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インドネシアのSmartfren: 4G LTE-Advancedサービス開始、求められるスピード以外の付加価値

2015.09.08

Updated by Hitoshi Sato on 9月 8, 2015, 08:00 am JST

インドネシアの通信事業者Smartfrenは4G LTE-Advancedをインドネシア全土で開始することを明らかにした。システム構築は中国メーカーでグローバルに展開しているZTEが担当した。

Smartfrenが導入した新たな4G LTE-AdvancedはFDD-LTE、TDD-LTEの両規格をサポートするもの。ジャカルタで2015年8月19日から商業運用を開始しており、通信エリアは既にインドネシアの主要22都市をカバーしている。

Smartfrenのポール・ホッジス最高経営責任者(CEO)は、次のように述べている。「当社4G LTE-Advancedサービスの全国での開始は先の試験成功を受けてのものであり、また2015年6月にはLTE対応スマートフォンのAndromaxシリーズと携帯型Wi-Fiデバイスをリリースしています。Smartfrenでは4G LTE-Advanced技術がお客様にとって多くの機会を切り開くものとなり、インドネシアの経済成長を支える背骨としての情報通信技術産業をさらに促進させると考えています。お客さまは4G LTE-Advancedにより、より向上したマルチメディアストリーミング、オンラインゲーム、クラウドストレージ、ビデオ会議を利用できるようになります。Smartfrenは、最高の4G LTE技術をインドネシアにもたらすことで、速度の高速化だけでなく、安定性と信頼性を向上させた4G LTE体験を実現すべく、真剣な努力を傾けているところです。」

Smartfrenのクリスチャン・ダイニョール最高技術責任者(CTO)は、次のように述べている。「Smartfrenはインドネシアで最も広範なLTE Advancedサービスをまさに開始しました。当社はTDDとFDDの両技術を活用して、両技術の最良の部分、すなわち2300 MHzにおけるTDDの大容量と高スループット、850 MHzにおけるFDDの広大な通信エリアを取り入れています。こうした組み合わせによって、当社は最高のブロードバンド体験を提供できるのです。Smartfrenが今回のネットワーク配備でZTEを選定したのは、両社の長きにわたる提携関係と、ZTEのTDDネットワークにおけるリーダーシップが理由です。」

ZTE総裁の史立栄(シー・リーロン)は、次のように述べている。「ZTEは、Smartfrenと提携して、インドネシアでZTEの4G LTE Advancedネットワークを本格展開でき、うれしく思います。ZTEは、Smartfrenが最高のモバイルブロードバンドサービスを顧客に提供することに貢献できる最先端LTEエコシステムを提供すべく、全力を傾けています。両社の提携は、インドネシアで持続可能性のあるLTEネットワークを発展させるという当社の長期ビジョンにも適合しています。」

ZTEはユニバーサル・サブスクライバー・プロファイル・プラットフォーム(USPP)、ポリシー/課金ルール機能(PCRF)、オンライン課金システム(OCS)で強力な製品を提供しており、CDMA/ LTE両ネットワークのコアNEは高度の統合性を持つことで、統合的なユーザーデータベース、ポリシー制御、課金ポリシーを提供するため、LTEネットワークの迅速展開を可能にし、その後の3G/4Gネットワークの保守・運用を促進して、運用経費を低減することができる。

インドネシアでも4G LTE-Advancedの競争が幕開け

Smartfrenは2002年にサービスを開始し、2011年にCDMA EV-DO Rev.B技術を投入し、世界で初めて同技術を採用した通信事業者となった。2015年第2四半期におけるSmartfrenの顧客は1,190万人で、市場シェアは4%程度しかない。インドネシアではまだ非常に小さい通信事業者だ。

Smartfrenでは今回導入した高度なオンライン課金システム(OCS)のメリットを活用して、市場で柔軟性のある料金パッケージを提供することができるようになった。これで高所得者層を狙ってサービス展開をしていこうとしている。但しインドネシアで高所得者層は既にTelkomselなど大手通信事業者を利用していることが多いので、どのように巻き返していくのか注目である。

求められるスピード以外の付加価値

そしてついにインドネシアでも4G LTE-Advancedの本格的な競争が始まろうとしている。インドネシアでも都市部のジャカルタなどでは多くの人はスマートフォンを利用している。それでもほとんどの利用者がデータ通信もプリペイドで、料金には敏感だ。速度よりも料金の安さを選ぶ。4G LTE-Advancedは確かに速いが、一般の利用者はそこまで求めていない。データ通信は3GでもYouTubeなどの動画を見て楽しむことができる。さらに「3Gでも高い」と思っている人が多く、料金節約のために無料のWi-Fiスポットにいって動画やインターネットを楽しんでいる。

4G LTE-Advancedが導入されたところで、多くの人がスピード(通信速度)だけではサービスプランや利用方法を変えたりはしないだろう。Smartfrenにはスピードと料金だけではない、付加価値が求められている。

▼Smartfrenでは、同社のマスコットキャラクターのポスターやスティッカーをインドネシア全土のキオスクなどに貼ることによって、宣伝やキャンペーン、販売促進を展開している。
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【参照情報】
NAIK BUS, DRIVE TEST JARINGAN SMARTFREN 4G-LTE DI SEMARANG(Smartfren)
ZTE Supports Smartfren Launch 4G LTE-Advanced Service in Indonesia (ZTE)

 

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。

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