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メジャーリーグも公式導入、怪我を予知・予防するハイテク・ガジェット

2017.06.30

Updated by WirelessWire News編集部 on June 30, 2017, 07:02 am JST

20世紀、かつて野球の練習は、根性と反復練習によって、「何か」を会得していくことが基本だった。バットを握って振り回し、素振り1000回とか、前後左右に走らされ、フラフラになってゴロを拾い続ける1000本ノックで得られる、その「何か」は、姿勢や動作、力の入れ方や抜き方のスキルだったりコツであった。

運良く、いい指導者が見てくれていれば、動きを客観的に観察して、アドバイスをくれるだろう。しかし自主的な練習では、自分で自分の動きを補正していくしかない。走って、キャッチボールを繰り返し、バットを振る。言わば感覚に頼った練習だ。

21世紀となった今、筋力トレーニングやメンタルトレーニングには、さまざまな新しい知見が取り入れられて、プロ選手や大学、高校の名門校の野球部には、効果的なメニューが整ってきている。けれどやはり、野球の動きそのものに対しては、プロもアマチュアも、主体になっているのは自主的な反復練習だ。
 
 
2016年のシーズンから、アメリカのMLB(メジャーリーグ)では、2つのハイテク・ガジェットの試合中での利用が認められた。1つはMotus Baseball Sleeveで、もう1つはZephyr Bioharnessだ。

Motus Baseball Sleeveは、ピッチャーの利き腕の二の腕から肘を経て、手首の近くまでを覆うサポーターで、専用のセンサーを取り付ける小さなポケットがついている。ピッチャーの、ボールを投げる動きをセンサーが捉えて、スマートフォンのアプリに情報を送る。するとアプリが腕の動きや速さを分析してくれる。しかしその目的は、トレーニングの精度を上げるというよりも、投手の肘の怪我を予防することだ。強くて無理な動きを繰り返して肘を壊してしまうと、シーズンを棒に振ったり、選手生命を短くしてしまう。ピッチングを続ける間、リアルタイムでデータをスマートフォンに送り、その場でフォームを変えたり、投球を止めたりといったフィードバックが可能になる。

Zephyr Bioharnessは、バンドで胸に取りつけ、心拍数や呼吸などを計測するシステム。アスリートや消防士、兵士などが試合中や災害現場、戦場などでどのようなパフォーマンスで活動しているかをモニタリングする為のものだ。

この2つに加えてMLBは2017年からはWhoop Strapの使用も認めた。これはFitbitのように手首に装着するデバイスで、心拍数や動き、睡眠などのほか、周囲の気温などを計測してスマートフォンのアプリに送る。
 
 
メジャーリーグではこうした動きがあるものの、一般のスポーツ愛好家向け製品としてはランニングやサイクリング、テニスやスイミングに向けた製品が先行していて、野球はやや遅れ気味だった。それでも、アメリカで人気のスポーツだけに、最近ではさまざまな製品が出てきている。

Zepp Baseball 2(150ドル)は、3Dスイング・アナライザー。バットのグリップエンドに黄色いデバイスを取りつけて、何回かボールを打って、スイングの動作をすれば、3次元加速度センサーとジャイロスコープがバットの向き、動き、角度、スピードを計測してくれ、スマホのアプリで視覚化してくれる。日本でも、例えばアップルストアで購入することが可能だ。

バットのスイングについてはこのほかにも、Diamond Kineticsのスイング・トラッカーや、BlastのBaseball 360、Swing-OpsのSpeedsensor、EastonのPower Sensorなど多くの製品が生まれてきている。いずれも多くはバットのグリップエンドに装着して、スマートフォンのアプリと無線で連動する。

こうした製品は、選手のバッティングのパフォーマンス向上と同時に、無理な練習による選手の故障を予防する効果が期待されている。全国の小中学校のエースで4番の生徒たちが、故障で野球を諦めるようなことにならないように、こうしたガジェットはプロ選手よりも、むしろ、若い選手が使うべきなのかもしれない。

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