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スーパーマーケット 食品 ラベル イメージ

食品の賞味期限の精度を向上させる「TTIラベル」

2018.01.23

Updated by WirelessWire News編集部 on January 23, 2018, 07:00 am JST

スーパーマーケットなど食料品の小売店では、売る側も買う側も消費期限、賞味期限を気にする。過ぎていれば買わないし、売る側も売れないと分かっているから捨ててしまう。これは世界中で行われているから、賞味期限のゆえに無駄になる食料品は膨大な量となる。

食料品を製造・加工して賞味期限を設定する側からすれば、切れる前の食料品が腐ってしまっては消費者からも流通、小売りからも見放されてしまうから、期限までの時間は短めに設定することになる。つまり、賞味期限が切れていても、多くの場合、食べられなくなっているわけではない。それなのに廃棄される。

一方消費者は、棚の奥から賞味期限が長く残っている商品を選んで購入する。店舗には賞味期限が短い商品が残ってしまい、期限が切れれば捨てられる。

賞味期限は、流通と小売での運搬や保管の方法をコントロールできない製造・加工側が、安全サイドで、また商品によって半年や1年というように静的な期間を設定しているに過ぎない。生鮮食品でない限り、運搬や保管は常温で行われることを前提にする。四季による温度差や空調の有無を想定して、細かい計算が行われて設定されているわけでもない。過去、数十年間に渡って、賞味期限は世界中で、安全サイドで短めに、そして静的に決められて表示されている。

イスラエルのスタートアップ「Freshpoint」は、TTI(Time Temperature Indicator:時間温度インディケーター)を開発している。これは、時間の経過と温度の変化により、色の変化するラベルである。高い温度では早く変化し、低ければ遅い。つまり、冷蔵されたり、気温が低ければ、ゆっくり色が変わる。

これを食品のパッケージに貼り付ければ、冷凍すれば色の変化が止まり、解凍すれば色が変化し始め、放置されて食べない方がよい状態になれば、そのことがラベルの色から判別できる。消費者はどのくらい放置されたかは分からなくても、TTIのラベルの色から食品の状態を判断できる。すでに米国や韓国では使われ始めているという。

TTI技術は、結晶に情報を蓄積する技術開発に取り組んでいたイスラエル工科大学(テクニオン)の化学の教授、Yoav Eichenらの失敗から始まった。データの蓄積には不向きだった結晶は、温度と時間で色を変えることが分かったのだ。

同社は今後、食料品のみならず、医療機器や医薬品にも同技術を応用し、消費期限を動的に正確に示すことで無駄な破棄を減らすことを目指しているという。

【参照情報】
What do those food expiration dates really mean? Not much, CEO says
Is that food really fresh? Find out at a glance

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