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カメラ付きデジタルサイネージで属性にあったサンプル配布を提供するマーケティングツールが登場

2016.03.11

Updated by Yuko Nonoshita on March 11, 2016, 09:43 am JST

タッチスクリーンタイプのデジタルサイネージを使ったO2Oマーケティングツール「プレゼンウォール」の試験導入が大阪で行われ、開発を行ったNTT西日本、大広、インタレストマーケティングの3社が合同で記者発表会を行った。

「プレゼンウォール」は、従来のタッチスクリーンで操作できるデジタルサイネージに、利用者の属性を判断できるカメラシステムが設置されており、属性に合わせた適切なコンテンツを表示する、インタラクティブなターゲティング広告機能を備えている。今回発表された試験導入ではお菓子のサンプリングに使われるが、ウォールの前に立つ人にあわせていくつかあるサンプルの中からオススメ商品が表示され、そこからさらに好きなサンプルが選べるようになっている。

▼ウォールの前に立って操作を始めるとその人にあわせたコンテンツが表示されるが、時間はかからずスムーズに操作できる。
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サンプルは、表示されたQRコードを読み取るか電話番号を入力すると、スマホやケータイに発行されるクーポンを使って引き換えられるようになっていて、発行画面からアンケートへも誘導できる。他にもクーポンを友達や家族とシェアしたり、SNSへの拡散を促すなど、さまざまな使い方ができるようにしている。

▼クーポンの発行画面には引き換えボタンが表示され使い回しができないようになっている。
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最も期待できる効果としては、通常は難しいサンプリングの効果測定ができる点で、オススメからどのサンプルを選んだか、クーポンを使ったかなどから、行動、意識などのデータが可視化できる。属性情報も収集するが、個人情報を含まないデータ形式へ変換、保存し、画像データや電話番号などは保存しない。

▼電話番号の入力画面が大きいのがやや気になるが、番号は画面に表示されず、クーポンが発行されるとデータは破棄されるなど、プライバシーには配慮されている。NFCが普及すればこのあたりの操作はもっと簡略されそうだ。
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システムを開発したインタレストマーケティングは、通常のサンプリング配布よりコストを抑えられ、蓄積されたデータを商品開発や次のマーケティングにつなげられやすくなるという。表示するコンテンツは時間帯によって切り替えられるので、一つのウォールで1日に異なるサンプリングを実施したり、時間帯によっては新商品や店舗案内に使うといった柔軟な対応ができる。複数店舗で同時に実施して調査を行うなど、リアルな空間とネットをつなげるO2Oの起爆剤にすることを狙っている。

▼データはリアルタイムで収集され、コンテンツの修正やコントロールはリモートからも可能。
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ハードの開発を担当したNTT西日本は、「プレゼンウォール」を地域に提供するスマートひかりソリューションの一つと位置づけ、同社が開発するBizひかりクラウドを活用した事例として、今後は観光や旅行、防災などへも幅広い展開を目指す。導入コストは約1000万円だが、週単位でのレンタルも可能で、その場合、コンテンツの制作やデータ分析も含めて約300万円を予定している。すでに設置されているタッチスクリーンタイプのデジタルサイネージにカメラやシステムだけを追加することも可能で、その場合の価格は要相談としている。必要に応じて音声対話サーバとの組み合わせるなどのオプションも提供でき、専用アプリの開発もできれば進めたいとのことであった。

▼一括販売とレンタルがあり、すでにあるタッチスクリーンタイプのデジタルサイネージにカメラやシステムだけを追加導入することもできる。
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なお、「プレゼンウォール」のサンプリングのテストは3月12〜25日まで大阪枚方市にあるKUZUHA MALLで行われ、システムとマーケティングの検証を行う。導入を担当する大広によると、半年内に近畿エリアで10店舗ほどの導入を見込んでおり、今回の結果を元に今後も3社でシステムの改善などの連携を進めていくとしている。

報道資料(PDF

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。

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