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地球に降り立った全裸のターミネーターが見ていたもの

想像する映画、創造する技術 #1

2015.09.07

Updated by Masato Yamazaki on 9月 7, 2015, 18:00 pm JST

ドラえもんのいる世界は、まだ現実のものとなっていないけれど、足音は聞こえてきている感がある。4次元ポケットはさすがに無理だが、ロボットは近い将来に身近なものになるであろう。過去に映画で見た未来は、荒唐無稽だったり、憧れだったりした。それでも、遠い未来のことだと思っていたし、自分が生きているうちに現実のものとなるとは想像できなかったのではないだろうか。もちろん、手が届きそうなものもあったけれど、もっとずっと先のことだと思っていた。

しかし、科学技術は、20世紀の空想家たちの期待を裏切り、未来を先取りした。作家の想像力が科学者のインスピレーションを刺激したのか、はたまた逆か。妄想と科学は切磋琢磨しながら、着々と未来の暮らしを実現し、世に放ち続けている。テレビがお茶の間に来たときのような人類総出の大騒ぎがないため目立たないだけで、何ごともなかったかのように隣に鎮座していたりする。そのため、私たちは、フィクションがノンフィクションに変わる瞬間を案外見落としていたりする。その内のいくつかを紹介していきたい。第1回目は、今年7月に続編が公開されているあの映画から。

(C)1991 STUDIOCANAL All rights reserved.
(C)1991 STUDIOCANAL All rights reserved.

アーノルド・シュワルツェネッガーの出世作『ターミネーター』の続編、『ターミネーター2』(1991年公開)で画像認識が使われている。2029年からタイムトラベルで地球に到着した全裸のターミネーターは、画像認識により体格測定をを行い、自分と体格が一致するバーにいた男から服を奪う(7分2秒)。このシーンでは、ターミネーターが見ている映像が赤い画面上に映し出され、体格測定の結果が次々と文字情報となって表示されるという形で画像認識が表現されていた。

ここで使われているような画像認識/顔認識技術が身近になったのは意外に早く、2002年前後から次々と製品が発表されている。

2005年2月にはニコンが、生体認証技術を用いた、世界初の「顔認識AF」機能を搭載したコンパクトデジタルカメラを発売している。Identix 社(本社:米国ミネソタ州 当時)が開発した生体認証技術を用いた顔認識技術「FaceIt」を採用。顔であることを検知し、画面上のどこに顔があっても、顔にピントを合わせることができる。これにより、ピンぼけのスナップ写真は激減したと思われる。(※「FaceIt」を使ったパソコン用の顔認識ソフトなどは1999年から発売されている)

また、顔認証については、NECが力を入れている。顔検出/顔照合エンジン「NeoFace」を2002年より製品化。2006年には、1秒間で100万人の顔データとの照合が可能となり、2009、10、13年には、米国の国立技術研究所のベンチマークテストで1位の評価を得ている。当時の資料には、脳の働きを模したモデルとあり、人工知能、機械学習の流れがみられる。

その後、2007年9月には、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、顔認証ゲートを導入、年間スタジオ・パスを持ったゲストは顔パスで入場が可能となったりと、自然に生活の中に溶け込んでいる。

このように、画像認識技術は意外に早く一般化し、商品に組み込まれていった。きっかけのひとつは、インテル(アメリカ)が、画像処理・解析、機械学習等の機能を持ったライブラリ、OpenCVをオープンソースとして公開したことによる。1999年にスタートし、2000年にα版公開、以降、顔認識プログラムを容易に開発できるようになった。加えて、企業や個人にとって利用する際の自由度の高いBSDライセンスであったため、さらに進化は加速していくことになる。

オープンソースの画像認識技術と、撮像素子の高解像度化、コンピュータの情報処理性能の向上が相まり、画像認識技術はお茶の間化し、世に溢れることとなった。便利でもあり住みにくくもあり、何とも言い難い世の中になってきていることは間違いない。

 

「ターミネーター2」・最新作「ターミネーター:新起動/ジェニシス」の作品情報はこちら

 

【参考】
世界初の「顔認識AF」機能搭載コンパクトデジタルカメラ 2005年2月
顔検出/顔照合エンジン「NeoFace Ver2.4」を発売 2006年3月

【協力】
シネマクエスト-全国の上映館スケジュールが検索できる映画情報サイト
http://cinema.co.jp/

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山崎 雅人(やまざき・まさと)

通信会社社員。まじめに通信の未来を考えるかたわらで、IT初心者、小規模事業者のみなさまに気軽にITを活用して頂くための活動を推進しています。はじめてWEB経理通信Cloud Blogなども展開中。
※本文は個人としての発言であり、所属する会社等とは一切の関係を持ちません。

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