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車内 赤ちゃん イメージ

「赤ちゃんが乗ってます」も分かるカー室内光学センサー

2017.12.18

Updated by WirelessWire News編集部 on December 18, 2017, 12:00 pm JST

自動運転車の開発競争に合わせて「LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)」などリモートセンシングの技術に注目が集まっている。運転手の目の代わりに前方の様子をセンサーが検知して、ハンドルやブレーキの操作にフィードバックするためだ。

一方、車の中にも多くのセンサーがすでに仕込まれている。吸気の温度や圧力、冷却水の温度やエンジンの回転数、スピードなど、各種のセンサーがそれぞれの目的に応じて働き続けている。

2014年設立のイスラエルのスタートアップ「ガーディアン・オプティカル・テクノロジー社」は、その名が示すように光学(オプティカル)技術で見守ってくれる(ガーディアン)システムを開発している。今年の5月には、日本の未来創生ファンド(トヨタなどが出資)が投資を発表している(「未来創生ファンド、車内監視用次世代センサー技術ガーディアンオプティカル社へ投資実行」)。結果的に、シリーズAファンディングは12月で総額510万ドルの調達に成功した。

この光学センサーは車内を向いていて、車の中にいる物体や人間を3Dで捉える。人と物体は区別ができるほか、小さな動きを捉えることもできるので、乗っている人はもちろん個々の心拍数まで分かるという。

さらに、車載センサーのいくつかの代替センサーとして活用すれば、既存のセンサーの数を減らすことにも貢献でき、自動車の部品代を抑えることにもつながる。つまり、シートベルトの装着、エアバッグの膨張が必要かどうか、座席の重さから人が座っているか判別、といったセンサーは不要になる。

そもそもの開発のきっかけは、車内に赤ん坊が放置された事件からだそうだが、搭乗者の場所や体型、心拍まで分かるので、シートベルトやエアバッグなどのシステムとの連動にとどまらず、様々な応用が期待されている。

ちなみに「赤ちゃんが乗ってます」のステッカーは、周囲の車、特に後続車の運転者に安全運転を促すのが本来の目的だったものが、事故発生時などに救助隊にとって役立つ情報となったということのようだ(「'Baby On Board': This Is What Those Signs Really Mean」)。こうした用途で各国で利用されている以上、赤ちゃんが乗っていない時にはこのステッカーを提示すべきではない。いない赤ちゃんを救助隊や通りがかった市民が探している間に、爆発などの二次被害を引き起こしてしまう恐れがある。

やがて、赤ちゃんが乗っているかどうかは光学センサーが検出して、その情報は車の窓ガラスに表示(「あらゆるガラスに情報表示、スマートグラスのGauzy」)してくれるようになるのかも知れない。

【参照情報】
トヨタの支援ファンドがイスラエルの自動車チップベンチャーに投資
「未来創生ファンド」、車内監視用次世代センサー技術ガーディアンオプティカル社へ投資実行

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