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イギリスの高速道路に、自動運転の大型トラックが2019年から登場するかもしれない。イギリス運輸省が2014年から検討し、今年8月25日に方向性を発表した。政府基金810万ポンドを投じたトライアル結果を受けて、年末までには導入の方針が固める見込み。

計画では、自動運転ではあるが有人だ。トラックが出発して、一般道を走る間は人が運転し、高速道路は半自動で、到着する際には再び人が運転するという。これは飛行機と似たシステムだ。飛行機は、危険である離陸と着陸はパイロットが操縦し、途中の巡行飛行中は自動操縦に任せる。

高速道路に入ると、自動運転トラックは3台が縦隊を組んで走る。ハンドル操作は3台とも人間であるドライバーが行う。1台目の運転手はアクセルとブレーキ操作も行うが、2台目と3台目の加速・減速は、自動で行うという半自動。これにより3分の2のドライバーの負担は軽減される。車間距離を狭めて走行することで、後続2台の受ける空気抵抗が減り、結果的に燃料の削減、引いては大気汚染を減らすことに繋がると評価されている。3台がバラバラに走るよりも、渋滞を減らす効果もあるという。

しかし、同時に懸念点も指摘されている。無線で通信する以上、ハッキングの可能性がゼロではない。もし、加速と減速のコントロールを乗っ取られてしまったら、当然ながら事故を引き起こすことができてしまう。トラックとトラックの間に別の車両が入ってしまうとか、暴風雨など激しい気象条件によって、センサーなどの誤作動も懸念されている。

トラックが有人なのは、何かの際にはドライバーがコントロールすることで不測の自体を避けるためだが、アクセルもブレーキも気にせず、前方の車両を見てハンドル操作だけ長時間に渡って続けていると、集中力が削がれる可能性もある。自動車の運転は、運転者に緊張を強いるものだが、これまでアクセル、ブレーキ、周囲の状況の把握、ハンドル操作など、目と手足をフルに使っていた運転手が、先行車に追従してハンドル操作に専念できてしまうと、逆にとっさの判断力が鈍る恐れがある。

実際に半自動運転大型トラックが実現されるどうかは、こうしたリスクの懸念が払拭されるかどうかにかかっているといえる。

<参照情報>
Lorry technology trials could slash fuel costs and congestion
https://www.gov.uk/government/news/lorry-technology-trials-could-slash-fuel-costs-and-congestion

Government gives green light for first operational vehicle platooning trial
https://trl.co.uk/news/news/government-gives-green-light-first-operational-vehicle-platooning-trial

Self-driving lorries 'at risk of crashing in cyber attack'
http://www.dailymail.co.uk/news/article-4824906/Self-driving-lorries-risk-crashing-cyber-attack.html

Fleets of 'driverless' lorries will be trialled on Britain's motorways from next year, Government announces
http://www.telegraph.co.uk/news/2017/08/24/fleets-driverless-lorries-will-trialled-britains-motorways-next/

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