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一流の科学者から学ぶ説明力

How scientists brush up way to describe their works

2016.05.31

Updated by Mayumi Tanimoto on May 31, 2016, 11:19 am UTC

5月の第一週にロンドンのインペリアル・カレッジで開催されたImperial Festivalに行ってきました。これは大学の研究を一般の人々に公開するという無料のイベントで毎年開催されています。

 

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救命救急パフォーマンスも登場。さすが医学部のある大学です。嘔吐のシュミレーションを体験できます。

表情がリアルですね。

日本の大学だと学祭は学生のどんちゃん騒ぎが中心で、芸能人を呼んだりしますが、イギリスの大学の多くにはそういうイベントがありません。代わりに、研究者が一般向けにセミナーをやったり、こういうイベントをやります。

大学の運営には公費(税金)が投入されているので、当然のごとく、使ったお金の「効果」も国によりシビアに計測されています。地域社会とも交流しなさい、研究を一般社会にも認知してもらいなさい、というのも重要なので、どのようなことをやって地域社会に貢献したか、そして実施したことの効果はどうだったのか、も報告する義務があります。

これは、広報担当者や研究者個人の業績評価にも含まれていることもあるので、やる方も真剣です。特にインペリアル・カレッジの様な有名かつ競争力のある大学は、職員に対しても研究者に対しても、凄まじいプレッシャーをかけます。こういうイベントも単なるお楽しみにためにやっているわけではないというのが、イギリスのザッツ資本主義な感じを体現していますね。

クールジャパンイベントに大金をつぎ込んでいる我が国の政府も、その費用対効果を公表したら喜ばれるんじゃないでしょうか。

しかしこのイベント、無料で週末に開催されるので訪問者の多くが親子連れや小中学生で、「お子様向け無料科学博物館」の様な状態になっていました。

ドローンや微生物の研究に取り組む第一線の研究者に、小学生が「あんた何やってんの?」「この道具?」とボンボン質問するという、良く考えたらすごい光景です。

小学生にとっては、日々グラントの取得や、論文出版に頭を悩ませる有名研究者もその辺のおっちゃん、おばちゃん扱いというわけです。

その辺のお年寄りや近所の人も来ていて「あんたこれは何に使うの?」「これやると何がいいの?」「お金はいくらかかるの?」と、質問しているのもイギリスらしくて面白いと思いました。相手が研究者だろうが、有名大学の教授だろうが、町内会の人みたいな扱いです。

こういうフラットな感じは、一般向けに公開されている講義でも同じです。私はイギリスを中心に、他の英語圏でもそういう講義に行くのですが、日本と違うのが、質問コーナーになるとその辺の素人が「私はどこの何々ですが」と自己紹介して、どんどん質問することです。

それが初歩的なことだろうが、相手にとってつまらないかもしれない質問だろうが関係ありません。講演者が超有名な研究者でも、世界的に有名な企業の創業者でも、近所の人のようにフランクに対話しようとします。

こういうフラットさはいつも面白いなあと思うのですが、それにもまして、研究者の人々の質問に対する回答が、大変わかり易く丁寧なのも印象的です。ユーモアを交えて、素人にもわかりやすく説明してくれるのです。

英語圏の科学者は、こういう機会に素人とフランクに対話する機会があるからこそ、メディアや資金提供する企業や政府に対する「アピール=説明」がうまいのかもしれません。

素人は思いもよらない質問をしてきますので、臨機応変な対応が磨かれます。自分の仕事を、小中学生に説明して理解してもらうには、高度なコミュニケーション力が必要です。

こういうイベントを何回も体験すると、自然と、「素人への説明力=専門家意外へのアピール力」が磨かれるのでしょう。さらに、素人から「何の役に立つのですか?」と聞かれることは、その技術や研究を何のためにやっているのか、誰の役に立つのか、ということを再考する上で重要なことです。つまり、政府も大学も、こういう一般と接触するイベントを意図的にやっているわけですね。

業界外の人との接触の重要性は、科学者以外にとっても同じことです。仕事をしていると、ついつい同じ業界の人に囲まれてしまうため、業界外の人への説明力が磨かれません。誰のためのサービスや製品なのかも忘れがちになります。

タコ壺にこもっていると、重要なことに気が付かなかったり、ユーザーを置き去りにした独りよがりなサービスや製品を開発してしまいます。

休暇や趣味の集まりで業界外の人と話すと、公的なサーベイやグループインタビューでは出てこないような感想をもらったり、意外なアイディアを得られることがあります。サラリーマンこそ様々な業界の人と交流するべきなのかもしれません。

 

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メルヘンな仕掛け時計のアトラクションも登場

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科学技術のイベントだからこそクラシックカーというのがイギリスらしいですね

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足が落下した展示品。落下するところがイギリス的です

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ドローンの展示。お子様による長蛇の列でタミヤRCグランプリ状態に

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理系の大学なので東洋系とインド系の学生が目立ちます

会場でのトーク。ユルユルとやっている感じがいいですね

招かれてもガン無視してしまう通行人、どこかに行ってしまうお子様など、好き勝手な感じです

司会の方が円形のテーブルに閉じ込められているのが罰ゲームのようにも見えます

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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