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小型民生用ドローンメーカー大手のDJIが、同社製ドローンから集まる様々なデータの提供について中国政府と協議を進めているとする話が一部の米媒体で報じられたが、それに対して報道の内容が事実と異なるなどとしてDJIが釈明を行うという出来事があったようだ。

この件について「DJIには中国政府にデータを提供する用意がある」と伝えたBloombergでは、DJI広報担当者の話として、同社製ドローン用アプリ経由で集まる位置情報や飛行記録のほか、ユーザーが撮影して同社のサーバーにアップロードした動画などのデータの入手に中国政府が強い関心を示していると記している。またDJI製ドローンを保有する欧米のユーザーに関するデータ提供を中国政府が求めた場合、それがどのように適用されるかなどは不明としながら、なんらかのデータを政府に提供した場合は、そのことをユーザーに通知するとの話も紹介されている。

さらにDJIは、後に発表した声明のなかで、自社によるドローンデータの共有について「政府機関から法的に正当な提供要請を受け取った場合、他社の場合と同じように、ユーザー情報を提供する可能性はある」と説明。また「これは米国や中国に限らず、法的に正当なリクエストが出された場合は世界中どの国でも同じ」とする考えを示したという。

いっぽう、この件について「DJIが中国政府へのデータ提供に関して釈明」と伝えたThe Vergeでは、DJIがアクセスできるデータは、ドローンのユーザーが同社のソーシャルネットワーク「SkyPixel」に自主的に公開した写真・映像だけに限られ、ドローン搭載カメラを使って撮影されるライブ映像やドローンの内蔵メモリーに保存もしくはキャッシュされた映像には同社自身も手出しできないとするDJIの説明を紹介。また、DJIはユーザーがオプトイン形式で認めない限り、ドローンの飛行データを利用したり、他社に提供したりすることはないとする話も紹介している。

Bloombergでは、ユーザーが抱くプライバシーへの懸念を緩和するために、DJIはデータの保存期間を明確にすること、収集する情報の種類を限定すること、国や地域ごとにユーザーにどう対応するかの説明を行うことなどが必要とする香港中文大学の徐洛文(Lockman Tsui)助教授の意見が紹介されている。同氏は、DJIはたくさんのデータを入手できる立場にあり、現時点ではデータの保存期間も明らかでないため、現状では外国のユーザーに対してとても難しい立場に置かれることになるとの見方を示している。

【参照情報】
Drone-Maker DJI Willing to Share Data With China - Bloomberg
China Drone Maker Says It May Share Data With State - NYTimes
DJI fends off questions of Chinese government access to user data - The Verge

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