は、国際的なアイデア募集の場であること。応募企業は国内に限らない。また米スプリントや米ブライトスターといったソフトバンクのグループ企業を介して、国内企業が応募したアイデアを元にグローバルでサービスの展開をすることも視野に入れている。そのため、エントリー時には日本語または英語で説明などを記載するが、「チャンスを活かすためには英語でも是非記入してほしい」(プロダクト&マーケティング統括 サービスプラットフォーム戦略・開発本部 イノベーション推進課 担当課長の原 勲氏)とアドバイスもあった。

スケジュールとしては、案件応募が9月30日まで。資料を元に一次選考を行い、11月末までに結果を発表する。3月末をメドに最終選考を行い、商用化へ向ける計画だ。最終選考の時点で、プロトタイプを作ってテストマーケティングを実施し、商用化へのインパクトを測定して選考するという。説明では「選考で順位を決めることは考えていない、いいものがあればその分だけ取り上げる」(原氏)とのコメントがあり、多くのアイデアの応募によって、ソフトバンクに新しい価値をもたらすサービスを数多く生み出したい意向を示した。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。