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日本語版Googleアシスタント、Android端末向けに提供開始

2017.05.30

Updated by Naohisa Iwamoto on May 30, 2017, 06:25 am JST

グーグル日本法人は、アシスタントサービスの「日本語版Googleアシスタント」の提供を開始した。まずはAndroid端末が対象で、スマートフォンのホームボタンの長押しで、自然言語処理を使った音声による問いかけに答えてくれる。

日本語版Googleアシスタントは、Android 6.0(Marshmallow)とAndroid 7.0(Nougat)に対応する。5月29日から数週間かけて、対応する端末で順次利用が可能になっていくという。これまでメッセージアプリ「Google Allo」でGoogleアシスタントが利用できたが、今後はスマートフォンなどのAndroid端末に標準搭載されることで、より多くの人が人工知能(AI)の力を借りたサービスをホームボタンの長押しによって手軽に利用できるようになる。

▼Android端末で日本語版Googleアシスタントが利用可能に20170529_google001

グーグルで製品開発本部長を務める徳生裕人氏は「GoogleではMobile FirstからAI Firstへとシフトしている。人工知能(AI)の発達で、これまで考えられなかったことが実現できるようになってきた。機械学習に代表されるAIの力を誰もが使えて、恩恵を受けられるようにすることが狙いだ。Googleアシスタントはその1つで、向こう数年間かけてコンピューターの使い方がますます人間にとって自然になっていくためのソフトウエア進化の姿だ」と説明する。

利用はごく簡単で、前述の通りスマートフォンのホームボタンを押して話しかけるだけ。どの画面からでも起動ができる。パーソナライズされているので自分自身の情報を尋ねることもできるし、Googleカレンダーの情報を確認することもできる。予定を確認した後で予定の場所までの行き方を尋ねるときはGoogleマップが回答する。電車の経路が表示されているときに「クルマではどう?」と追加の質問をしても、前の文脈を理解しているために対応する回答が得られる。

▼左から「今日傘いる?」「明日の朝7時にアラーム」「北海道で撮った料理の写真を見せて」と問いかけたところ20170529_google002

このほかにも、「『こんにちは』はドイツ語でなんというの?」といった外国語の質問、「今日は傘はいる?」といった一般情報からの回答もOKだ。「北海道の写真」と尋ねればGoogleフォトの画像の中から選んで一覧できるし、さらに「北海道で撮った料理の写真」と絞り込めば料理の画像が並ぶ。「北海道で有名なジンギスカンのお店を教えて」と言えば店舗を紹介し、リマインダーに店舗を訪問するタスクを設定することもできる。登録した連絡先へのメッセージの送信も音声で指示できる。

スマートフォンと組み合わせることで、語りかけるユーザーインタフェースとして自由度が高まったGoogleアシスタントだが、まだ現段階は「大きな第一歩にすぎない」と徳生氏は語る。「いつでもどこでも役に立つアシスタントになるためには、検索に今後何年もかけて開発を進めていく必要がある。スマートフォンはもちろん、家の中でもクルマの中でも、さまざまなデバイスでGoogleアシスタントが使えるようになれば、より役に立つアシスタントができる」。

一方で、Googleだけで役立つアシスタントをすべて作ることはできないとも言う。「家の電気をつけたり、タクシーを呼んだりというとき、Googleだけではユーザーのニーズに答えきれない。Googleアシスタントと連携できるActions on Googleを今後は日本語版も含めて提供し、様々なパートナーと連携していく必要がある」(徳生氏)。日本語版Googleアシスタントは、当初はAndroid版からの提供だが、iOS版も将来的には登場が見込まれる。対応するデバイスの拡がりと、サービスを支えるパートナーとの連携の拡がりが両輪となって動きだすと、Googleが狙う「いつでもどこでもあなただけのアシスタント」が現実味を帯びてくる。

【報道発表資料】
Google アシスタントが日本語で Android 端末に登場

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。