アマゾン、タブレット出荷で2015年Q4に520万台出荷で、シェア3位へ:低価格タブレット「Fire」が好調

2016.02.09

Updated by Hitoshi Sato on 2月 9, 2016, 06:30 am JST

IDCは2016年2月1日、2015年Q4および通年での世界でのタブレット出荷台数の調査結果を発表した。

2015年通年の世界のタブレット端末出荷台数は2億680万台で、2014年通期の2億3,010万台から10.1%の減少となった。世界中でタブレット市場が縮小していることがうかがえる。Huaweiは大きく伸びているものの、他の上位メーカーの出荷台数は減少している。1位のAppleですらiPadが伸び悩んでおり、1年間での出荷台数は5,000万台を切った。

▼2015年通年のメーカー別世界タブレット出荷台数とシェア
20160209-amazon-fire-1(IDC発表資料を元に作成)

大躍進のアマゾン、低価格タブレット「Fire」が貢献

2015年Q4(10月~12月)の大きな特徴として、アマゾンの低価格タブレット「Fire」の売れ行きがクリスマスシーズンに好調で、同時期で520万台販売しており、同時期のシェア7.9%を獲得して、3位にランクインしている。前年同期比からも175.7%と大きな伸びを見せた。

アマゾンの低価格タブレット「Fire」は、アマゾンが2015年9月30日に49.99ドル(約6,000円)で販売を開始した。日本ではプライム会員向けに4,980円、一般向けには8,980円で販売している。アマゾンではこの端末「Fire」よりも前に、99ドル(約12,000円)の「Fire HD」も販売していたが、アマゾンのタブレットでの出荷台数増加の要因は、低価格タブレット「Fire」にある。アマゾンではタブレットを友達や家族にプレゼントしようという企画から、「Fire」まとめて6台購入すると1台分が無料になる6台パックを250ドル以下で提供している。このような企画もクリスマス前には功を奏したのだろう。

▼2015年Q4(10月~12月)のメーカー別世界タブレット出荷台数とシェア
20160209-amazon-fire-2(IDC発表資料を元に作成)

コンテンツで収益をあげるためにはタブレットは「ばら撒き」でもいい

アマゾンは2016年1月28日に2015年第4四半期(10~12月)の決算を発表した。世界規模でクリスマスシーズだった同時期の売上高は前年同期から22%増の357億4,700万ドルで、純利益は125%増の4億8,200万ドルだった。第2四半期(4~6月)に黒字転換してから3四半期連続の黒字だった。

アマゾンの黒字転換にも大きく寄与しているのは、成長が著しいクラウド事業Amazon Web Services(AWS)で売上高は前年同期比69%増の24億500万ドル、営業利益は同186%増の6億8,700万ドルだが、それでもまだアマゾン全体の売上構成は7~8%程度である。

アマゾンから見たら、このタブレット端末販売で収益を上げようとはしていないだろう。50ドル以下の端末であれば薄利多売だろうから、この端末で大きな収益は期待できない。むしろアマゾンとしてはタブレットが広く普及することによって、そこから電子書籍などのコンテンツ購入やアマゾンでの買い物に利用してもらった方が得策だろう。

アマゾンはメーカーではなく小売業者だ。端末が売れることよりも、端末はあくまでもアマゾンという世界最大のネットショップへの入り口であり、重要な販売チャネルである。そのタブレットをクリスマスシーズンである10月~12月の3か月間に、全世界で520万台配布できたことの方が、インパクトは大きい。2015年12月には中国でも「Fire」を499元(約9,000円)で販売した。

年間出荷台数が減少しているタブレット市場だが、アマゾンのように無料でもいいからタブレットの「ばら撒き」をしたいプレーヤーが多く登場してきて、これからも低価格タブレットを大量に販売してくるようになると、中国や台湾のグローバルメーカーはますます厳しくなるだろう。年間でのタブレット出荷にアマゾンがランクインしてくる日も近いかもしれない。

▼「Fire」の6台パック(1台分が無料)
20160209-amazon-fire-3(アマゾンのリリースより)

【参照情報】
Worldwide Shipments of Slate Tablets Continue to Decline While Detachable Tablets Climb to New High, According to IDC

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。