マカオで全社のLTEサービスが出揃う – CTMが提供する4G+を試す

マカオで全社のLTEサービスが出揃う – CTMが提供する4G+を試す

All operators launched LTE service in Macau – Try CTM 4G+

2015.12.22

Updated by Kazuteru Tamura on 12月 22, 2015, 15:37 pm JST

中華人民共和国(以下、中国)のマカオ特別行政区(以下、マカオ)では中国とは異なる移動体通信事業者が展開している。1999年のマカオ返還から50年間はマカオの特別行政区政府に高度な自治権を認める一国二制度を維持することが決まっており、マカオの移動体通信は中国から完全に分離されている。そんなマカオでは2015年10月に中国から2年近く遅れてLTEサービスが始まった。今回はマカオで最初にLTEサービスを開始したCTMのLTEサービスを中心に紹介する。

マカオ全社のLTEサービスが出揃う

マカオの移動体通信事業者は澳門電訊、和記電話(澳門)、數碼通流動通訊(澳門)、中國電信(澳門)の4社である。各社ともポルトガル語表記や英語表記の社名を用意しており、澳門電訊はポルトガル語表記がCompanhia de Telecomunicacoes de Macauで、英語表記がCTM – Macau Telecom Company、和記電話(澳門)はポルトガル語表記および英語表記がHutchison – Telefone (Macau)、數碼通流動通訊(澳門)はポルトガル語表記がSmarTone – Comunicacoes Moveisで、英語表記がSmarTone Mobile Communications (Macau)、中國電信(澳門)はポルトガル語表記および中国語表記がChina Telecom (Macau) となる。各社とも一般的には略称やブランド名で認知されており、以下から澳門電訊はCTM、和記電話(澳門)は3 Macau、數碼通流動通訊(澳門)はSmarTone Macau、中國電信(澳門)はそのままの中國電信(澳門)と表記する。

マカオではLTEサービスのライセンスを発給する際に、2015年中にLTEサービスを開始することが条件のひとつとして定められた。そのため、4社とも2015年中にLTEサービスを開始することが確実な状況ではあったが、2015年10月20日にCTMが先陣を切ってマカオで最初にLTEサービスを開始した。その後、2015年11月11日にSmarTone Macau、2015年11月25日に中國電信(澳門)、2015年12月15日に3 MacauがLTEサービスを開始し、マカオ全社のLTEサービスが出揃ったことになる。

4G+としてLTEサービスを展開するCTM

マカオで最初にLTEサービスを開始したCTMは4G+としてLTEサービスを展開している。世界的にLTEサービスを4Gと呼称することは一般化しており、キャリアアグリゲーションを導入することで4G+とする事例が増えている。ところが、CTMはキャリアアグリゲーションを導入していないものの、4G+として展開している。単純にLTEサービスを提供するだけではなく、パーソナライズされた付加価値を提供することも目指しており、その意味合いが4G+のサービスブランドに含められている。

CTMはLTEサービスの提供に合わせてCTM 4G+ Concept Storeをオープンしており、その他の各販売店においても4G+を大々的に展開するなど、CTMは4G+を前面に出したマーケティングを繰り広げている。

▼LTEサービスの提供に合わせてオープンしたCTM 4G+ Concept Store。プリペイドSIMカードを購入できる。
LTEサービスの提供に合わせてオープンしたCTM 4G+ Concept Store。プリペイドSIMカードを購入できる。

▼CTM 4G+ Concept StoreにはLTEサービスの体験スペースが設けられている。
CTM 4G+ Concept StoreにはLTEサービスの体験スペースが設けられている。

▼CTMは4G+を大々的に展開しており、4G+のラッピングを施したバスも見かけた。
CTMは4G+を大々的に展開しており、4G+のラッピングを施したバスも見かけた。

CTMのプリペイドプランでLTEサービスを試す

CTMはLTEサービスの開始当初よりプリペイドプランでLTEサービスの利用を可能としている。せっかくなので筆者はLTEサービスの提供に合わせてオープンしたCTM 4G+ Concept StoreでLTEサービス対応プリペイドSIMカードを購入することにした。

LTEサービス対応プリペイドSIMカードのパッケージは大きく分けて“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card Package (「全澳輕鬆任上網」 4G+ 預付卡套裝)と4G+ Speedy Prepaid Card (4G+ 智醒數據預付卡)が用意されている。“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card Packageには2日プランと7日プランが存在するため、パッケージは実質的に3種類から選択することが可能となる。なお、パッケージなど各種説明には英語と中国語が併記されている。

パッケージの販売価格は“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card Packageの2日プランが100MOP$(マカオパタカ、1MOP$=約15.2円(2015年12月現在))、7日プランが200MOP$、4G+ Speedy Prepaid Cardが100MOP$となる。

▼CTMのプリペイドプラン比較
CTMのプリペイドプラン比較

プランによって音声通話、データ通信容量、有効期間などが異なるため、各利用者の利用用途に応じてプランを選べば問題ない。筆者はモバイルデータ通信の容量を重視して選ぶことにして、マカオの滞在日数が4日間であったため、“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card Packageの7日プランを選択した。

CTMの販売店では購入したいプランを伝えればすべての手続きをCTMのスタッフが行ってくれるため、ダイヤル画面からプランを申請するような手間はなく、利用可能な状態のプリペイドSIMカードをスムーズに受け取れた。購入時に身分証明書としてパスポートの提示を求められたため、パスポートの携帯を忘れないようにしたい。

