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室内で誰もが葉物野菜などを簡単に栽培できるシステムSproutsIO。SproutsIOを使えば、誰でも手軽に、手間をかけることなく、家で実際に食べられる野菜やハーブを栽培することができる。バジル、ケール、パセリ、シシトウ、唐辛子、ミニトマト、ルッコラ、ブロッコリーなどを自分で育てて食べることができるようになる。

この「スマート・マイクロガーデン」は、もともと2011年にMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボのJennifer Broutin Farah氏(現在はSproutsIOのCEO)の発想したものだ。彼女のチームは2013年に会社を設立、2016年9月にはクラウドファンディングのKickstarterでSproutsIOの資金調達に成功した。その時の価格は799ドルで、配送は2017年5月を予定していた。現在は同社サイトでも予約販売を受付中だ。

家庭菜園、特に室内での栽培にはいくつも課題がある。もし、種を買ってきたとする。まず発芽させるのが大変だ。手間もかかり、水と温度に細心の注意が必要となる。発芽したら別のプランターに植え替えたり、肥料を与えたり、与え過ぎないように注意しながら水を与えたりしなければならない。室内でも害虫がつくことはあるし、植物が病気になることもある。また室内では、窓ガラスが太陽光の波長の一部をさえぎってしまい、直射日光が当たらない。蛍光灯や白熱灯の波長には植物の生育に必要な部分が欠けているから、もともと太陽光で光合成していた植物には、ガラス越しの日光は、よい光とは言えない。

SproutsIO HowToGrow Final from Nate DeLong on Vimeo.

SproutsIOは、本体(SproutsIOデバイス)、sIOリフィル、そしてモバイル用アプリ「SproutsIOGrow」の3つを組み合わせたものだ。本体(SproutsIOデバイス)には、種から芽が出て収穫できるまで、植物の状態と環境をモニタリングするセンサーや、カメラが内蔵されている。Wi-Fiでインターネットに繋がるので、家の外から状態をチェックすることが可能だ。また、下向きのLEDライトで植物に白色光を当てる。ライトは上下させることができるので、植物の生育に合わせて位置を調整できる。

sIOリフィルとは、種と肥料と培地(植物を育てるための土の代わりの素材)を組み合わせて、パッケージにしたもの。これをセットして水を入れれば、育成が始まる。次の野菜やハーブを育てる場合には、このリフィルを入手する必要がある。土は使わない水耕栽培だ。昨今の水耕栽培ブームの背景には、LEDの普及が大きな役目を果たしている。

3つめの要素であるモバイル・アプリ「SproutsIOGrow」は、植物を育てているオーナーに、SproutsIO本体から送られてくる植物の生育の様子を画像で見せてくれる。しかしそれだけではない。本体のセンサーから情報を集め、同社が持っているクラウドの情報に照らし合わせ、生育状態に応じ、間引きなど、次すべきアクションを教えてくれる。言うなれば、Fitbitのようなトラッカーを植物につけておいて、現在の状況をモニタリングしつつ、手入れの時期や方法、収穫時期などを予測して知らせてくれるのだ。この3つを揃えれば、プラグ&プレイのように簡単に水耕栽培の室内家庭菜園を始めることができる。

きっと、同じ野菜を手に入れるのなら、スーパーマーケットで買った方が安い。本体価格だけではなく、LEDで省エネとは言っても電気代がかかるし、リフィルの種も必要になる。

それでも、植物がだんだん育っていく様子を見ると命の不思議さや尊さを実感できるし、うまく育てば嬉しいし、失敗したら次は工夫したくなる。どうやって育てたかはっきり分かるし、採りたての新鮮な味が楽しめる。どんなに流通が発達しても、畑の近くに住んでいない限り、採ったばかりの野菜はなかなか手に入らない。

LED、センサー、Wi-Fi、クラウド、アプリなど最新の技術要素が、様々なものを変えていく今を、 身近に感じられることだろう。

SproutsIO
http://sprouts.io/

SproutsIO: Smart Microgarden
https://www.kickstarter.com/projects/451425606/sproutsio-smart-microgarden

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