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鉄道の独自ネットワークをサイバー攻撃から守る「Cylus」

2018.02.20

Updated by WirelessWire News編集部 on 2月 20, 2018, 07:00 am JST

明治時代に鉄道と電信が欧米から日本に持ち込まれて、日本国内に鉄道網と電信電話網が拡がった。電信電話は逓信省(後の日本電信電話公社、NTT)が、鉄道は鉄道省(後の運輸省、国土交通省、JR)が管轄し、それぞれ欧米の技術を取り入れながら日本のインフラストラクチャーとして整備を続けてきた。

鉄道会社は、駅と駅、踏切や鉄橋、トンネルなどの設備、車両と管制センターなどの間で連絡を行うために、公衆の電信電話網とは別の通信ネットワークを構築してきた。新橋駅から横浜駅への連絡は、電電公社の電話網とは別の線路に沿って整備された通信ネットワークを介して行われる。ちなみに道路網にも同様に、送電線を使った独自の通信ネットワークが作られる。

1985年のNTT民営化に合わせて、日本にもNTT(旧電電公社)以外の通信会社が誕生するが、日本高速通信(テレウェイ、現在のKDDIの一部)は高速道路網に敷設していた光ファイバーを、東京通信ネットワーク(TTNet)は東京電力の電力網に使われていた通信ネットワークを、日本テレコム(JT、現在のソフトバンクテレコム)は国鉄が敷設していた通信ネットワークを活用する形で新規参入した。

今でも、JRや私鉄各社、電力会社、高速道路などは、NTTやKDDI、ソフトバンクとは別の情報通信ネットワークを独自に持っている。これは世界に目を向けても同様で、各国の鉄道や地下鉄のネットワークは、他の法人や消費者が使う電話網やインターネットとは別の独自の通信設備、情報処理設備を使っている。軍隊や警察もしかり。

サイバーセキュリティは、主にインターネットを介して国の内外からハッキングやウイルス拡散などが行われることが目立つため、対策もこちらに重点が置かれているが、原子力発電所や警察、工場内の閉ざされたネットワークに対しても、侵入が試みられる。しかし、独自の発展を遂げたがゆえに、鉄道などの通信ネットワークで使われる設備や通信プロトコルは、サイバーセキュリティ対策を念頭に設計されたとは必ずしもいえない。

2018年1月に、470万ドルの資金調達に成功したイスラエルのスタートアップ「Cylus」(2017年設立)は、鉄道のサイバーセキュリティに特化している。テロリストなどにとって各国の鉄道網は攻撃の対象であるにもかかわらず、包括的なセキュリティ対策ソリューションは存在しないという。

CylusのCEOであるBoaz Zafrir氏は元イスラエル鉄道のCEOで、このほか同社幹部にはイスラエル国防軍のサイバーR&D部門の元ヘッドなどが名を連ねている。同社プラットフォームは、下記のようなものだという。

・鉄道網の既存の安全機構が実現する安全性を損なわず、新たなセキュリティレイヤーを追加することによるセキュリティ最適化

・線路や車両のセキュリティ状況を視覚的にオペレータに提示する集中管理システム

・脅威の早期発見と対応

・システム内の脆弱なリンクを特定するためのマルチベンダー統合プロテクション

Cylusは、調達した約5億円の資金を使って製品テストを行うため、複数の国の大規模な国有鉄道と交渉中だという。

【参照情報】
Israeli Startup Raises Close to $5M To Protect Train, Metro Systems From Cyber Attacks
Cylus Raises $4.7M in Seed Funding
Israeli firm announces funding for railroad cybersecurity services

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