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一週間

[2015年第40週]ドコモ冬春モデル発表、Nexus 5Xが国内発売、IoTやドローンの活用がさらに身近に

2015.10.05

Updated by Naohisa Iwamoto on October 5, 2015, 13:35 pm JST

NTTドコモの13機種に上る新製品の発表だけでなく、KDDIやソフトバンクからも今後の商戦をにらんだ新製品が発表された。グーグルの新作「Nexus 5X」も、ドコモとソフトバンクがそれぞれ発売をアナウンスしている。この週は、IoTやドローンといった、新しいソリューションを活用するための新サービスや新技術のニュースが相次いだことも特徴的だった。

300Mbps、4Kディスプレイ、Android 6.0--近未来が見える新製品たち

まずNTTドコモが発表した2015-2015冬春モデルの新製品のニュースから。新製品はスマートフォンが10機種、タブレットと従来型携帯電話、モバイルWi-Fiルーターが各1機種の合計13機種。最大300Mbpsの「PREMIUM 4G」に2機種が対応するほか、4Kディスプレイを搭載した世界初のスマートフォンもラインアップした。

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また、グーグルが発表したAndroid 6.0搭載のスマートフォン「Nexus 5X」(LG Electronics製)の発売も同時に発表した。新サービスとしては、工芸や料理、アウトドアなどの体験ができる「すきじかん」の開始をアナウンスした(関連記事:ドコモ、300Mbps対応のAQUOSや4KディスプレイのXperiaなど冬春モデル13機種を発表)。

NTTドコモが大々的な発表会を開催した前日、KDDIも最新モデルを発表している。2015年10月下旬以降、世界最速となる0.03秒でオートフォーカスできる約2300万画素カメラを搭載した「Xperia Z5」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)を発売するというものだ。画像処理エンジン「BIONZ for mobile」も性能が向上し、5倍ズームでも解像感を保った写真が撮れる。ハイレゾ音源の再生とデジタルノイズキャンセリングの両立も可能になった(報道発表資料:ハジマル、新しいカメラ体験「Xperia Z5」が登場!)。

ソフトバンクも、ドコモと同様にグーグルが発表しスマートフォン「Nexus 5X」(LG Electronics製)を、Y!mobileブランドの新商品として2015年10月下旬以降に発売すると発表した。カラーバリエーションはカーボン、クォーツ、アイスの3色で、各色に16GBモデルと32GBモデルを用意する(報道発表資料:Y!mobile、Googleのスマートフォン「Nexus 5X」を10月下旬以降に発売

ソフトバンクは、SoftBankブランドの新商品として、テレビチューナーを搭載したキャリアアグリゲーション対応モバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 501HW」(ファーウェイ製)を2015年10月9日に発売する。フルセグ、ワンセグ対応のチューナーを搭載し、専用アプリを搭載したスマートフォンでテレビの視聴が可能になる。「SoftBank 4G LTE」と「SoftBank 4G」に対応し、キャリアアグリゲーションで下り最大187.5Mbpsのデータ通信が可能だ(報道発表資料:SoftBank、テレビチューナーを搭載したキャリアアグリゲーション対応モバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 501HW」を10月9日に発売)。

また、Y!mobileブランドからも、同等の機能を備えるモバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 502HW」を発売する。同機種の発売に合わせて、月間データ通信量7GBと通信量上限なしを切り替えて使える新料金プラン「Pocket WiFiプラン2」(月額料金3696円)の提供も開始する(報道発表資料:Y!mobile、テレビチューナーを搭載したキャリアアグリゲーション対応モバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 502HW」を10月9日に発売)。

IoT、ドローンの活用に新サービス、新技術

IoTやドローンに関連するニュースが多かった。まず、低料金で使える新しいIoTサービスの話題から。ソラコムは、IoTプラットフォーム「SORACOM」、およびその上で展開されるモバイル通信サービス「SORACOM Air」とクラウドを利用して通信のセキュリティを確保する「SORACOM Beam」の提供を開始した。SORACOM Airで利用するIoTデバイスに特化したSIM「Air SIM」は、amazon.co.jpとSORACOMのユーザーコンソールで購入可能。1回線ごとの価格は初期費用(契約事務手数料)580円、基本料金は使用開始前は5円/日、使用開始後は10円/日、データ通信料金は0.2円/MB〜の完全従量制となる(関連記事:ソラコム、AWSに直結可能なIoTプラットフォーム「SORACOM」を発表)。

