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スマートフォン

[2016年第22週]進む5Gへのステップ、「毎日使うアプリ」の首位はLINEではなくTwitter

2016.06.01

Updated by Naohisa Iwamoto on June 1, 2016, 11:47 am JST

この1週間も第5世代移動通信方式(5G)からIoT、キャリアの動向など、多くのトピックがあった。5Gでは8K映像のリアルタイム無線伝送に成功したニュース、IoTではWi-Fiセンサーを設置するだけで手軽に利用できる店舗向け行動解析サービスの提供などが注目される。

8K映像を5Gで伝送、5GMFの活動を紹介

まず5G関連のトピックから。NTTドコモは、フィンランドのノキアと共同で実施した5Gの技術検証実験で、8K映像のリアルタイム無線伝送に世界で初めて成功したと発表した。実験は5月19日に行われた。

実験では、ドコモとノキアが共同で開発した5Gのミリ波無線伝送実験環境を使い、8K映像をリアルタイムで伝送することに成功した。この実験の様子はこの週に開催された「5G Tokyo Bay Summit 2016」でデモを実施し、来場者の関心を集めていた(関連記事:ドコモとノキアが世界で初めて8K映像の5Gリアルタイム無線伝送に成功)。

5Gの早期実現を目指す国内の団体「第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)」の活動を報告するセミナーが実施された。東京ビッグサイトで開催された展示会「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2016」のプログラムの一環だ。

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5GMFでは5月末に「5GMF白書」を公開する計画で、セミナーでは5GMFの活動そのものを紹介すると同時に、白書の概要の説明にも時間を割いた(関連記事:無線技術に加えてアプリやネットワークの検討も推進、5GMFが活動を紹介)。

Wi-Fiでスマホを「検知」する店舗システム、手軽なHEMSがソフトバンクから

IoT関連のトピックを見ていく。まず、Wi-Fiを利用して手軽に来店客の情報を測定できるシステムを提供するというニュースから。Wi-Fiを活用したソリューション開発を手掛けるバディネットは、店舗オペレーションの分析・改善を行うトリノ・ガーデンと共同で、Wi-Fiを活用した店舗向け行動解析サービス「Flow-Cockpit」を開発、提供する。Wi-Fiセンサーを設置するだけで、来店客のスマートフォンを検知して、店舗の生産性改善に必要な「リピーター率」や「来店回数・頻度」などの定量データを自動測定して、瞬時に解析が可能。サービスの受付開始は9月1日を予定している(報道発表資料:Wi-Fiセンサーで来店客の動向が把握できる、 店舗向け行動解析サービス『Flow-Cockpit(TM)』を 9月1日から受付開始)。

家庭のIoT化に一役買う可能性あり。ソフトバンク コマース&サービスとグラモは、電力の使用量や料金をスマートフォンにリアルタイムに通知可能なHEMS(Home Energy Management System)である「iRemocon Wi-Fi(SM)」を発売する。

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スマートメーターと連携することで実現する。電力使用量の確認、アラート機能のほか、家電の操作、室内のモニタリングなどの機能を提供する(関連記事:ソフトバンクC&S、スマホに電力の使いすぎを通知可能なエネルギー管理システム)。

企業のIoT戦略。Wireless Japan 2016 第1日の基調講演で、ノキアは「ノキアのIoT戦略」と題し、ノキアの日本におけるIP/SDN製品事業部の責任者である鹿志村康夫氏が、アルカテル・ルーセントとの経営統合により拡充されたポートフォリオを紹介した。ノキアはIoTマーケットにおいて、オートモーティブ(自動車)、ユーティリティ(スマートメーター含むインフラ)、セキュリティ、シティ(交通システムやスマートシティ)、ヘルスケア&ホーム(個人向けサービス、医療向けサービス)の5つのフォーカスエリアを提供している。

これらに対し、ノキアのポートフォリオでは、「アプリケーション」「プラットフォーム」「ネットワーク」「デバイス」の4つのレイヤーを定義しており、それぞれについてEnd to Endのソリューションを持っていることをアピールした(関連記事:アルカテル・ルーセントの統合により拡充されたノキアのIoT戦略とポートフォリオ)。

ソフトバンクが長期利用者に還元、楽天モバイルは自宅で契約可能に

通信事業者関連のニュースを見ていこう。ソフトバンクは、SoftBankブランドの携帯電話サービスのユーザーに新しく長期利用特典を提供すると発表した。提供開始は2016年秋を予定している。ソフトバンクが提供する長期利用特典は、2年契約の更新時期を迎えたユーザーが、それ以降もSoftBankを継続して利用する場合に提供されるもの。最大1万5000円分のTポイントを獲得できる。長期利用者に割引を設定しているNTTドコモに対抗するもの(関連記事:ソフトバンクが長期利用特典を2016年秋に提供へ、最大1万5000円分のポイント還元)。

ソフトバンクからは、新しいジャンルの製品開発のニュースもあった。アイデアや試作中の製品を商品化に向けて支援する消費者参加型プラットフォーム「+Style(プラススタイル)」に新製品を追加するというもの。今回追加する製品は、針を使わずに血糖レベルをモニターできるデバイス「KETTO」(ケットー)、512個のLED電球によるイルミネーションの動きを制御できるインテリアライト「Tittle」(ティトル)、肌の状態を解析してアドバイスをする肌管理デバイス「Way」(ウェイ)など、合計10製品。5月27日から6月下旬にかけて順次発売する(報道発表資料:「+Style」に、新たに10製品を追加)。

いわゆる格安スマホの使い勝手向上策。楽天は、通信サービスを提供する「楽天モバイル」で、スタッフがユーザー宅を訪問して端末購入時の申し込みサポートを受けられる「出張申込サポート」を開始した。出張申込サポートは、近くに店舗がない人や、自宅を離れられない人が、自宅で楽天モバイルのスタッフと対面でスマートフォンの申し込み手続き、MNPのサポート、初期設定、スマートフォンの基本的な使い方のレッスンなどのサポートを受けられる(関連記事:楽天モバイル、自宅でスマホの申し込みから使い方レッスンまで可能な「出張申込サポート」を開始)。

日本人はLINEよりTwitterが好き? 法人向けの対話ロボットソリューション

このほか、この週のトピックを紹介する。MMD研究所は、「スマートフォン利用に関する実態調査」を実施し、結果を発表した。1カ月の通話時間は「30分未満」が54.6%と、「電話」としての利用は限られたものになっているようだ。一方、スマートフォンで利用しているアプリのジャンルでは、「SNS・コミュニケーション」が72.1%、「動画」が55.5%、「天気」が47.0%で、コミュニケーション用途での利用自体は減っていない。利用しているSNSアプリを複数回答で尋ねたところ、「LINE」が87.7%と、「Twitter」の53.6%、「Facebook」の50.9%を大きく上回った。一方、「毎日利用」するSNS・コミュニケーションアプリと限定すると、「Twitter」が「LINE」を4.9ポイント上回る結果となった(報道発表資料:毎日利用するSNS・コミュニケーションアプリ、「Twitter」が「LINE」を4.9%上回る)。

NTTドコモは、ロボットや玩具に搭載する「自然対話プラットフォーム」に企業が独自のシナリオを追加してカスタマイズできるようにする「おしゃべりロボット for Biz」のサービスを法人向けに開始した。まず、ドコモとタカラトミーが共同開発した対話ロボット「OHaNAS(オハナス)」で利用できる。シナリオを自由に追加して、商品説明のほか、店頭での接客、受付業務のサポートなどに活用できる(報道発表資料:人工知能を活用した「おしゃべりロボット for Biz」を提供開始)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。