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在宅勤務成功のコツは何か?(その2)

What makes remote work successful (2)

2017.03.01

Updated by Mayumi Tanimoto on 3月 1, 2017, 07:43 am JST

連載二回目です。前回はセールスフォース・ドットコムにおける在宅勤務導入の経緯 をご紹介しましたが、今回はEmployee Success(人事部) のVPである石井早苗様に、在宅勤務の管理方法についてうかがいました。日本企業の感覚からすると、驚くような自由度ですが、欧州や北米の企業は似たような方式で管理しているところが少なくありません。ポイントは、現場のマネージャレベルへの権限委譲、自己申告です。

- 在宅勤務には特別な届け出は必要なのでしょうか?

マネージャーに許可をもらう仕組みになっています。つまり、自分の上司に「来週のいついつは家から仕事します」と伝えてOKがでれば問題ありません。伝えるにはメールでも口頭でも構いません。マネージャーの裁量が大きくなっています。人事が使用許可をだすとか、届け出を確認するということは一切やっていません。

その代わり、利用する社員にはエチケットとして、カレンダーにスケジュールに書き込む、携帯で連絡が取れるようにする、この時間は連絡が可能です等コミュニケーションを十分取ることをお願いしています。

- 退勤管理はどのように行われているのでしょうか?

「ワークフロムホーム」の勤怠管理の 基本は、自分から「 どこで勤務しているかわかるようにする」です。社員のスケジュールを追いかけるようなことはせず、自己申告を元に透明化を進めています。カレンダーツールに、電話会議、勤務予定時間、どこで作業しているかなどを記入してもらい、上司だけではなく、会社の同僚や他の部署の人も把握できるようにしてもらっています。

企業によっては社員がいつパソコンにログインしたとか、いつ離席したというのを監視するソフトを使っているところもあるようですが、セールスフォース・ドットコムでは一切入れていません。

- 退勤管理が自己申告で問題はありませんでしたか?

全体から見た場合は極少数です。導入後問題はほとんど起きていません。セールスフォース・ドットコムの理念は「オハナ 」 です。「オハナ」とはハワイ語で、広義の家族を意味する言葉なのですが、血縁関係者や親戚以外の人も家族同様に扱って、お互いに支えあうという考え方です。

ですから、セールスフォース・ドットコムには、社員だけではなく、お客様、パートナー企業、関係するすべての方を家族として大切にする文化があります。お互いを信頼しているので、リモートワークに関しても、監視するのではなく、自律や自己申告を重視しましょうという方針なんです。

セールスフォース・ドットコムでは、社員にとって良いものを導入するのが最も重要であって、悪用や最悪の事態を想定して躊躇することはしません。日本もこの考え方に基づき、基本的に社員を信頼し無駄な管理はしないという方針です。

- 業績評価はどのように行っているのでしょうか?

業績評価では「結果に対して報酬を与える」という考え方が基本になっていますので、在宅勤務用に特別な仕組みを作ることはしていません。

セールスフォース・ドットコムでは全世界で統一された業績評価方法を採用しています。年度の頭に個人個人が目標を設定します。例えば人事の採用担当者だと「今年は新卒を30人採用します」といった感じですね。

これは会長兼CEOであるマーク・ベニオフが年始の経営者会議で目標を設定し、それを支え、実行するための担当役員がそれぞれの目標を設定、というように、ピラミッド型に目標を作成します。そのため、会社の目標と個人の目標が合致して、全員が同じ方向を向いて業務を行うことができます。

目標は上から下までまったく同じフォーマットで作成したものをChatter(チャター)にアップします。これは社内で共有され、誰でも他の人の目標を見て、支援を申し出たり、どれだけの結果を出しているかを確認することができます。

あくまで、何時間働きました、会社に何時間いました、という評価ではなく、パフォーマンスが重視されます。これは 全世界で同じ考え方です。

Chatter(チャター)からは、他の人の目標に関してコメントを送ることも提案することも可能です。履歴をみれば仕事の様子がわかりますし、 目標と進捗具合もわかります。結果、上司も部下も平等に目標や仕事のパフォーマンスを見える化し、大変透明性の高い仕組みで動いています。

さらに今後は年度末の人事評価を行うこともやめて、定期的に継続してフィードバックを行う仕組みを導入しました。

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次回の記事ではさらなる成功のコツについてうかがいます。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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