WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

AI、ロボット、ドローン、自動運転など、イノベーションのニュースに溢れている現在でも、トイレ掃除の方法は数十年前からほとんど変わっていない。欧米では、昔はブラシに動物の毛を使っていたが、今では化学繊維のブラシが使われている。変わったといってもその程度。トイレ用洗剤にはさまざまな化学物質が試され、汚れを落とす力だけでなく、匂いもいろいろと試されてきたが、結局のところ、人がブラシを使って便器の汚れをかき落とすという部分に進歩は見られない。

この事実に驚いたイスラエル人の二人が、2013年にトイレ掃除を自動化するロボットの開発を思いつき、翌年にスタートアップを立ち上げた。

トイレ掃除ロボット「TOIBOT」は、2019年に発売予定。価格は79ドル以下を目指している。便器の中に丸いプラスティック製のレールを設置し、洗剤の入ったタブレットを装着すると、ハンズフリーでトイレ掃除ロボットが回りながら上下に動いてトイレを掃除してくれる。バッテリーで動作する。

トイレ付きの家に住んでいる人なら、誰もが避けて通ることのできないあまり楽しくない仕事から人々を解放させるものだ。また、当然ながらレストランやオフィスビル、学校や病院、図書館など、トイレを毎日誰かが掃除している場所はたくさんあるから、こうした場所にもニーズがあると創業者たちは考えている。

TOIBOT社は、Sysmop Technologies社のエンジニアやデザイナーと共に開発に取り組んでいる。Sysmop社は、同じイスラエルのヨクネアムにある会社で、ハードウェア、メカニカル、ソフトウエアのエンジニアリングを自動車産業や医療製品業界の企業向けに提供している。

TOIBOT自体は、いまだに二人でやっているという。創業者の一人は不動産業、もう一人はコンピュータ業界の営業職というフルタイムの本業を持っており、TOIBOTの製品が市場に出てお金を生むようになるまでは、お金と時間は開発に充てるものの、本業を続けるという。クラウドファンディングを計画中だという。

ちなみに、トイレ掃除ロボットはほかにも提案されている。2017年11月にKickstarterでのクラウドファンディングを始めた「SpinX」は、既存のトイレのシートとカバーを取り外してから取り付けるという、やや大がかりな仕掛けながら、水道管も配管して水を流すことから、洗剤とブラシだけで動くTOIBOTよりも短時間(90秒)で掃除を終えることができるようだ。こちらは、ニューヨークのスタートアップ「SpinX社」が開発しており、2018年中には出荷が可能。価格は350ドルと少々高め。

【参照情報】
TOIBOT is the First-Ever Motorized Robot for Cleaning, Disinfecting and Polishing the Toilet
Why you'll never have to clean another toilet
Potty Training: Meet The World’s First Toilet-Cleaning Robo
SPINX - World's First Toilet Cleaning Robot
SPINX Toilet Cleaning Robot

イスラエルイノベーション イスラエルイノベーション特集の狙い

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら