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360°コンテンツ作成機器も増え、欧州でも活気づくVR市場 ーIFA 2015 リポートー

2015.09.28

Updated by Yuko Nonoshita on 9月 28, 2015, 06:56 am JST

9月4日からドイツのベルリンメッセで開催された国際家電見本市「IFA 2015」では、ネットワーク家電やオーディオ機器、モバイルやウェアラブル製品など、世界50カ国から1645のブースが出展された。世界で注目が高まるVR関連の出展も多く、正式名が「PlayStation VR」(開発名はProject Morpheus)に決まったソニーのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)や、HTCの「Vive」などの体験コーナーが設けられていたほか、ハコスコやGoogle cardboardのような段ボール型の簡易VRビュアー、そして、VR向け360°動画コンテンツを作成するための機器がいろいろ出展されていたのが興味深かった。

▼ドイツのベルリンメッセで開催された国際家電見本市「IFA 2015」はCESと並ぶ世界最大規模のエレクトロニクスショーで世界から24万人以上の来場者が訪れる。
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▼ソニーのブースでは「PlayStation VR」が体験できるコーナーが設けられていた。
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▼HTCの「Vive」はInterブース内にCPUパワーを体感するツールとして体験コーナーが設けられていた。
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▼スマホと簡易型ビュアーを組み合わせたVR体験コーナーもあちこちで見られた。
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スマホで体験できるタイプのVRビュアーはいろいろ登場しているが、Samsung Gear VRは本体単体よりも、VRコンテンツを見るためのデバイスとしてのほうが会場では多く見られた。サムスンのブースはもちろん、T-mobileのブースでも体験コーナーは盛況で、ゲーム以外で手軽にVR体験ができることに関心が集まっていたようだ。VR用の簡易ビュアーに関しては、Samsung Gear VRにレンズを提供しているカールツァイスことZEISSがオリジナル製品のVR ONEを出展。画像のクリアさをアピールすると同時に、様々なスマホのサイズや規格に対応できるビュアーの開発も行えること紹介していた。同じくVR用簡易ビュアーでは、ソフトウェアも合せてオープンな開発プラットフォームの構築を目指すOpen Source Virtyal Realityが開発したOSVRも出展しており、こちらはVRゲーム市場の拡大も合わせて支援するとしていた。

▼Samsung Gear VRはサムスンのブース以外にVRコンテンツを展示するコーナーでよく使われ、T-mobileでは体験しようと長い列ができていた。
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▼高級レンズメーカーでおなじみのカールツァイスはSamsung Gear VRにレンズ部品を提供しており、自社でもVRビュアーを発売している。
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▼VR開発プラットフォームのオープンソース化を目指すOSVRも独自の簡易ビュアーを発売しており、ソフトウェアやゲームアプリ制作APIなどの開発ツールも公開している。
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家族連れや教育関係の来場者も多いIFAで人気があったuniverse2goは、専用ケースにアプリをインストールしたスマホを入れて夜空を見上げるとAR(拡張現実)で星空をガイドするツールで、画面の中央に星座のイラストを持ってくると自動で解説が表示される使いやすさがウケていた。開発元では星座以外のコンテンツを開発するキットも提供しており、教育分野でもVRやARが活用が拡がるかもしれない。

▼アプリをインストールしたスマホをセットするだけでパーソナルなプラネタリウムが楽しめるuniverse2goは、他にも応用範囲が広がりそう。
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VR向けのコンテンツを制作するツールは、来年の発売が予定されているOculus Riftの最高機種に対応できるよう、高性能の動画を複数できる本格的な機器や、複数のモバイルビデオカメラを組み合わせるものまで、いろいろ展示されていた。VRコンテンツは撮影した後の編集作業がまだ難しいため、まずはもっと手軽に撮影できる360°パノラマの静止画向けのツールが先に人気を集めそうだ。

▼VRコンテンツを撮影する機器も様々なタイプが展示されていた。
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中でもボール型のカメラを放り投げるだけで撮影できるPanonoは 人気が高く、その場で購入している人もいるほどだった。特徴は視点のユニークさで、36個の公開度カメラで撮影したパノラマ写真はありとあらゆる方向が記 録されているので繰り返し見てもあきない。アルバムアプリはジャイロに対応しているので、タブレットを上下左右に移動するだけで視点が変えられるのも面白い。

▼ボール型のカメラで360°パノラマ静止画が簡単に撮影できるPanonoの本社はベルリンにある。
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360°パノラマ動画の撮影ツールとして注目を集めているのがリコーのTHETA Sだろう。ボタンを押すだけで撮影ができ、アプリにデータをアップロードするだけでコンテンツが完成する。最長で25分間の動画が撮影可能で、転送速度も従来製品よりも4倍の早さになっている。利用シーンはいろいろ考えられるが、IFAの記者発表会では新しくなったアプリとの連動性をアピール。日本では10月下旬の発売が予定されている。

▼リコーはTHETA Sの具体的な機能の一つとしてGoogle Street Viewへの投稿しやすさをアピールしており、記者会見ではGoogle Mapsのプロダクトマネージャーからも使い方が紹介された。
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IFAで開催されたリコーの新製品発表会では、記者からの関心が高いように見えたが、背景としてはすでにアメリカなどで一部取り組みがが始まっている、VRジャーナリズムと呼ばれる360°動画を使った取材やスポーツ中継へも活用できるのではないかという期待もあったのではないだろうか。また、先日もFacebookがニュースフィードへの360°動画投稿機能を公開するなど、VR向けコンテンツを撮影したいという需要は一般の間でも高まる一方で、スマホ単体で360°動画を撮る機能も開発が進んでいる。欧州でもVR市場が拡大しつつあることがIFAからも伺えることから、来年はさらに本格的なVRの活用が始まりそうである。

【参照情報】
IFA 2015

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。