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なぜヨーロッパのIT業界は有給完全消化が可能なのか?(1)

Why European IT industry can use all paid holidays?

2017.05.30

Updated by Mayumi Tanimoto on 5月 30, 2017, 07:10 am JST

そろそろ夏休みのシーズンですが、今年はテロが連続して起こっているので、イギリス初のパッケージツアーは軒並み値段が下がりまくっています。

ギリシャやトルコのリゾート地行きだと、7泊8日5つ星ホテル、送迎、航空券に3食付きで一人2万5千円という恐ろしい値段で出回っています。昨年、一昨年と難民騒ぎの時も値段が下がりましたが、あれだけ自爆攻撃があると、飛行機に乗る気にならないので仕方がないでしょう。トルコは旅行地としては終わりかもしれません。

フランス、ドイツ、スペイン、アメリカ、中東湾岸地域に行く航空券も凄い下がり方です。

しかし休みを取りたい人は多いので、今年は自宅近辺の郊外や国内旅行が人気になりそうです。

ところで夏に休暇を取る場合、欧州で一番の働き者のイギリスのIT業界でも、だいたい2週間連続でとるのが当たり前です。3週間取る人もいます。私がイタリアで働いていた時は一ヶ月も珍しくありませんでした。クリスマス時期は夏とは別に10日から2週間ぐらい休みます。

さてなぜここでこんなに休暇が取れるのかという質問が読者の方から来ましたので、以下ちょっとまとめてみました。

1. 必要最小限のことしかやらない

日本と欧州のIT業界で明らかに違うのは、本当に必要なことしかやらないことです。

例えば書類に関しても、例えば日本だと必要ないのにカラーで一生懸命作ったり、スライドには絵やらアニメーションをやたらと入れます。

しかしここだとそんな面倒くさいことはやりません。極力白黒。最初からフォーマットを決めておく。書類の枚数は極力少なくして箇条書き。

文章ばかりでイラスト少なめなので手間はかかりません。特にイギリス人やカナダ人、ドイツ人の場合は、文書に必要のないイラストやアニメを入れると「わかりにくい」「子供っぽい」といって怒ります。彼らは文書がたくさん書いてあるのが好きです。

プレゼンもキーポイントを書くのみで、極力シンプル。日本の様に説明をたくさん入れません。そんなのをいれてもプレゼン中に見えないし誰も読みません。箇条書きでまとめないとさらに怒ります。

文書は印刷はしません。タブレットやノートPC持ち込みで事前に配布して終了、在宅勤務者や海外にいる人もいるので紙は意味ありません。日本の人は印刷するのが好きなので、特にイギリス人は激怒します。紙は重いし、プリンタもよく壊れるので修理代がかかるからです。プリンタの修理人はすぐに来てくれません。

2. 会議が最小限

必要なことしかやらないので、会議は必要最小限で、顔合わせ的な会議はありません。課題リストがあって、その場で即決して終わりです。

日本だと「なんとかオブザーバー」とかわけの分からない人が出てくる会議がありますが、ああいうものがありません。

従って会議の準備や調整の作業がなくなります。日本の会社だと、良くわからない大人数な会議がやたらとあって、会場の予約やスケジュール調整だけで大変です。こういうのが積み重なるので休暇が取れないのです。

イギリス人を始め、欧州の人々は全体的に「いかに楽をするか」ということを延々と考えています。ですから、意味のあること、効果のあることしかやらない。

しかし日本人幹部や管理職からみると、彼らはサボっている、怠けているようにみえます。

そこで文化的な衝突が起こります。欧州側は「日本は無駄なことばかりやる間抜けで大馬鹿だ」といい、日本側は「奴らは休んでばかりだ」と怒ります。日本側は当然休暇を取ることに良い顔をしませんので、この対決は悪化します。

その他のポイントに関しては次回の記事に続きます。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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