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体感センサーとIoTで認知症患者を見守り

Support loved ones with motion sensors and IoT

2017.04.26

Updated by Mayumi Tanimoto on 4月 26, 2017, 08:52 am JST

3月にロンドンで開催されたSmartIoTでは健康関連のソリューションも多数展示されていました。私は父が要介護5で、現在特別養護老人ホームに入っているので、認知症の人向けに役に立つものはないかなと会場を歩いていたところ、Canaryという会社の製品が目に入りました。

Canaryの面白いところは、部屋に装着した直径5センチほどの体感センサーで利用者の動き、室内温度の変化を察知し、高齢者や高次脳機能障害がある人のちょっとした変化を見守れるところです。アラートは患者ごとにしきい値を設定可能で、データは携帯電話網を使用して自動的にクラウドに保存されます。見守る方はスマートフォンやPCから随時確認することが可能です。基本的に、イギリスで人気がある室内セキュリティシステムと似たような機能を持っています。セキュリティシステムの場合も、室内で何か動いたりすると、ユーザーにアラートが発信されます。

センサーにはSIMカードが組み込まれているので、利用者の家にネット回線がなくても、携帯電話網を使用してデータが自動的に送信されます。通信費は月額課金に含まれています。高齢者の自宅はネットを引いていないことも多いのでこれは便利です。日本だとパナソニックの「スマ@ホーム システム」がCanaryに近いですが、設置先にネット回線とWifが必要です。データはセンサーには保存されずクラウドに直接飛びますので、センサーから個人情報を抜かれるという心配もありません。

イギリスにはこれまで「ペンダント型アラーム」というものもあって、民間企業や非営利団体が提供してきましたが、「ペンダント型アラーム」の場合、高齢者本人が助けが必要な場合のボタンを押さなければアラートが発信されません。Canaryの場合は24時間365日自動的に監視が可能です。認知症の人だとボタンを押す、ということがわからない場合もありますし、発作や脳梗塞で倒れた場合もボタンが押せません。

日本の認知症患者向けのIoTソリューションは、徘徊監視に注力したものが多いのですが、認知症と言っても、その症状は様々で、軽症の人も多いですし、一人暮らしを継続する人もいますので、Canaryの様なソリューションの方が家族にとってはありがたいです。父も徘徊はあまりなく、具合が悪くなることや転倒、室内環境の変化が気になりましたので、これがあったら良かったなあと感じました。室内での動きが通常と異なれば、具合が悪いのだ、寝たきりなのだということがわかります。

 

Canaryは、Canary Hub(要電源)、モーションセンサー(電池で稼働)、ビジターカード、ドアセンサーから構成され、ビジターカードは家族や利用者の家を訪問するヘルパーや清掃員に発行される。ビジターカードをドアセンサーにかざすと誰がいつ訪問したかが記録される。センサーは壁に貼るだけで使用可能。イギリスはスーパーのポイントカードもこの様なキーホルダー型が人気です。

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どの部屋や、部屋の特定箇所で行動があったかどうかを監視できる。温度や照明のレベルの監視も可能。中長期のグラフも生成可能。訪問者も記録されます。

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スタンダードパックはCanary Hub1台、モーションセンサー4台、ビジターカード1枚、コンタクトストリップ(モーションセンサーに添付)、ユーザーガイドから構成。初期費用£298.80(約41832円)を支払う場合、月額£19.20(約2688円)課金。レンタルの場合はデポジット£100(約14000円。サービス終了後に返金)で月額£48(約6720円)課金。追加のドアセンサーとモーションセンサーは一台£48(約6720円)、追加のビジターカードは一枚£4.8(約672円)

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Canaryは、元々テレコム業界にいた社長のスチュワートさんが、NHS(イギリスの国立病院機構)と仕事した経験から「こんなものがあったら便利だな」という要望を元に創業。企業は自分の貯金とベンチャーキャピタルからの資金を使い、開発には合計で4年かかっています。今のところイギリス市場に注力していますが、海外市場も視野に入れています。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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