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アプリからロボティクスまで医療の今を知る技術が集まった「メドテック ジャパン」会場レポート

2017.05.17

Updated by Yuko Nonoshita on 5月 17, 2017, 07:00 am JST

医療機器の製造と開発に関するアジア最大の展示会「メドテック ジャパン」が4月19日から4月21日まで東京ビックサイトで開催された。出展者数は544社・団体あり、3日間の来場者数は32000人を超えた。

今年のメドテックは、医療専門家向けであるものの未病や生活サポートなど医療機関以外で利用するものが多く、アプリやウェアラブルなど身近に使えるデジタルツールを活用した技術も目立った。一方、病院や医療関連施設向けにはロボティクス技術を使ってサポートを行う製品が複数出展され、長時間同じ体制で作業を行う医師らを支援する機器などが提案されていた。

声の調子からストレスや抑うつ状態を分析する技術であるPST(Pathologic condition analysis and Sensibility Technology: 音声病態分析感性制御技術)を開発しているPST社からは、アプリに話しかけるだけで未病チェックができるAndroidアプリ「MYMOSIS」(マインド・モニタリング・システム)が紹介されていた。現在、東京大学との社会実装研究を実施通で、無料で誰でも利用できる。1分間ほどアプリに話し続けなければならないなど、やや使いにくさはあるものの、日々の気分のチェックが簡単にできるという点で、実用化に期待したいところである。
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ネスカフェでおなじみのネスレ社は、健康やウェルネス関係の技術開発も手がけている。ネスレ スキンヘルスが開発するApple WatchのResearchKitを応用したかゆみ計測調査アプリ「Itch Tracker」は、寝ている間にカラダを掻く動作だけを認知することで、肌の健康状態を客観的に評価し、睡眠への影響などを調査するというもの。アトピーやアレルギー、乾燥肌などとの関連性を分析し、治療法を開発するため、現在、アプリ利用者向けにアンケート調査を実施している。
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歯ブラシとスマホを連動させて、毎日のブラッシングをチェックできる製品は他にもあるが、サンスターからは加速度センサーやBluetooth付きの歯ブラシ「G・U・M PLAY」で使える、3つのアプリを開発している。歯ブラシを楽器にする「MOUTH BAND」、菌を退治するゲーム「MOUTH MONSTER」、ニュースを読み上げてくれる「MOUTH News」は、利用ログを保存することで、衛生状態をチェックすることもできるようになっている。
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排泄を予知できる世界初のウェアラブルデバイスとして注目を集めている「D free」は、ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017で大賞を受賞している。今後は介護施設向けなどBtoB市場での展開を目指しており、実際に納入も始まっている。現場では、介護する側もされる側にとってもメリットがあり、利用にも前向きという声が寄せられつつあるという。
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同じくジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017で入賞した「Seem」は、リクルートライフスタイルが開発した精液簡易測定ツールで、郵送などの手間をかけずに、自宅でスマホを使って手軽に精子のセルフチェックができるのが特徴だ。採取に必要な道具など一式がパッケージになった測定キットの実売価格は7000円前後で、Amazonやビッグカメラで購入できる。
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アプリに表示される質問に答えるだけで、必要な市販薬や衛生用品をガイドしてくれるアプリ「メディカルコンパス」は、医師や薬剤師が参加するベンチャーが開発しており、6月に配信開始の予定だ。同社は最適なセルフメディケーションのサポートを目指しており、マシンラーニングなどを取り入れながら精度を高めることを目指している。
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デンソーが開発する手術支援ロボット「iArms(アイアームス)」は、主に長時間、細やかな施術が必要とされる手術において、医師の腕を支えることで指先の震えを抑え、繊細な作業をサポートすることができる。すでに実用化されており、グッドデザイン賞も受賞している。
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長時間立ったまま手術を行う医師をサポートする「archelis(アルケリアス)」は、歩いたり中腰の姿勢を維持できるウェアラブルチェアで、装着するだけで何時間でも使用できるのが大きな特徴になっている。シンプルで装着もしやすく、会場では多くの人たちがデモを体験していた。
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車いす型の移乗・移動支援ロボットをさらに進化させ、立ち作業までサポートできるようにした「RODEM TRi」、オフィスでの利用を目的とし、細やかで静かな動きができるようになっている。現在実証実験中で、開発はテムザックが行っている。
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会場ではスイスが出展するブースでは、電動式外骨格型パワードスーツの「TWIICE」も展示され、昨年スイスで開催されたオリンピック「サイバスロン」に出場した装着者によるデモも行われた。下半身不随でも歩行をサポートできる機能と機構の美しさが高く評価されているが、実際に思ったように動かせるようになるまでは訓練が必要など、実用化に向けたプロジェクトが進行中である。
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メドテック ジャパン
http://www.medtecjapan.com/

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。

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