日本のテック業界の元気がない理由

Why Japanese Tech industry is not cheerful

2015.11.17

Updated by Mayumi Tanimoto on 11月 17, 2015, 08:00 am JST

日本でテレビを見ています。

本国ではうだつの上がらなそうな微妙な感じのガイジンが「日本のマンホールの蓋がすごい」「日本のワキガ防止スプレーの効果はすごい。俺のワキガさえ平気だ!」と媚を売る番組が大盛況で、相変わらずだなあという感じですが、日本の某経済雑誌の今週号の特集が「誰がテレビを殺す」だったりして、Top Gearの地位はしばらく安泰だろうと思う今日このごろです。

ところで、日本のテレビではこういうインチキ外国人が媚を売る番組が大人気なわけですが、こういう番組をずっとみていると、「日本のマンホールってすごくね?世界で絶賛されてんべ?日本ってやっぱ世界一じゃね?」と思ってしまいがちです。しかし実際には、日本なぞかつてに比べると注目度がおもいっきり低く、今や取り上げられるネタといえば、ラブドールが精巧ですごいみたいなネタばかりであります。外国人媚売り番組の内容はことごとく間違っているわけですが、クソみたいな歌を何千回も聞くと「あら、これってちょっといい歌じゃない?」と思ってしまうように、そういう番組の内容を信じてしまう人が増えていきます。

最近の日本企業の元気の無さは、こういう愛国ポルノ的バカチン番組にも原因があるのではないかと思っていたりします。

ニューヨーク在住の文芸エージェントである大原ケイさんのクール・ジャパンはどこがイケ(て)ないのか?というコラムに良いことが書いてありました。

それなのに、日本政府が推し進める「クール・ジャパン」政策がここまでコケ続ける原因はなんでしょう? いったいどこがイケ(て)ないせいで、上手くいかないのでしょうか?
その理由の一つは、「マーケティングがきちんとできていない」ことだと私は思います。経済産業省から丸投げされた広告代理店がやっているのは、マーケティングではなく、たんなる「アドバタイジング(広告)」です。大枚はたいて立派なキャンペーンを張り、一方的に日本が海外に「売りたい」と思っているモノを宣伝しているに過ぎません。

 

このマーケティング力の無さというのは、お客様の欲しいもの、期待するものが理解できていないということです。これはコンテンツ業界のお話でありますが、ITや通信の世界でも、マーケティング力の低下が顕著なのではないかなと思っています。

例えば欧州において、今や日本はITや通信の世界の最先端ではありません。

市場にあふれる携帯電話はアップルやサムソンの製品であり、日本メーカーの影も形もありません。家電店の店頭に並ぶのはソニーやパナソニックではなく、サムソンやLGです。法人向けのシステムや通信サービスにおいても、日本のベンダは知る人ぞ知るニッチなプレーヤーであり、決して主要なプレーヤーではありません。

欧州は貧乏人が多い一方、物価は高く、南のほうなんて失業者だらけです。先行き不安なユーザーが求める白物家電は、多機能で高価なものではなく、激安で最低限の機能がついたシンプルなもので、そのへんのスーパーで投げ売りされている製品です。

ちなみに住人には教育を受けていなかったりそもそもその国の言葉を母国語としない人も多く、そのような人たちは、字がたくさん書いてあると意味がわかりません。なので字やボタンが少ないものが人気です。字がたくさん書いてある自販機など、意味が不明なので石で殴りつけられていることがあります。

私は現在日本の実家で赤子のウンコだらけの服を洗っているわけですが、某日本メーカーの多機能な洗濯機を洗剤の箱で殴りつけてやろうかと思う毎日です。選択メニューだけで数個あり、その横にはなぜか乾燥メニューのボタンがあり、部屋干しなんとかというボタンもある。

何を押すとどうなるのかさっぱり不明で、マニュアルを読む暇もないので、適当にボタンを押してメッタクソなことになってしまい、婆様と大げんかになっています。こんなクソみたいな洗濯機を何故買ったのだと激怒しましたら、家電屋にはこういう製品しかなくて、これでも10万円近くするのだというのです。

アイテーのエクスパートな私でさえこの有様であり、すぐにキレる暴走老人であるうちの婆様にこんなものを理解できる訳がありません。

しかし、うちの婆様は、イギリスの家の某デパートのオリジナルブランドの洗濯機は使いこなせたのです。その洗濯機はダイヤルが一個だけ、ボタンはオン、オフしかないので間違えようがなく、英語が読めなくても使えるからです。ちなみに値段は全自動のドラム式で4万円ぐらいです。服の洗いあがりは日本の洗濯機と差がありません。

日本企業は技術がないわけでもなく、生産管理やコストカット手法も優れており、大変優秀な人々が社内にいます。なのに国内向けにさえ、老人が喜ぶような製品を作れません。優秀な職人を抱えた蕎麦屋が、客は天ぷら蕎麦が食べたいのに、冷やし中華を出してしまうようなものです。

なぜこうなってしまうのか。その根本的な原因は、企画とかマーケの担当者や、最終決定するジジイ達が、「インチキ外国人の媚売り日本バンザイ番組」を見ているバカチンだからなのではないかと思う次第です。

日本には老人が溢れており、テレビも町中も葬式や介護の広告だらけという、大変鬱になる状況です。これは今後ますます悪化していくわけで、少子高齢化で縮小する国内市場ではなくて、外からも稼ぐ方法を考えなければならないわけですが、それはITや通信業界も考えなければならないことです。

ところで大原さんは11月19日の夜東京で以下のようなイベントを開催されるそうです。今後銭を稼ぎたい技術者や企画担当者は、コンテンツ業界で海外に日本を売り込んできた大原さんのお話からヒントを得てみてはどうでしょうか。日本のバカチン番組ばかり見ている同僚からは、新しいアイディアも何も得られませんよ。

「その本の版権、海外でも売りませんか?」
11/19(水)19:30〜 devcafe@INFOCITY

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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