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VRからハプティクス、攻殻機動隊までデジタルメディアの今を知る「シーグラフアジア 2015」(後編)

2015.12.01

Updated by Yuko Nonoshita on December 1, 2015, 06:38 am JST

11月2日から神戸国際会議場で開催された国際カンファレンス「シーグラフアジア2015」について、ここでは展示会場の出展内容を中心に紹介する。

展示会場では、企業や教育関係、自治体らからアニメやゲーム、VRなどのデジタルメディアやコンテンツ制作に関するビジネスやサービスのブースが数多く出展された。日本での開催とあって日本からの出展が多くを占めていたが、アジアを中心に世界中から出展があり、全体的にVR技術を用いたものが多いという印象であった。(出展者リストはこちら

▼展示会では世界各国から90以上のブースが出展され、全体的にVR関連の展示が多いという印象であった。
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▼リアルタイムにレンダリングされるUnityのキャラクター”ユニティちゃん”とバーチャル記念撮影ができるというコーナーもあった。
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中でも目立ったのが神戸市のブースで、4Kマルチディスプレイを使ったイベントエリアでは、ウェアラブルコンピュータをテーマにしたトークセッションや、スーパーコンピュータ「京」のシミュレーションデモ、NTTドコモとの観光アプリコンテストの発表など、のべ37の企業や団体プレゼンやデモを行った。ブースものべ36企業の団体が出展しており、攻殻機動隊とコラボレーションした「神戸市公安9課」をはじめ「ペルソナ3」のメイキングなどアニメ関連の発表は特に来場者の人気を集めていた。

▼攻殻機動隊をデザインした神戸市のブースでは「京」や「Spring8」などの研究施設や地域の大学、企業を紹介するブースが並び、8Kマルチディスプレイの展示などもあった。
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同展示会場内に設けられたメディアアート作品を紹介する Art Galleryでは、テーマ「Life on Earth?」にした20作品が展示された。プロジェクションマッピング技術を使って空間全体に作品を投影したりバーチャルな建築物を見せる大掛かりな作品をはじめ、流体力学シミュレーションの映像を絵画のように見せる作品やインタラクション技術を使った体験参加型作品、ロボティクス技術など、いろいろなタイプの作品があり、制作者から直接作品について話が聞けるのがよかった。

▼3Dスキャンした顔のデータを3台のディスプレイで人形にプロジェクションマッピングする実験的な作品「Neuro Memento Mori: Meditations On Death」。
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▼リアルタイム演算した流体力学シミュレーションのデータを独自のアルゴリズムで絵画のように見せる作品「Furnished Fluid」は、目に見えるものが別のレイヤーで見ると全く別のまるで宇宙の中にあるかのように表現されていた。
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▼コミュニケーションした相手を記録するヒューマンカメラ「Touchy」は装着した人がそのまま作品にもなるというアイデアがユニーク。誰かがデバイスに触れてくれることで回りが見えるようになり、さらに相手を撮影してくれるインタラクション作品になっている。
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▼オーケストラの演奏に合せてコンサート会場に幻想的なCG映像が投影される「Visions Of America: Ameriques」はビデオで紹介されていた。
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技術的に興味深いのはやはりインタラクティブテクノロジーに関する最先端技術を紹介するEmerging Technologiesの展示だろう。会場では80件の応募から選抜された29件のデモが展示され、さらに開発者が自ら作品についてプレゼンテーションするE-Tech Talkも行なわれていた。この分野でも日本の研究技術は圧倒的にレベルが高く、審査員にとっては悩ましいものになっているという。全体的に実用化に近い技術が多く、体験してみてはじめてそのすごさが理解できる作品が多かった。(出展作品はこちら

▼「Interactive Volumetric Fog Display」は水蒸気に投影した3D映像を実際に操作できるプロジェクションマッピング技術。裸眼で見ても映像はくっきりとわかりやすく、360度の角度からそれぞれ異なる映像が見える。
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▼インタラクティブ技術を使って食事の量を多く見せかけるテーブル「CalibraTable: Tabletop System For Influencing Eating Behavior」は肥満や食べ過ぎ防止に効果があるという。
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▼VR技術で人同士の感覚をテレプレゼンスする「JackIn Head」は360度カメラを付けた相手の視聴覚が共有できる。
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▼キネクトを使ってリアルタイムに動くアニメーションによる解剖図教材を提供する「Living Book Of Anatomy Project」。
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シーグラフアジアの展示や発表内を見ていると、ここ数年でデジタルメディアを取り巻く技術が急速に進化し、10年前にはアイデアレベルだった研究がほぼ実用化に近いレベルで完成されていることが実感できた。今後はウェアラブルやIoTなどとの連携が進み、身近な空間で体験できるようになるのもそう遠くはないかもしれない。

【参照情報】
シーグラフアジア2015

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。