APNはctmprepaidで、テザリングは問題なく利用できた。SIMカードのサイズはMini SIM (2FF)サイズ、Micro SIM (3FF)サイズ、Nano SIM (4FF)サイズのトリプルカットで、サイズに関する心配は不要である。モバイルデータ通信の利用量が2GBを超えると通信速度は上下ともに1Mbps前後に制限されたが、制限後も困ることなく使えた。有効期限が過ぎればチャージしてプランを購入することで継続して利用できる。

▼7日プランの“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card Packageのパッケージ。
7日プランの“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card Packageのパッケージ。

▼“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card PackageのSIMカードと台紙。台紙の絵柄は印刷ではなくシールが貼られていた。
“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card PackageのSIMカードと台紙。台紙の絵柄は印刷ではなくシールが貼られていた。

▼SIMカードの端子部の裏側にはCTM 4G+と印刷されていた。
SIMカードの端子部の裏側にはCTM 4G+と印刷されていた。

▼“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card PackageのSIMカードでCTMのLTEネットワークに接続した。
“Online Everywhere in Macau” 4G+ Prepaid Card PackageのSIMカードでCTMのLTEネットワークに接続した。

デュアルモードLTEで提供するCTM

CTMはFDD-LTE方式とTD-LTE方式の両方式を採用しており、デュアルモードでLTEサービスを提供している。CTM以外のマカオの移動体通信事業者はFDD-LTE方式のみを採用しているため、CTMはマカオでTD-LTE方式を採用する唯一の移動体通信事業者でもある。

周波数と帯域幅はFDD-LTE方式が1.8GHz帯(Band 3)の15MHz幅×2、TD-LTE方式が2.3GHz帯(Band 40)の10MHz幅となる。また、FDD-LTE方式では2.6GHz帯(Band 7)の15MHz幅×2も割り当てられており、近い将来に運用を開始する予定としているが、2015年11月中旬の時点では1.8GHz帯と2.3GHz帯のみ運用を開始していた。

エリア拡大は基本的に1.8GHz帯を優先的に展開しており、1.8GHz帯のみに対応した端末でも問題なく使える印象を受けた。マカオではLTEサービスのライセンスを発給する際に、2015年末までに提供エリアをマカオ全土の50%以上とすることが条件のひとつに盛り込まれていたが、その条件を上回るくらいにエリア拡大を進めているように感じた。LTEサービスでは1.8GHz帯が世界的に最も採用事例が多く、またエリアの拡大には2.3GHz帯より有利であるため、1.8GHz帯を優先して展開する判断は当然と言える。

マカオ半島からタイパ島までマカオ内を幅広く移動したが、ほとんどLTEネットワークに接続しており、マカオから香港に向かうフェリーでは香港の大嶼山付近に近づいてもCTMのLTEネットワークに接続していた。また、CTM 4G+ Concept Storeなど一部のCTMの販売店内には屋内基地局を設置していることが確認できた。

▼CTMが提供するFDD-LTE方式の1.8GHz帯に接続して通信速度を測定した。
CTMが提供するFDD-LTE方式の1.8GHz帯に接続して通信速度を測定した。

▼CTMが提供するTD-LTE方式の2.3GHz帯に接続して通信速度を測定した。
CTMが提供するTD-LTE方式の2.3GHz帯に接続して通信速度を測定した。

手軽で快適に使えるCTMのLTEサービス

全体を通してCTMのLTEサービスは手軽で快適に使うことができた。通信速度や提供エリアはともに実用的に利用できるレベルと言える。マカオはカジノが有名であるが、一部ではプリペイドSIMカードの自動販売機もマカオ名物のひとつとしてよく知られている。

2015年11月中旬の時点でLTEサービス対応プリペイドSIMカードのパッケージは自動販売機で取り扱っているが、自動販売機で購入するとスムーズに利用を開始できないとの報告も出ている。そのため、LTEサービスを確実に利用したければCTMの販売店で購入することが無難で手っ取り早いだろう。わざわざ販売店に足を運ぶ手間はかかるが、CTMの販売店で購入すればプランの申請やAPNの設定などすべてスタッフが確実に済ませてくれるため、安心して利用を開始できるはずである。

参考までに、CTMのプリペイドSIMカードの自動販売機は少なくともCTM Nam Van Shop、マカオ国際空港、マカオ半島のマカオ外港フェリーターミナル、タイパ島のタイパフェリーターミナルに設置されており、商品ラインナップや在庫に差はあるものの、すべての自動販売機でLTEサービス対応プリペイドSIMカードのパッケージの取り扱いを確認した。

▼CTM Nam Van ShopにあるCTMの自動販売機。
CTM Nam Van ShopにあるCTMの自動販売機。

▼マカオ国際空港にあるCTMの自動販売機。
マカオ国際空港にあるCTMの自動販売機。

▼マカオ外港フェリーターミナルにあるCTMの自動販売機。
マカオ外港フェリーターミナルにあるCTMの自動販売機。

▼タイパフェリーターミナルにあるCTMの自動販売機。
タイパフェリーターミナルにあるCTMの自動販売機。

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田村 和輝(たむら・かずてる)

滋賀県守山市生まれ。国内外の移動体通信及び端末に関する最新情報を収集し、記事を執筆する。端末や電波を求めて海外にも足を運ぶ。国内外のプレスカンファレンスに参加実績があり、旅行で北朝鮮を訪れた際には日本人初となる現地のスマートフォンを購入。各種SNSにて情報を発信中。

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