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2015年第41週

[2015年第41週]ソフトバンクが冬春モデル15機種、CEATEC開催、対話業務をAIで

2015.10.13

Updated by Naohisa Iwamoto on October 13, 2015, 14:51 pm JST

一時期、新製品発表会を取りやめていたソフトバンクが、冬春商戦向けの新製品15機種をそろえて発表会を開催した。iPhone新製品発売後の冬春モデルとしては、NTTドコモとソフトバンクがAndroidのラインアップを一新、拡充する一方、現時点ではKDDIは1機種を発表しただけと対応に大きく差が出ている。CEATECの開催や新技術のニュースなど、トピックが豊富な一週間だった。

新製品から「かかし」までソフトバンクグループが攻勢

まず、ソフトバンクグループのトピックスから。ソフトバンクは、2015-16冬春商戦向けの新製品を発表した。SoftBankブランドで10機種、Y!mobileブランドで5機種を用意し、Android端末の品揃えを強化する。

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Googleの「Nexusシリーズ」では、国内キャリアで唯一「Nexus 6P」をSoftBankブランドで取り扱うほか、NTTドコモも発売をアナウンスしている「Nexus 5X」はY!mobileブランドで提供する。「Xperia Z5」や「AQUOS Xx2」など国内主要メーカーのフラッグシップモデルをラインアンプするほか、従来型携帯電話からタブレット、Wi-Fiルーターなど幅広い製品を市場に投入する(関連記事:ソフトバンク、Nexus 6P/5X、Xperia Z5など冬春商戦向け15製品を発表)。

ソフトバンクと日本盲導犬協会は、アップルストア銀座にて視覚障がい者を対象としたiPhone教室「目の不自由な方のための、はじめてのiPhone使い方教室」を開催した。iOSの視覚障がい支援機能「VoiceOver」と、ソフトバンクが開発した、VoiceOverを使ったiPhoneの基本操作を学習できるアプリ「視覚障がい者向け使い方教室 for iPhone」を使用して、基本ジェスチャーの練習やSiriを使った操作を体験するものだ(関連記事:ソフトバンクと日本盲導犬協会、視覚障がい者向けiPhone教室を開催)。

ソフトバンクグループのPSソリューションズは、可視化した農業データを活用して栽培手法や知見を共有する農業IoTソリューション「e-kakashi」(いいかかし)の販売を開始する。圃場の状況を計測できる各種センサーを搭載した屋外対応のセンサーノード(子機)からデータをゲートウェイ(親機)に収集し、携帯電話回線(3G/LTE)経由でクラウドに集約する。ユーザーはPC、タブレット、スマートフォンを使い、収集データから栽培指導や農作業の品質管理、効率化に役立てることができる(関連記事:ソフトバンク子会社と日立、農業IoTソリューションで協業)。

CEATECなどイベントから見えてきたもの

10月7日から10日にかけて、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2015」(以下、CEATEC)。洗濯物をたたんで収納する自動機器から、ドローンや卓球ロボット、チアリーディングをするロボット、ロボット形携帯電話まで、さまざまなロボットが展示された。ロボットを中心に、CEATECの面白い展示をレポートした記事を掲載している(関連記事:CEATEC2015で垣間見た未来)。

コーヒーが入ったらプッシュ通知でユーザーのスマートフォンに知らせる――。こんなプロジェクトのデモがCEATECで実施された。

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アプリックスIPホールディングスが実施したもので、同社が提供する家電製品等への組み込みモジュール「お知らせビーコン」、ビーコンサービスアプリ「Hubea」、クラウドをトータルで提供するIoTソリューションと、リクルートホールディングスが保有する情報コンテンツを融合させた「コーヒープロジェクト」の実証実験のデモである(関連記事:アプリックスとリクルート、IoTソリューション×情報コンテンツの「コーヒープロジェクト」実証実験を開始)。

ノキアソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキアネットワークス)のプライベートイベント「Experience Day 2015」も開催された。イベントでは報道関係社向けに記者説明会を実施し、2020年の商用化を目指す「5G」などに対するグローバルでの取り組みや、日本市場への注力について説明した。

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7月に日本法人の社長に就任したジェイ・ウォン氏は、5Gへ向かう国内キャリアをノキアネットワークスが力強くサポートする意向であることをアピールした(関連記事:5Gへの架け橋として国内キャリアを強力にサポート--ノキアネットワークス新社長)。

人工知能で対話業務が可能に、mineoにマルチキャリア端末登場

このほか、この一週間のトピックを紹介する。NTTコミュニケーションズ(以下NTT Com)は、米IPsoftと提携して、人間の自然な会話や書き言葉を高い精度解析するAIを活用した対話業務支援サービス「Virtual Assistant(仮称)」を提供する。自然言語の入力をクラウド上のAIに実装された推論エンジンで解釈し、内容を理解した上で一人称で応答するというもの。2016年夏に予定する商用サービス提供に先立ち、実証実験を2016年2月から開始するにあたり、参加企業を募集する(関連記事:資料発送など簡単な業務まで自動化可能なNTT ComのAIによる対話業務支援サービス「Virtual Assistant」、実証実験参加企業を募集)。

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ケイ・オプティコムは、同社がMVNOとして提供するモバイル通信サービス「mineo」の「ドコモプラン」と「auプラン」の双方を利用できるマルチキャリア対応端末「arrows M02」(富士通製)や、モバイルWi-Fiルーターなどの新製品と、新サービスとして「au VoLTE対応SIM」を発表した(関連記事:「mineo」にマルチキャリア対応スマホ登場、au VoLTEにも対応)。

日本通信は、VAIO Phoneに向けて提供している侵入検知システム「Mobile IDS」に、リアルタイムのアタックを表示する心機能を追加したと発表した。Mobile IDSは日本通信の独自技術を用いてスマートフォンへの不正侵入などセキュリティ問題を可視化するシステム。1日単位の情報をこれまで提供していたが、今回の新機能の対応により秒単位で最新のアタック状況が表示されるようになった(関連記事:日本通信、VAIO Phoneへの攻撃をリアルタイムで表示する新機能)。

NTTドコモは、ドコモのサービスを利用する際に使うIDの「docomo ID」を、12月1日に名称変更し「dアカウント」とすると発表した。名称の変更とともに、規約も改定。名称変更後の「dアカウント」では、それまで別々だったドコモ回線保有ユーザーとキャリアフリーのユーザーをまとめて「dアカウント規約」で対応する(報道発表資料:ドコモ、「docomo ID」を12月1日に「dアカウント」に名称変更し規約改定)。

この週もニュースが多かったIoT関連では、WirelessWire Newsで特集「日本のIoTを変える99人」の連載を開始しました。併せてご覧ください。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。