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Jerusalem旧市街

国民の関心は首都よりも首相の汚職

2018.01.16

Updated by Hitoshi Arai on January 16, 2018, 12:00 pm UTC

このところ、日本では米国トランプ大統領の「エルサレム首都宣言」に関連したパレスチナ自治区での紛争がメディアで盛んに取り上げられているが、当のイスラエルでは特別騒がれてはいない。その理由の一つには、「国の首都はその国が決めるべきことであり、イスラエルの首都は当然エルサレムである」というイスラエル国民の一般的な認識があるだろう。

もちろん、アラブ諸国の反発と、パレスチナとガザへの支援に対する危機感はあるものの、世界の発言に一喜一憂しても仕方がない、というのが多くのイスラエル国民の意見ではないだろうか。“It doesn't matter what the world says about Israel. It doesn't matter what they say about us anywhere else. The only thing that matters is that we can exist here on the land of our forefathers.”とイスラエル建国の父である初代ベングリオン首相が言ったように、他国の承認に頼っていては存在し得ないという意識が根底にあるのかもしれない。

そんな中、イスラエル国民が最も関心を寄せていたトピックは、現政権に度々浮上している「汚職」だ。ネタニヤフ首相は現在、富裕層から賄賂を受け取った疑惑や、有力紙イェディオト・アハロノトとの報道操作(「POLICE QUESTION NETANYAHU FOR THE SIXTH TIME IN CORRUPTION PROBE」)など、度重なる疑惑について警察から事情聴取を受けている。

今期で4期目となるネタニヤフ政権だが、警察の捜査逃れの目的が疑われる法案を審議にかけたことで、積もりに積もった国民の不信感が爆発し、12月第1週目からテルアビブで始まった週末デモには4週間連続、1万人以上の市民が参加した。汚職問題から国民の目を逸らせるために、ネタニヤフ首相がトランプ大統領に頼んで首都宣言をしてもらった、といううがった見方をする人すらいるが、仮にそうだとしても全く効果はなかったようだ。

※写真提供:Yoko Yamaguchi氏(イスラエル在住)。

▼12月9日の、テルアビブでの抗議行動の様子。前の週末に実施されたデモの参加者は警察発表で1万人、この日は2万人と推定されている。
12月9日の、テルアビブでの抗議行動の様子。前の週末に実施されたデモの参加者は警察発表で1万人、この日は2万人と推定されている。

▼退陣しろ、恥を知れなどと叫ぶ人々(Israel is important for us / Israel is expensive for us と両方に理解できる)
退陣しろ、恥を知れなどと叫ぶ人々(Israel is important for us / Israel is expensive for us と両方に理解できる)

退陣しろ、恥を知れなどと叫ぶ人々(Israel is important for us / Israel is expensive for us と両方に理解できる)

▼手錠がかけられたネタニヤフを模して 「堕落者は刑務所へ」Corrupted to Jail
手錠がかけられたネタニヤフを模して 「堕落者は刑務所へ」Corrupted to Jail

冒頭の写真
Jerusalem旧市街から1キロほど北東のMount Scopusから展望した旧市街。金色の屋根の建物がイスラムの聖地「岩のドーム」、ユダヤの聖地「嘆きの壁」はその向こう側に位置する。
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新井 均(あらい・ひとし)

NTT武蔵野電気通信研究所にて液晶デバイス関連の研究開発業務に従事後、外資系メーカー、新規参入通信事業者のマネジメントを歴任し、2007年ネクシム・コミュニケーションズ株式会社代表取締役に就任。2014年にネクシムの株式譲渡後、海外(主にイスラエル)企業の日本市場進出を支援するコンサル業務を開始。MITスローンスクール卒業。日本イスラエル親善協会ビジネス交流委員。E-mail: hitoshi.arai@alum.mit.edu