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[2016年第24週]ビールのお代わりもワイン造りもIoTで、ECのお買い物は人工知能がサポート

2016.06.14

Updated by Naohisa Iwamoto on 6月 14, 2016, 15:44 pm JST

多方面のトピックがある一週間だった。IoTソリューションのニュースが続々と飛び込んできたほか、ワイン造りや農業へのIoT、ITの関わりを推進する話題もあった。ECの人工知能によるサポート、地磁気を使った屋内測位など新しい技術の活用のトピックもあった。

エッジコンピューティングから駐車場やビールお代わりまで、広がるIoT

IoTソリューションのトピックから見ていこう。ACCESSは、世界最小クラスのマネージドエッジコンピューティングエンジン「NetFront Agent」を開発し、提供を開始した。このエンジンはIoTゲートウエイ機器上で動作し、センサーをはじめとする、様々な入出力機器を束ね、データの収集・出力を制御するもの。国内および海外の市場で、主に、家庭や工場、オフィス、ホテルなど施設のスマート化にIoTゲートウエイを活用するための機器やサービスを提供する事業者に向けて提供する(報道発表資料:IoTゲートウェイにインテリジェント機能を付加する、世界最小クラスのマネージドエッジコンピューティングエンジン「NetFront Agent」を開発、提供開始)。

生活者により身近で具体的なIoTソリューションもアナウンスがあった。1つが、エスキュービズム・テクノロジーが発表した、飲食店などでグラスを置くだけで注文ができるようにするIoTソリューション。「おかわりコースター」と名付け、販売を開始する。飲食店における客単価の向上や人件費の削減などにつなげたい考えだ。

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外食産業では人手不足による人件費高騰の傾向があり、業務効率の向上や客単価の向上が求められる。おかわりコースターの導入で、これらの課題解決が期待できると期待する(関連記事:グラスをコースターに置けばお代わりが注文できるIoT、「おかわりコースター」の販売を開始)。

もう1つが、NTTドコモが開発した、IoT機器を活用してコインパーキングを運用する「docomoスマートパーキングシステム」。クルマの入出庫を感知するIoT機器「スマートパーキングセンサー」、通信モジュールを搭載したゲートウエイ、クラウド上の駐車場管理サーバーで構築されるシステム。

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コインパーキングの初期投資を削減することで、土地の有効活用や都心の駐車場不足の解消を目指す。利用者にとっても、スマートフォンアプリからコインパーキングの事前予約が可能で、手軽に決済できるといったメリットがある(関連記事:ドコモ、開設が容易で満空情報の確認も手軽な「docomoスマートパーキングシステム」を開発)。

ワイン造り、農業などリアルな産業とITが接近

リアルな産業とバーチャルなITとの連携が進んでいることを示すトピックもあった。

6月最初の週末となった4日、5日の2日間、長野県塩尻市の塩尻インキュベーションプラザで、「塩尻ワインオープンデータアイデアソン2016」(主催・rakumo株式会社 協賛:SCSK株式会社 協力:塩尻市)が開催された。アイデアソンには、地元信州大学の学生、IT技術者、研究者など、20名余りが集まった。

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塩尻市のCTOである金子春雄氏や、塩尻ワイン大学や塩尻志学館高校で指導にあたる高橋千秋氏など、地元の専門家も加わり「産官学を巻き込んだ草の根プロジェクト」を実践する形となった。ユニークな成り立ちで始まったプロジェクトの、ワークショップでの議論から出てきた「ワイン×IoT」には新しい可能性が開けているようだ(関連記事:IoTがワインにもたらす「おいしさ」と「楽しさ」 -大分と長野をワインとインターネットでつなぐ、「IoWプロジェクト」の可能性)。

一方、佐賀県・佐賀大学・オプティムは、「IT農業に関する三者連携協定」(以下三者連携協定)の成果報告会を開催した。2016年4月に予定していたが、熊本地震の影響によりこの日まで延期されていたもの。

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2015年8月から2016年3月までの実証実験結果の報告があったほか、これまでの知見をもとに、農業用途に特化したドローン「アグリドローン」を開発し、併せて公開された(関連記事:佐賀県・佐賀大学・オプティム 夜間作業可能な農業用ドローンなど発表 農業収益5割増を目指す)。

