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「未来窓」のプロトタイプ YKK AP

「窓越しに離れた家族と会話」「空気環境を検知し自動換気」--窓の未来の姿をYKK APが公開

2017.06.30

Updated by Naohisa Iwamoto on June 30, 2017, 06:25 am JST

窓をディスプレイにするなどしてIoTデバイスとして活用するアイデアは多く語られている。そうした中で、実際に透明有機ELを使った「未来窓」のプロトタイプをYKK APが公開する。

YKK APは、未来の窓を考えて形にする「未来窓」プロジェクトを2016年4月にスタートし、具体化について検討を進めてきた。今回、未来窓のプロトタイプである「Window with Intelligence」を開発し、7月1日にYKK APショールーム新宿の特設ギャラリーで一般公開することをアナウンスした。Window with Intelligenceは、タッチセンサー付きの透明有機ELを樹脂製窓フレームに組み込む特許出願中の技術を利用し、窓としての性能を保った上で情報の表示や利用をできるようにした。同社では「窓が情報を持ったなら。」という想定で、毎日の暮らしが便利になる窓の将来の実用イメージをプロトタイプに落とし込んだ。

▼Window with Intelligenceの利用イメージ。左から「ライフログによる生活記録から行動パターンに応じた窓の自動開閉」「遠隔地の家族と窓越しに団欒」「窓をキャンパスにしたお絵かきやメモ」。YKK APのニュースリリースより20170628_YKK001

Window with Intelligenceの代表的な7つの機能は以下の通り。

●Home Connect(家電連携機能):AIスピーカーの音声アシストや家庭内のスマート家電などと連携して、窓の開閉、エアコンや照明などの家電の操作を行う

●Video Chat(チャット機能):窓の透明有機EL上に遠隔地の相手の顔を表示させてビデオチャットが可能になる。まさしく窓の向こうに離れた家族や友人などがいるような自然なコミュニケーション体験が可能になる

●Air Conditioning(換気機能):窓が部屋の空気環境を測定。空気環境のレベルは透明有機EL上に色で表示するほか、空気が汚れている場合には自動的に窓を開閉させて換気することも可能

●Weather(天気機能):窓の外の実際の気象情報を取得したり、インターネット経由で情報を入手したりして、窓に天気情報を表示する。天気予報、紫外線や花粉などの季節情報を窓の外を見ながら入手できる

●Drawing(メモ機能):窓に伝言メモを残す機能。外出時などに「洗濯物を取り込んで」といった伝言や、「お帰りなさいと」いったメッセージを登録することで、窓を通じて家族のコミュニケーションを深化させる

●Life Log(ライフログ機能):窓が毎日の部屋の様子を撮影して、家族や子どものアルバムを作るライフログとして活用。また室内の遠隔監視や安否確認などにも利用できる

●Mirroring(ミラーリング機能):窓とスマートフォンをペアリングすることで、スマートフォン内の画像を窓に表示させる。窓から見える景色を壁紙のようにセレクト

Window with Intelligenceの検討には、未来の体験をデザインするクリエイティブラボ PARTYと、IoTハードの企画開発製造や地図データ活用ソフトを組み合わせたソリューションを提供するWill Smartが、YKK APとともに加わってきた。国内外の各社が発売を予定しているAIスピーカーとの連携機能や、オープンプラットフォームでアプリを誰もが作れる開発環境などで、エコシステムの拡大を目指す。YKK APでは3年後の実用化を目指しているという。

【報道発表資料】
世界とつながる窓「Window with Intelligence」実用化に向けたプロトタイプを公開

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。