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いつでも、どこでも高校野球が楽しめる「バーチャル高校野球」:地方大会中継もスマホで

2016.07.19

Updated by Hitoshi Sato on July 19, 2016, 19:02 pm JST

朝日新聞社と朝日放送が運営している高校野球情報サイト「バーチャル高校野球」は、スマホで高校野球を楽しめるアプリを提供している。

高校野球はスマホで楽しむ時代

高校野球の地方大会が真っ盛りだ。暑い日本の夏の風物詩のようなものだ。甲子園での本戦よりも地方の大会の方が楽しい試合が多い。全国的には誰も知らない学校や、自分の母校の野球部も出ているかもしれない。「バーチャル高校野球」なら、そのような試合の速報を。スマホで、いつでもどこにいても楽しめる。

「バーチャル高校野球」は第98回全国高校野球選手権大会の総合情報サイトで、全国大会の全試合はもちろん、地方大会決勝などのライブ配信や速報をパソコンやスマホ向けに行っている。点数の速報ならスマホでどこにいても、全国の各都道府県の予選大会の結果がリアルタイムに見ることができる。7月13日から地方大会中継がいよいよ始まった。「バーチャル高校野球」ではこの夏、地方大会38大会の決勝と全国大会の全試合がライブ中継される。

過去の名勝負「プレイバック高校野球」などを見ることができる有料プランもある。7月中は500円で見放題だ(8月からは980円)。2006年以降の約480試合を配信している。例えば2006年の延長15回再試合となった駒大苫小牧対早稲田実業の熱闘など数々の名勝負を楽しめるようだが、今年行われている全国の都道府県の高校野球を楽しむだけなら無料版で十分だ。高校野球でこれだけの過去からの情報を蓄積しているのは、さすが朝日新聞と朝日放送だ。もっと時間があれば有料版で楽しみたいところだ。

昭和時代は仕事をさぼって喫茶店で高校野球を見ていたそうだ(私の高校時代は平成だったので昭和時代の高校野球は知らない)が、今は仕事中にこっそりデスクにいながら、スマホで地方大会など地元の試合も楽しめる。母校が予選に出場する時には応援に行かないかと高校時代の友人が連絡をくれるが、平日の昼間だし、真夏にスタンドでの応援なんて暑くて耐えられないだろうから行ったことがない。だがスマホやテレビで見ているとたまにはスタンドに応援に行ってみたくもなる。

応援キャラクターはAKB48 チーム8、全国の地方創生にも貢献

高校野球で頑張っている高校生の熱い姿に多くの日本人が共感して、昔から多くの日本人が高校野球を応援してきた。「バーチャル高校野球」の公式応援キャラクターはAKB48チーム8が就任している。チーム8は47に都道府県から代表が集まって出来たチームで、各都道府県から代表メンバー1名が存在しており、そのコンセプトはまさに甲子園の代表校のようなものだ。またチーム8の新曲「夢へのルート」がCMソングに起用されたが、この曲も夢に向かって走っていく若者の姿を表現しており、高校野球のイメージにもぴったりだ。

さらにチーム8のメンバーは全国都道府県の地方局がやっている高校野球の中継番組の応援キャラクターにも引っ張りだこだ。福島県代表の舞木香純さんは、昨年に引き続き、KFB福島放送の応援キャラクターとして、地元での高校野球中継を盛り上げている。

高校野球は地方の代表校を選出するのでどの都道府県でも盛り上がる。各地方それぞれで盛り上がるから、地方創生には一番いいコンテンツだ。地元のことをよく理解しており、さらに全国規模でも活躍しているAKB48 のチーム8は高校球児とも同世代だし、チーム8は全国の都道府県から47名選出されているので高校野球の応援キャラクターには適任だ。

被災地熊本での試合もアーカイブで何度でも

熊本市の藤崎台県営野球場で行われた熊本大会の開会式では、熊本朝日放送の実況中継の映像、音声が「バーチャル高校野球」を通じて全国に配信された。熊本二の倉岡直輝主将が「再び大好きな野球ができる奇跡をかみしめ、甲子園という夢をかなえるために、前を向き戦い抜くことを誓います」と声を響かせた選手宣誓が、リアルタイムに届けられた。

熊本城公園の一角にあり、「熊本の甲子園」とも言われる藤崎台球場も、2016年4月の大地震では深刻な被害を受けた。一時は同球場での開会式実施が危ぶまれたが、懸命の応急工事、関係者の努力で開幕に間に合った。すでに多くの方に見ていただいている開会式の模様は、各地の地方大会の試合とあわせ、8月末まで「バーチャル高校野球」のアーカイブで何度でも見ることができる。

熊本県代表の倉野尾成美さんも、アーカイブで熊本大会の開会式を見た一人だ。球児たちの姿をスマホの画面で見つめた倉野尾さんは以下のメッセージを寄せていた。

20160719-baseball1「4月の大きな地震から、3ヶ月が過ぎようとしています。今年が最後の高校野球の3年生をはじめ、熊本の球児のみなさんは今年の熊本大会が行われるかと、不安だったと思います。被災された学校、そして球児のみなさんも練習する場所や時間はきっと今までよりなかったことでしょう。そんな中、工夫して懸命に練習を重ねて、この開会式に臨んだ球児のみなさんの頑張りに、とても心打たれました。そして、なにより球児のみなさんの勇気と活力のこもった眼差しが、とても輝いていて全国の皆さんに熊本が頑張っているということが伝わったと思います。まだまだ熊本は完全な復興まで時間がかかりますが、私も球児のみなさんに負けないようにチーム8の活動を通して、力になれるように頑張りたいです。皆さんの頑張りが熊本の皆さんに、そして全国の皆さんに届くように、活躍を期待しています」
( 写真はスマホで高校球児の姿を見る熊本代表の倉野尾さん ©AKS)

高校野球が地方の活性に大きく貢献していることが伺えるコメントだ。こういうコメントを見ると、熊本を応援したくなってしまう人も多いだろうが、全国の高校球児がそれぞれの思いで戦っている。

そろそろ各都道府県の代表が出そろってくる時期だ。高校野球の決勝が終わるまでスマホから目が離せなさそうだ。

【参照情報】
バーチャル高校野球

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。

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