人工知能で購買支援、紛失対策付きMDM、駅構内をナビ

モバイル関連では新しいサービスの動きもあった。NTTドコモは、人工知能を活用した購買支援システム「ecコンシェル」の提供を開始した。法人向けのシステムで、おもにEコマースサイトにおいて人工知能を活用することで顧客ごとに適した商品やキャンペーンを案内できるようにする。ecコンシェルは、ドコモが取り組んでいるオープンイノベーションの一環として、PKSHA Technologyと共同開発したもの。試験的サービスによって、購入率が20%、顧客単価が50%向上するといった効果が得られたことから、法人向けの本格サービスとして提供を開始することになった(報道発表資料:人工知能を活用した購買支援システム「ecコンシェル」の提供開始)。

アイキューブドシステムズは、iOSおよびAndroidデバイスを紛失した際の不正利用リスクを低減できる、紛失対策機能を強化したMDMサービス「CLOMO MDM」の提供を開始した。MDMサービスに紛失対策機能を実装することにより、デバイス紛失時の対策を企業などのIT管理者が速やかに実施、管理できる。「デバイス回収用のメッセージと連絡先情報の表示」「デバイス回収時まで有効な強制ロック」「デバイス位置情報の強制取得」「デバイス初期化コマンドの無期限継続」の機能を提供する(報道発表資料:国内初、CLOMO MDM、スマートフォン、タブレットの紛失対策強化機能を提供開始)。

ヤフー(Yahoo! JAPAN)は、同社が提供する地図アプリ「Yahoo!地図」(Android版)で、地磁気による屋内位置確認技術を国内のサービスとして初めて実用化した。東京の新宿駅、渋谷駅、東京駅の駅構内や地下街でサービスを提供する。

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ヤフーでは、フィンランドのIndoorAtlasが提供する地磁気を使った屋内測位機能を実装することで、GPSの電波が届かない場所でも測位を可能にした(関連記事:Yahoo!地図、新宿、渋谷、東京の駅構内で地磁気による位置確認やルート案内を提供)。

MVNOの「PREMIUM」ブランド、日米間VoLTEをauが開始

この他のトピックを紹介する。U-NEXTは、同社が提供するモバイル通信サービス「U-mobile」ブランドに新しいMVNOサービス「U-mobile PREMIUM」を追加し提供する。NTTドコモのLTEに対応したデータ通信サービスで、NTTドコモのサポートエリアでは下り最大375Mbps/上り最大50Mbpsの高速データ通信を利用できる。データ通信専用のSIMカードが月額2480円、音声通話対応のSIMカードが月額2980円で、いずれもLTEの通信が使い放題で利用できる。U-mobile PREMIUMは、7月1日にサービスを開始する(報道発表資料:MVNO事業においてI IJと技術協力、新たなモバイルサービス「U-mobile PREMIUM」の提供をスタート)。

KDDIは、2016年6月中旬より、国内の通信事業者で初めて日米間の「VoLTE (Voice over LTE)」サービスの提供を開始する。また、韓国との間のVoLTEサービスも開始する。米国ではVerizon Wirelessと、韓国ではLG U plusと提携してサービスを提供する。対応端末は2016年6月から順次発売される「au世界サービス」対応機種。従来と同一の利用料金で、海外でも国内と変わらない高音質な音声通話を利用できるようになる(報道発表資料:『海外でも、イイコト』日米間初、高音質通話「VoLTE」が利用可能に! さらに韓国でも。)。

ソフトバンクは、LTE-Advancedに対応した衛星通信システムを試作開発した。地上で利用しているLTE/LTE-Advancedと同じ通信規格を利用するため、地上ネットワークとの親和性が高いことが特徴だ。

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ソフトバンクは、2014年7月から、LTE-Advancedに対応した衛星通信システムの試作システムの実証実験を行い、研究開発を続けてきた。ソフトバンクによれば、世界で初めての試作開発になるという(関連記事:ソフトバンク、LTE-Advancedで衛星通信を実現するシステムを試作開発)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。

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