119と同時に周囲に助けを求めるアプリ「Coaido119」、豊島区で実証実験を開始

2017.09.01

Updated by Asako Itagaki on 9月 1, 2017, 09:11 am JST

株式会社Coaidoは、119と同時に救命資格を持つ人に向けたSOSを発信できるアプリ「Coaido119」の実証実験を豊島区で開始する。

Coaido119は、119(救急・消防)への通報を支援するアプリ。事前にアプリに受信者登録した周辺の医療有資格者や救命講習受講者(救急情報受信者)、AED設置者等に情報が届き、救命ボランティアを要請できる。

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起動するとセルフトリアージ(心停止状態、重症、軽症、火事・救援)による緊急度の判定画面が表示される。もっとも重篤な「心停止」を選択すると、現在地周辺の地図が表示され、同時にカメラで周辺の状況が撮影される。地図上で位置を合わせて「SOSを発信」ボタンをタップするだけで、周囲にいる「救急情報受信者」に情報が届く。同時に付近のAED設置場所の固定電話あてに発信し、自動音声で心停止者の位置とAEDの運搬を要請する(AEDエリアコール)。さらに、「119に発信」ボタンをタップすると、そのまま119に接続される。

救急車到着までの10分間が生死を分ける

東京都の場合、119の発信から救急車が到着するまでの平均所要時間は10.7分。一方で、心肺停止状態の場合、生存率は1分ごとに10%ずつ低下していく。

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救急車が到着するまでの10分間に心肺蘇生措置、すなわち心臓マッサージを行い、最小限の血流を確保することが重要になる。AEDを使用するにも心室細動の状態を維持するための心臓マッサージは必須だ。

しかし心臓マッサージには力も必要で一人で10分間続けることは難しく、また正確に行うには知識が必要だ。周囲に助けを求めることはもちろんだが、救急救命の知識がある人に参加してもらうことで各段に救命率の向上が期待できる。

「どこにあるか分からない」AEDを使えるように

8月28日、豊島区内の事業者やAED設置施設管理者を対象にした説明会が開催された。豊島区は区内のAED所在地地図を独自調査で作成して、現在640カ所が掲載されている。だがそれでもどこにAEDがあるのか分からないという区民の声を受け、2017年から3年間をかけて区内のファミリーマート100店舗にAEDを設置する事業に取り組んでいる。

豊島区危機管理監の今浦勇紀氏は、「このアプリの利用が広がることで救命率が上がると確信したので、実証実験後援を豊島区として引き受けた。登録者数を確保することが成功の鍵となる。登録者には義務や負担はかからないことをご理解いただき、ぜひご協力をいただきたい」と期待を述べた。

AEDエリアコール機能を実装したのは、これまでCoaidoが取り組んできたAED運搬の実証実験での経験によるのだという。「AEDが必要な事態があっても、設置場所から持ち出そうとすると管理者に断られるというケースが実際にあります。事前に電話で通知することで、近くでAEDが必要な事態が発生していることを施設管理者に知らせ、アプリを持った人が取りに来ることでスムーズに渡していただけるような仕組みを作りたいと考えています」(Coaido株式会社 代表取締役CEO: 玄正慎氏)

説明会当日は、同社で社会実装を担当する救急救命士の小澤貴裕氏によるレクチャーの元、アプリを利用した救急救命体験が実施された。「池袋駅は乗降客数世界第3位、年間9億人の方々が乗り降りします。一日262万人が乗り降りすれば、それだけ心停止の発症リスクも上がることが明白です。また、街中に存在する医療従事者やCPR(心肺蘇生)のできる人の数も増えることになります。豊島区内の豊島消防署・池袋消防署の救命講習受講者は年間9,000人にも上ると聞きますので、これらの方々にアプリを持っていただきたいと考えています」(小澤氏)

現在アプリが利用できるのはiPhone(iOS10以上)で、Android版は開発中。SOS発信ができるのは池袋駅周辺半径1km以内。10月まではクローズドβテストを行い、11月以降は豊島区在勤在住者を対象に実運用に入る。

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クローズドβ期間中のアプリ利用は招待制となっており、アプリの利用には先行利用者番号が必要。先行利用者番号は池袋駅周辺のAED設置施設、商業施設、医療や救急関連組織等に限定して配布している。配布を希望する事業者や組織の問い合わせはこちら

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Coaido119

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。