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牛 牧場 イメージ

顔認識で危険運転防止、地中の水道メーター検針、牛の突然死防止--IoT活用が広がる

2017.12.14

Updated by Naohisa Iwamoto on December 14, 2017, 06:25 am JST

IoTを活用して様々なソリューションを実現する取り組みが盛んに行われている。2017年12月12日から13日にかけての2日だけでも、ソリューションの実証やサービス開始のアナウンスが相次いだ。バスの運転手の顔を認識して危険運転防止につなげる取り組み、地中の水道メーターの検針にセルラーLPWA(Low Power Wide Area)のNB-IoTを利用する取り組み、そして牛の行動モニタリングサービスに突然死を防止する新機能を追加する発表である。

KDDIと小湊鉄道は、共同で路線バスの危険運転予防の実証実験を実施した。運転手の前方に取り付けたカメラの画像データや走行データを分析し、ヒヤリ・ハットにつながる可能性を特定する。運転手の表情や挙動を計測したデータを分析し、わき見や居眠りを判定するほか、怒りなどの感情を検知して事故の危険性が増すストレス度合を判定することが可能になった。実証実験は、2017年5月に小湊鉄道の千葉県内の路線バスで実施した。実証実験の結果、13日の試験期間内で、ヒヤリ・ハットにつながる事象を290件検知した。1日平均で約22件となる。分析の結果、ヒヤリ・ハットにつながるある事象が、固有の時間帯に特化して発生していることが判明。情報共有やヒアリング、注意喚起によって安全運行が促進できたという。

愛知時計電機とソフトバンクは、NB-IoTを利用した水道メーターの自動検針の実証実験を2018年1月下旬に開始する。地中に設置されている水道メーターの検針値を、エリアの広い通信が可能なNB-IoTによって受信できることを検証する。具体的には、受信強度、通信成功率、通信時間などを確認し、水道メーターのスマート化にNB-IoTが適用できるかを検証することになる。両社は、この実証によって無線自動検針化による検針コストの削減を目指すほか、漏水検知や水運用計画の効率化を推進する。さらに、スマート化した水道メーターなどで得たデータと日常の活動との関連性を分析し、見守りサービスやヘルスケアと関連づけた新しいサービスの創出を検討していく。

上記の2つが実証実験だったのに対して、デザミスとNTTテクノクロスが発表した牛の突然死防止機能は本サービスとして2017年12月に提供を開始するもの。デザミスが提供する牛の行動モニタリングシステム「U-motion」の新機能として「起立困難牛検知アラート」を追加する。両社は肉用種肥育牛の起立困難状態を、位置検出センサーや気圧センサー、加速度センサーなど牛のモニタリングしたデータから、人工知能を活用して検知するアルゴリズムを共同開発。牛が立ち上がることができないことを検知したら、Eメールで関係者に牛番号などの情報を通知する。早期の適切な対応を可能にし、起立困難状態が続いた牛が死亡し、大きな金銭的損害が発生することを防ぐ。

【報道発表資料】
顔認識で「バス」の危険運転を防ぐ、IoTを活用した「危険運転予防システム」の実証実験を実施
NB-IoTを利用した水道メーター向け無線自動検針の実証実験について
牛の行動モニタリングシステム「U-motion」に突然死を防止する新機能を搭載

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。