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「産総研-NEC 人工知能連携研究室」設立、シミュレーションとAIで未知の状況での意思決定目指す

2016.04.06

Updated by Asako Itagaki on April 6, 2016, 07:40 am JST

日本電気(以下NEC)と産業総合研究所(以下産総研)は、6月1日より産総研人工知能研究センター内に「産総研‐NEC 人工知能連携研究室」を設立することに合意した。シミュレーションとAIが融合した技術を基本原理から産業応用まで一貫して開発することで、「未知の状況での意思決定」という新分野を確立することを目指す。

AIの活用については、IoT機器などから発生するビッグデータ分析にもとづく予測や制御による豊かで安全な社会の実現への期待が膨らむ一方で、災害や異常事態、新製品や新サービス設計など分析に必要な過去データを十分集められない状況では十分に能力が発揮できないという課題があった。このような「未知の状況」での意思決定のために、、足りない情報をシミュレーションで補いつつ、AIの能力を最大限に引き出す「シミュレーションとAIの融合技術」の開発に、官民一体で取り組む。

具体的には、過去データの不足をシミュレーションで補うことで効率的に機械学習を行う「シミュレーションと機械学習の融合」、シミュレーター上に構築された仮想世界と自動推論技術の融合により現実的な規模の知識データベースから妥当な推論を行う「シミュレーションと自動推論技術の融合」、複数の自律制御システムの挙動が競合した場合に「譲る」「分担する」「融通する」などの挙動調整を行う「自律型人工知能間の挙動調整」の3つの技術の研究開発を行う。

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産総研人工知能研究センターは、国内外の大学、企業、公的機関と連携し、AI研究の実用化と基礎研究の進展の好循環を生むプラットフォームの形成を目指して、2015年5月に設立された。本研究室では、NECが持つ機械学習、予測・予兆検知、最適計画、制御などのAI関連技術と産総研が持つシミュレーション技術を融合して、過去データが十分収集できないさまざまな社会的課題に取り組む。

研究室は産総研臨海副都心センターに設置される。連携研究室長は大阪大学産業科学研究所教授の鷲尾 隆氏で、30名程度の規模となる予定。産総研で企業名を冠した研究室は初となる。

【報道発表資料】
「産総研-NEC 人工知能連携研究室」を設立 -産総研における初の企業名を冠した研究室、シミュレーションとAIが融合した技術で未知の状況での意思決定を実現へ-

【関連情報】
産総研 人工知能研究センター
産総研 臨海副都心センター

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。