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ACCESSは、ボタンを押すだけでユーザーと企業が提供するIoTサービスを結びつけることができる「ボタンビーコン」の提供を開始した。特徴の1つは、「シングルクリック」「ダブルクリック」「長押し」という3種類のボタンの押し方で、登録した3つのサービスを使い分けられること。もう1つはBeaconの規格として、アップルの「iBeacon」だけでなく、グーグルが2015年7月に発表した「Eddystone」にも対応したことだ(関連記事:ACCESS、3種類のIoTサービスを1つのボタンで使い分けられる「ボタンビーコン」

KDDIは、モバイルアプリ/IoTデバイス開発基盤の「mBaaS by Kii」(以下、Kii)の提供を開始した。Kiiは法人向けクラウド基盤「KDDIクラウドプラットフォームサービス」(以下、KCPS)の機能として提供する。Kiiは、モバイルアプリやIoTデバイスのサーバー側の機能をクラウド上で利用できるようにするサービス。ユーザー企業は、自社でサーバーの開発、運用、保守が不要になることで、迅速に低コストでモバイルアプリやIoTデバイスの利用が可能になる。Kiiで提供する機能は、APIを呼び出すことで利用が可能なため、容易にアプリへ機能を実装できる(関連記事:モバイルアプリやIoTに必要な機能をクラウドで提供、KDDIの「mBaaS by Kii」)。

ドローンの話題を2つ紹介する。情報通信研究機構(NICT)は、プロドローン、サンエストレーディングと共同で、ドローンの飛行制御通信の安全性を強化する技術を開発した。

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ドローンと地上局の間で共通鍵を用いて、演算が単純で処理能力が低くても遅延が発生しない処理が可能な方式で制御通信のパケットごとに暗号化を行い、共通鍵の地上局での受け渡しには量子鍵配送ネットワークを利用する。これにより、複数の地上局間で安全に飛行制御を引き継ぎながら、ドローンを広域で飛行誘導するセキュア制御通信技術を開発し、その実証実験に成功した(関連記事:ドローンの飛行制御通信のセキュリティ強化技術、NICTなど開発)。

無人航空機システム(UAS:Unmanned Aircraft System)の利活用を推進する非営利団体の日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、ドローン専用の飛行支援地図サービスを開発し、2016年度にサービスの提供を開始する計画であることを発表した。JUIDAはドローンを飛行させる際に求められる飛行可能エリアなどの情報を地図サービスとして提供するため、ゼンリン、ブルーイノベーションの両社と共同開発に着手した(報道発表資料:飛行禁止エリアをひと目で!ドローン専用マップが2016年度サービス開始)。

ノキアがソフトバンクとCA試験、「KDDI ∞ Labo」第9期スタート

このほか、この1週間のトピックを紹介する。ノキアソリューションズ&ネットワークス(ノキアネットワークス)は、ソフトバンクと共同でソフトバンクの商用網でLTE-Advancedの技術を用いた3波のキャリアアグリゲーションの試験に成功したことを発表した。試験では、900MHz帯の10MHz幅、1.8GHz帯の10MHz幅、2.1GHz帯の15MHz幅の3つの周波数帯を束ねて、3波キャリアアグリゲーション(3CC CA)を実現した。これにより、下り最大262.5Mbpsの通信速度を実現した(関連記事:ソフトバンク網で262.5Mbps、ノキアと共同で3波キャリアアグリゲーション試験に成功)。

ビッグローブは、Android向けの迷惑電話フィルタリングアプリ「あんしん電話フィルター」の提供を開始すると発表した。同社が運用するBIGLOBEへの登録が必要で、価格は月額300円。あんしん電話フィルターの主な機能は、「迷惑電話のブロック」と「未登録電話番号の発信元の表示」の2つで、格安スマホなどでも迷惑電話の不安から守ってもらえる(関連記事:ビッグローブ、スマホへの迷惑電話をブロックする「あんしん電話フィルター」を提供)。

KDDIのインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」第9期参加チーム説明会が開催された。第9期の方針として江幡智広ラボ長は「パートナー連合プログラムの推進、地方連携の強化、ハードウェアプログラムによるものづくりへの取り組みを通して、プログラム終了後も成果をビジネスとして昇華できるようなビジネスマッチングの推進」を掲げた。

第9期の参加チームは、オリジナルプログラム4チーム(うち学生枠1チーム)、ハードウェアプログラム3チームとなる(関連記事:KDDI ∞ Labo第9期参加チーム説明会 ハードウェアプログラムには3チームが採択)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。